サイトアイコン 透析note【臨床工学技士 秋元のブログ】

アルブミン(ALB)の基準値について【低いときの原因はなに?】

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事では、アルブミン(ALB)の基準値などについて、初心者でもわかるようにわかりやすく解説しています。

ちなみに、血漿成分中には100種類以上のタンパク質が含まれていますが、そのうち、アルブミン(ALB)が60~70%を占めています。
残り30~40%はグロブリンが占めています。ですので、アルブミン+グロブリン≒総タンパクという関係式で簡易的にあらわせます。
なお、グロブリンには、β2ミクロブロブリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、CRPといったいろんな種類のタンパク質があります。

  • アルブミンは血漿成分のタンパク質のうち60~70%を占めていて特に重要
  • 残りの30~40%はグロブリンなので、アルブミン+グロブリン≒総タンパクという関係式が成立

アルブミン(ALB)の基準値

健康な人であれば、アルブミンの値は4.5g/dL程度です。

一般的に、アルブミン(ALB)が3.5g/dL以下だと低栄養状態だとされます。

ただし、アルブミン(ALB)は様々な原因で低下するため、アルブミン(ALB)の値だけで低栄養だとは判断しません。例えば、CRPが上昇していれば、タンパクを消耗するため、アルブミン(ALB)は低くなります。

アルブミン(ALB)が基準値より低いのは栄養障害?

  • アルブミン値:3.0~3.5g/dL → 軽度の栄養障害
  • アルブミン値:2.5~3.0g/dL → 中等度の栄養障害
  • アルブミン値:2.5g/dL未満 → 高度の栄養障害

参考:日本病態栄養学会編,”身体所見と臨床検査値の見方と栄養管理への活用”,病態栄養認定管理栄養士のための病態栄養ガイドブック,2016

アルブミン(ALB)値が低い場合、栄養障害が疑われます。

ただし、後述しますがアルブミン(ALB)が基準値より下がる原因は他にもいろいろとあります。

A/G比とは


A/G比とは、血中のアルブミン(ALB)とグロブリンの比率を示す数値です。

グロブリンは総蛋白(TP)からアルブミン(ALB)を引くことで近似的に求められるため、A/G比=ALB ÷(TP-ALB)として計算できます。

A/G比が高い

A/G比が高い場合、アルブミンに対してグロブリンが少ないことを意味しています。健康な若い人の場合、A/G比が基準を少し上回ることがあります。

A/G比が高くなる疾患としては、無グロブリン血症が考えられます。

A/G比が低い

  • 原因①:アルブミン減少によるもの
  • 原因②:グロブリン高値によるもの

A/G比が低くなる原因として上記の2つが考えられます。

原因①:アルブミン減少によるもの

原因として、肝炎や肝硬変などの肝疾患、ネフローゼ症候群、糖尿病、栄養不良などがあります。

原因②:グロブリン高値によるもの

原因として、多発性骨髄腫、悪性腫瘍、慢性炎症性疾患、感染症、自己免疫疾患、マクログロブリン血症などがあります。

アルブミン(ALB)が基準値から外れている場合

臨床では、アルブミン(ALB)が高くなって問題になることはほとんどありません。

問題なのはアルブミン(ALB)が低い場合です。

アルブミン(ALB)が基準値より高い

アルブミン(ALB)が基準値より増加する原因としては脱水による血管内濃縮(脱水)などに限られます。

例えば、透析によって水分を除去すると、血中のアルブミン(ALB)は基本的に上昇します。逆にいえば、透析患者さんは、水分によって血液が薄まっているので、アルブミン(ALB)は見かけ上、低い値になっています。

アルブミン(ALB)が基準値より低い

アルブミンが基準値より低い原因
  • 原因①:低栄養状態
    (アルブミン合成の原料の不足)
  • 原因②:肝硬変
    (アルブミン合成能の低下)
  • 原因③:ネフローゼ症候群
    (アルブミンの漏出)
  • 原因④:甲状腺機能亢進症、クッシング症候群
    (アルブミン消費の増大)
  • 原因⑤:感染症、炎症性疾患
  • 原因⑥:妊娠

アルブミン(ALB)は肝臓で合成されているため、肝細胞障害(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌)で低下します。
あるいは、体内からアルブミン(ALB)が漏出する疾患(ネフローゼ症候群、腸管出血、蛋白漏出性胃腸症など)で低下します。

アルブミン(ALB)が低くなる原因としてまとめると上記のとおりいろいろあります。

例えばネフローゼ症候群ではアルブミン(ALB)が3.0mg/dL以下が必須条件の一つとなっています。

アルブミン(ALB)は栄養指標となるのか?

一般に、アルブミン(ALB)=栄養指標として考えられています。たしかに低栄養状態ではアルブミン(ALB)は下がる傾向にあります。

しかし、アルブミン(ALB)を栄養指標としてみる場合には必ず、炎症のマーカーであるCRPも同時にみておかなければなりません。CRPが上昇し、体内で炎症が起こっている状態というのは、アルブミン(ALB)の合成を抑制し、分解を促進します。

つまり、CRPが上がっていてアルブミン(ALB)が下がっているという場合、単純に低栄養状態を意味しているというわけではないということです。

CRPも低くてアルブミン(ALB)が低いという状態で初めて、栄養状態が悪化しているかも?と考えるべきです。

なお、栄養状態はアルブミン(ALB)の値だけで判断できるものではありません。あくまで判断材料の一つです。

アルブミン(ALB)とは?

最後に簡単にアルブミン(ALB)について説明したいと思います。

まず血液は、血球成分と血漿成分に分けられます。さらに血漿成分から、フィブリノゲンが取り除かれたものを血清といいます。

アルブミン(ALB)とは、血清中のタンパク質の一種で、分子量約67,000、約600個ものアミノ酸がつながった分子構造をしている比較的小さなタンパク質です。

血清成分中には100種類以上のタンパク質が含まれていますが、アルブミン(ALB)が60~70%を占めています。残り30~40%はグロブリンが占めています。ちなみにグロブリンには、β2ミクロブロブリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、CRPといったいろんな種類のタンパク質があります。

アルブミン(ALB)の働き

  • 働き①:血漿膠質浸透圧の維持
  • 働き②:物質の運搬

アルブミン(ALB)の働きは大きく分けて上記の2つです。

働き①:血漿膠質浸透圧の維持

アルブミン(ALB)のもっとも重要な働きで、血液を血管内に保持する働きをしています。

ですので、血液中のアルブミン(ALB)が低下すると浮腫の原因になります。

血液中のアルブミン(ALB)が低いということは、血漿膠質浸透圧が低いということを意味します。つまり、血管内に血液を保持する力が弱いということです。その結果、血管内から血管の外に血液の液体成分が流れ出てしまい、浮腫の原因となります。ちなみに浮腫とは、細胞間の体液(=間質液)が以上に増加した状態のことです。

働き②:物質の運搬

アルブミン(ALB)は、ビリルビン、遊離脂肪酸、カルシウム、銅、、薬剤、一部のホルモンなどと結合し運搬します。

 

アルブミンそのものについてもう少し詳しく知りたい人は下記の記事で解説しているのでよかったらご覧ください。

アルブミンとは?体内での役割の重要性を解説

 

というわけで今回は以上です。

 

<注意事項>
本ブログに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、掲載された情報に基づく判断については利用者の責任のもとに行うこととし、本ブログの管理人は一切責任を負わないものとします。
本ブログは、予告なしに内容が変わる(変更・削除等)ことがあります。

モバイルバージョンを終了