こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
本記事では、脂肪酸の基本的な構造についてわかりやすく解説します。
目次
脂肪酸の構造
上の画像の構造は、中性脂肪(≒トリグリセリド)の構造で、グリセリン(グリセロールともいいます)に、3つの脂肪酸がくっついた構造をしております。
ちなみに脂肪酸は、体内での多くはグリセリン(グリセロール)と結合して、中性脂肪として存在しています。
一部、グリセリンと結合せず単独で存在する脂肪酸もあり、これを遊離脂肪酸といいます。遊離脂肪酸は、水に溶けないため、血中ではアルブミンと結合して移動しています。
私たちの身体にとって覚えておくべき重要な脂質は以下の記事でまとめているのでよかったら併せてご覧ください。
脂質とは?その種類をとくに重要な5つにしぼって紹介します脂肪酸の基本構造
上の図は、脂肪酸の一種であるパルミチン酸の構造です。
このように脂肪酸の基本的な構造は、は炭素(C)が数~数十個、横につながった構造をしていて、炭化水素基とカルボキシ基(-COOH)で構成されています。
脂肪酸の特徴
- カルボキシ基
→ 親水性 - 炭化水素基
→ 疎水性
脂肪酸は、その構造のなかに親水性部分(カルボキシ基)と疎水性部分(炭化水素基)の両方をあわせもっています。
しかし、実際には脂肪酸は水に溶けにくい疎水性の化合物です。
これは、通常炭素が4個以上の場合のみを脂肪酸として扱い、炭素数が2個のものは脂肪酸に含めないことが多いからです(つまり、脂肪酸の大半が疎水性部分で占められているからです)。
逆に、炭素数が2個の脂肪酸は、水によく溶けます。
簡易的な脂肪酸の構造のあらわしかた
脂肪酸の構造を簡略化してあらわしていることがよくあります。
上の図をご覧ください。下のギザギザになっている構造が、脂肪酸の簡略構造です。
どういう風に簡略化しているのかといいますと、
- 炭化水素基の炭素(C)を省略
- 炭化水素基の炭素(C)に結合する水素(H)を省略
という風に、脂肪酸の構造を簡易的にあらわすことができます。
脂肪酸の分類
- パターン①:脂肪酸の中に二重結合があるかないか
→ 飽和脂肪酸 or 不飽和脂肪酸 - パターン②:炭素の鎖の長さ
→ 短鎖脂肪酸 or 中鎖脂肪酸 or 長鎖脂肪酸
脂肪酸の分類のしかたには、上記のように2パターンあります。
パターン①:飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
- 飽和脂肪酸
(炭化水素基に二重結合なし) - 不飽和脂肪酸
(炭化水素基に二重結合あり)
脂肪酸は、炭化水素基に二重結合があるかどうかによって2つに分類されます。
上の図は、飽和脂肪酸であるパルミチン酸の構造です。みてもらうとわかるように、炭化水素基の部分に「C=C」となっている部分がありません。ですので、パルミチン酸は飽和脂肪酸となるわけです。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは下記の記事で解説しています。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いをわかりやすく解説します補足:飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の特徴
参考までに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の特徴の違いを上の表にまとめておきます。
パターン②:短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸
- 短鎖脂肪酸
(炭素の数が2~6個) - 中鎖脂肪酸
(炭素の数が8~12個) - 長鎖脂肪酸
(炭素の数が14個以上)
脂肪酸は炭素の数によって、上記のように3つに分類されます。
ちなみに、わたしたちの体内の中には、炭素数が16か18個である長鎖脂肪酸に属するものが多いです。
まとめ:脂肪酸の構造と特徴
脂肪酸の基本的な構造は、は炭素(C)が数~数十個、横につながった構造をしていて、炭化水素基とカルボキシ基(-COOH)で構成されています。
この脂肪酸は、その構造のなかに親水性部分(カルボキシ基)と疎水性部分(炭化水素基)の両方をあわせもっています。
しかし、実際には脂肪酸は水に溶けにくい疎水性の化合物です。これは、脂肪酸のなかで疎水性部分(炭化水素基)の部分が大半を占めるためです。
というわけで、脂肪酸の基本的な構造と特徴については以上となります。
脂肪酸というのは、案外重要で、身体に良い油、悪い油というのは、実はこの脂肪酸の種類などのことをいっています。
ですので、栄養学的に脂肪酸は非常に重要です。
食品から脂質を摂るときは、どんな種類の脂肪酸が含まれているのかもチェックしてみてください。