こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
糖質は、炭水化物ともいわれていますが、その名のとおり「炭素」と「水」からできている化合物です。
わたしたちが毎日のように食べているお米の主成分は「デンプン」ですが、これもまた「糖質」です。一方の「セルロース」も炭水化物に分類されますが、こちらは食物繊維となります。しかし、「デンプン」と「セルロース」ともに、構成成分は「グルコース」です。
本記事では、これら糖質、炭水化物、デンプン、セルロースの違いを、炭水化物とはいったいなんなのか?という原点に立ち返って分類します。
目次
炭水化物とは?
炭水化物とは、文字通り「炭素(C)」と「水((H2O)」の化合物のことです。
それでは詳しくみていきましょう。
炭水化物の化学式
炭水化物(carbohydrate)は、組成式Cm(H2O)nからなる化合物である。
炭水化物は、英語ではcarbohydrateです。
上記のとおり、炭水化物は炭素(Cm)と水(H2O)nの化合物なので「炭水化物」といいます。
炭水化物の本質は単糖
単糖とは炭水化物の最小の単位で、化学式(CH2O)nで表されます。
nは3以上の数が入り、多くの場合は5~6です。
炭水化物は、糖質と食物繊維に分けることができます。
しかし、炭水化物の本質は単糖そのもの、あるいは単糖がたくさんくっついたもののことです。
これ以上でも、これ以下でもありません。
炭水化物というと、すぐに糖質と食物繊維に分けたがる人がいますが、本質はどちらも同じで、単糖で構成されています。
食物繊維とは
炭水化物とは、単糖、あるいは単糖の集まりのことです。しかし、糖質や食物繊維といった分類も無視できません。
結論をいうと、食物繊維は以下のものをいいます。
食物繊維とは、人の消化酵素で消化できない炭水化物のことです。
つまり、糖質や食物繊維といった分類は、化合物の構造によるものではなく、あくまで私たち人間にとって、消化できるか、できないかという視点にたった分類だということです。
食物繊維とは多糖類の一つですが、日本食品標準成分表2010では、「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義されています。
しかし、少なくとも日本国内では、人の消化酵素で消化されない炭水化物のことを食物繊維だとする考えが一般的です。
- 人の消化酵素で消化できる炭水化物
→ 糖質 - 人の消化酵素で消化できない炭水化物
→ 食物繊維
食物繊維の種類
- 水溶性食物繊維
例:ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸 - 不溶性食物繊維
例:セルロース、リグニン、キチン
食物繊維のほとんどは、単糖がたくさん結合した多糖です。しかし、人間の消化管では消化されないのでエネルギーになりません。
この食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維にわけることができます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、水溶性と不溶性を併せて食物繊維を成人男性で1日20g以上、成人女性で18g以上摂るように勧めています。
セルロースとは
セルロースとは、植物の細胞の表面を覆う細胞壁の主成分で、グルコースが10000個以上結合した多糖です。
セルロースは人間の消化管では消化できませんが、多くの草食動物では、消化管で共生している単細胞生物がセルロースを分解し、セルロースの消化を可能にしています。
グルコマンナンとは
グルコマンナンとは、こんにゃくの成分で、マンノースとグルコースが約3:2の割合で、それぞれβ1→4結合でつながったものです。
糖質とは
食物繊維とは、炭水化物のうち人の消化酵素で消化できないもののことです。
そして、糖質は炭水化物から食物繊維をのぞいたもののことです。
つまり、以下の関係式が成立します。
炭水化物=糖質+食物繊維
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糖質=炭水化物ー食物繊維
炭水化物を糖質と食物繊維の2つに分類する分け方は、人の消化酵素で消化できるかどうかという視点にたった分類法です。
炭水化物(糖質+食物繊維)の種類
- 単糖
- オリゴ糖
- 多糖
- 糖アルコール
炭水化物(糖質+食物繊維)は、大きく分けて上記の4つに分けることができます。
ではそれぞれの炭水化物について簡単に紹介したいと思います。
単糖とは
- 炭素が5個の場合→五単糖
例:リボース - 炭素が6個の場合→六単糖
例:グルコース、フルクトース、ガラクトース
単糖とは、炭水化物の最小の単位であり、化学式(CH2O)nで表される化合物です。
単糖は炭素数の違いによって、五単糖や六単糖に分類されます。
五炭糖のリボースはATPやRNAの構成成分として有名です。
特に重要な単糖は以下の3つです
- グルコース
- ガラクトース
- フルクトース
上記3つの化学式はすべてC6H12O6で同じなんですが、構造が異なっています。
グルコースは化学式で書くとC6H12O6ですが、水溶液中では3種類の構造(「α-」「β-」「鎖状」)をとり、それぞれが一定の割合で存在しています。
ガラクトースは(「α-」「β-」)の2種類の構造があります。
フルクトースは水溶液中では5種類の構造をとります。
ちなみに、単糖のなかでもっとも甘いのはフルクトースです。
オリゴ糖とは
Q.オリゴ糖
A.ぶどう糖や果糖などの単糖類が結びついたもので、腸内環境を整えるのに役立つといわれています。
イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などがあります。
- 二糖(単糖が2個くっついたもの)
例:マルトース、スクロース(砂糖)、ラクトース(乳糖) - 三糖(単糖が3個くっついたもの)
- 四糖(単糖が4個くっついたもの)
オリゴ糖とは、単糖が2~10個くらい、くっついたものです。
(オリゴ糖は、くっついた単糖の数によって、上記のように分類されます)
オリゴ糖の作用(特長)としては、低う蝕性(虫歯になりにくい)、低消化性(低エネルギー)、整腸作用(腸内細菌を増やす)、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄など)の吸収促進などが知られています
オリゴ糖の作用として、低消化性(低カロリー)、整腸作用(腸内細菌の栄養になる)、虫歯になりにくい、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄など)の吸収促進といったものがあります。
二糖について、もう少し詳しくみますと、以下のようになります。
- マルトース
グルコースが2個くっついたもの - スクロース(砂糖)
グルコースとフルクトースが1個ずつくっついたもの - ラクトース(乳糖)
グルコースとガラクトースが1個ずつくっついたもの
上記のフラクトオリゴ糖は砂糖から人工的につくった成分で、昔から「お腹の調子を良くする」と言われています。お腹のなかで腸内細菌のエサになって、善玉菌を増やしてくれます。
フラクトオリゴ糖とは、グルコースにフルクトースを2~4個結合させたものです。玉ねぎ、小麦、バナナ、ニンニクなどに含まれる天然成分ですが、人工的には酵素の作用で砂糖にフルクトースを結合することでもつくることができます。
多糖とは
- ホモ多糖(1種類の単糖が10個以上くっついたもの)
例:でんぷん、セルロース、グリコーゲン、キチン、キトサン、難消化性デキストリン - ヘテロ多糖(2種類以上の単糖が10個以上くっついたもの)
多糖は、単糖が数十から数千個くっついたもののことです。
1種類の単糖がくっつたものか、2種類以上の単糖がくっついたものかによって、上記のように分類されます。
キチンは、主にカニやエビの甲殻に含まれています。キトサンは、主に真菌類の接合菌類(ケカビの仲間)の細胞壁に含まれています。
難消化性デキストリンは、でんぷんの仲間で、トウモロコシのでんぷんを加工してつくられた人工的な食物繊維です。
糖アルコールとは
簡単にいうと、単糖にアルコールがくっついたもののことです。
植物や海藻など、自然界にも含まれていますが、一般的にはでんぷんから酵素反応などによって工業的につくられます。
原料は、トウモロコシや芋のでんぷんが原料です。
糖アルコールとして有名なものは、キシリトールやソルビトールです。
まとめ:炭水化物とは
炭水化物とは、文字通り「炭素(C)」と「水((H2O)」の化合物のことです。
そして、炭水化物の本質は単糖そのもの、あるいは単糖がたくさんくっついたもののことです。
単糖とは炭水化物の最小の単位で、化学式(CH2O)nで表されます。
nは3以上の数で、多くの場合は5~6です。
炭水化物の本質が単糖であるというのは、糖質はもちろん、食物繊維も変わりません。
では、糖質と食物繊維のなにが違うのかというと、人間の生理機能という点からみて、人の消化酵素で消化できるものを『糖質』、消化できないものを『食物繊維』と分類しています。
- 人の消化酵素で消化できる炭水化物
→ 糖質 - 人の消化酵素で消化できない炭水化物
→ 食物繊維
というわけで今回は以上です。
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