こういった疑問に答えます。
こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
私自身、実際に病院に働いていますが、病気を理解するためには、その大元となる人体の代謝・生化学について理解することは必須だと思います。
そんな私がおすすめする代謝や生化学の本を今回は紹介したいと思います。
目次
代謝や生化学を学ぶ初学者におすすめな本【わかりやすさ重視】
看護学校や医学部で使うようなわかりにくい本ではなく、どちらかというと一般の人向けにわかりやすく書かれている本を6冊紹介します。
本を読んでいると、「ここよくわからないな」という部分がでてきますので、別の本を読んで理解するのがおすすめです。その著者なりの解説をしているので、別の切り口から理解の助けになります。
というわけで、おすすめをみていきましょう。
「代謝」がわかれば身体がわかる
中学・高校レベルの化学の知識がなくても読める本です。
本当にかみ砕いて(結構文体が特徴的ですが、逆にそれがいいです)、わかりやすく人間の身体の中で起こっている代謝について解説しているので、とりあえず最初に読むならこれがおすすめです。
なお、著者の大平万里さんは大学の理学部と大学院を卒業後、研究所で研究員をされていて、高校教諭のご経験もあるので、内容的にかなり信頼性もありつつ、わかりやすいという両輪をなし得ています。なので、しっかり学びつつ、わかりやすいのでかなりおすすめです。
マンガでわかる生化学
最近流行っているマンガ本です。
「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」などの基本的な代謝について図を多用しているのでわかりやすいです。
生化学や代謝に関する本のマンガはこれくらいしか知らないので、とりあえずマンガで学びたい!という人にはおすすめです。
忙しい人のための代謝学
個人的には一押しです。代謝・生化学はとっつきにくい本が多いが、非常にわかりやすく、かつ内容もしっかりしているという貴重な本です。
代謝・生化学の授業をわかりやすく先生に教えてもらってるといった感じです。
生化学の本は、淡々とATPをつくるシステムの「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」を解説していて読んでて辛いものがありますが、本書は、より具体的にわかりやすく内容を落とし込んでいるので、必ず読んでおくべき本です。
代謝・生化学の難しい用語もすごくいい感じで解説してくれていています。
代謝ガイドブック (初歩からのメディカル)
解糖系、クエン酸回路、電子伝達系などの基本的な代謝はもちろんのこと、食べ物の消化・吸収のメカニズム、肝臓や腎臓、脳など人体の主要な臓器の代謝についてもわかりやすく学べます。
ニッチな代謝だけでなく、人体をトータルとしてみた場合の代謝を俯瞰するのに最適です。図も多めなのでおすすめです。
マンガでわかる栄養学
若干、代謝・生化学の本からはずれますが、学んだ知識を食べ物の栄養という観点で実践的に理解するのに役立ちます。
例えば「甘いものを食べたら太る理由」といったことも書かれてあり、栄養と銘打ってるだけあって、より実践的に食生活への理解が深まります。
トコトンわかる図解 基礎生化学
これまでの本はどちらかというとわかりやすさ重視でしたが、本書が代謝についてもっとも詳しく書かれています。
こちらも非常にわかりやすい本ですが、内容がより深くなっていますので、通読するのは骨が折れますが、辞書代わりに1冊もっておいて損はない本です。
迷ったら買ってください
というわけで、いくつか本を紹介しましたが、人間の代謝や生化学について学びたい!という学習意欲のある人にはどれもおすすめの本です。
仮に、その時に読まなくても、後で何か気になることがあったときに調べたりするときに手元にあると便利です。
初学者が代謝を学びつつやるべきこと
本をただ読むだけじゃダメです。
ポイント:使える知識をメモすること
本ごとに一長一短があり、それぞれの本にしか書かれていない貴重な情報があるので、1冊の本だけ読むよりは、複数の本を読んで、使える知識をメモしていくことが大切です。
例えば「グリコーゲン」について説明している部分で「動物がつくる炭水化物の一種で、必要時のエネルギー源として使われます」としか書かれていないこともあります。
しかし別の本では、グリコーゲンについて、
- Aの本
動物の身体には燃料タンクといわれる2つのタンクをもっています。1つがグリコーゲンで、もう一つが中性脂肪です。 - Bの本
グリコーゲンは肝臓だけではなく、筋グリコーゲンとして筋肉にも貯蔵できます。その総重量は体重65kgの男性で約300g。スポーツ選手のように鍛えている人の場合は800g、肝臓の約100gに比べてはるかに多くの量を蓄えることができます。しかし、筋肉に蓄えられたグリコーゲンはあくまで筋肉を動かすためのエネルギー源としてのみ使われ、血糖維持のためには利用できません。ここが肝グリコーゲンとは大きく異なる点です。 - Cの本
肝臓に貯蔵できるグリコーゲンはせいぜい70~100g程度。1時間に脳と赤血球だけで6gものグルコースを消費するので、持ったとしてもせいぜい十数時間です。
という風に、いろんな角度から説明しています。
このように、「グリコーゲン」についても色んな説明方法があり、それぞれわかりやすさに違いがあったり、別の角度で「そうか、グリコーゲンも中性脂肪と同じようなエネルギーの貯蔵物質なんだ」という風に理解することができます。
ですので、ただ本を読み進めるだけでなく、グーグルドキュメントなどの文章入力ソフトなどを利用して、本を読みながら使えそうな知識があればメモすることが大事です。
というわけで、今回はおすすめの代謝や生化学のわかりやすい本を紹介してみました。どの本も非常にわかりやすく書かれている本ですので、学校で使っている本なんかよりも楽しく学ぶことができると思います。