こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
臨床工学技士として、透析液の残留塩素の濃度を管理することは非常に重要ですので、毎朝必ず透析液の塩素濃度を測定しています。
そこで、本記事では総残留塩素とは何なのかをわかりやすく解説しています。また、遊離残留塩素と結合残留塩素の違いも併せて解説しています。
目次
総残留塩素とはなに?わかりやすく解説してみた【遊離残留塩素と結合残留塩素の違い】
- 水道法で、水道水は塩素消毒を行うことが定められている。
- 残留塩素とは、水道水中に消毒効果のある状態で残っている塩素のことです。
日本の水道水は塩素によって消毒されています。これは日本だけでなく、世界的にも広く行われています。
残留塩素とは、水道水中に消毒効果のある状態で残っている塩素のことです。
この残留塩素には種類があり、遊離残留塩素と結合残留塩素とがあります。
水道水は次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)で消毒されている
- 水道水の消毒剤:次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)
水道法(水道法施行規則)では、衛生確保のために塩素消毒を行うことが定められています。
そして、水道水中に消毒効果のあるままで残っている塩素は残留塩素と呼ばれます。
水道水の塩素剤としては、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)といわれるものが使用されています。
温泉やプールにも次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が入っていますし、その他の塩素剤も入っています。
なお、水道法では給水栓(蛇口)から出る水道水には0.1mg/L以上の遊離残留塩素の濃度(結合残留塩素の濃度の場合は0.4mg/L以上)を保持するように定められています。
ちなみに、水道水に含まれる遊離残留塩素の濃度が高いとカルキ臭となって、水をまずく感じさせる原因になります。
遊離残留塩素とは?
- 塩素(Cl2)
- 次亜塩素酸(HClO)
- 次亜塩素酸イオン(ClO–)
遊離残留塩素とは、塩素(Cl2)、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO–)のことです。
先述したように、水道水は水道法によって次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)で塩素消毒されています。
この次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は水(H2O)と反応すると次亜塩素酸(HClO)と水酸化ナトリウム(NaOH)となります。
さらに、この次亜塩素酸(HClO)の一部は次亜塩素酸イオン(ClO–)と水素イオン(H+)に解離します。
これら次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO–)は、遊離残留塩素と呼ばれています。
結合残留塩素とは?
- モノクロラミン(NH2Cl)
- ジクロラミン(NHCl2)
- トリクロラミン(NCl3)
結合残留塩素とは、遊離残留塩素とアンモニアが結合してつくられる物質です。
殺菌作用は遊離残留塩素のほうが高いですが、残留性は結合残留塩素のほうが高いという特徴があります。
まとめ:総残留塩素とは?【遊離残留塩素と結合残留塩素の違い】
水道法(水道法施行規則)では、衛生確保のために塩素消毒を行うことが定められていて、まだ水道水中に残っている消毒効果のある状態の塩素のことを残留塩素といいます。
塩素といっても塩素(Cl2)をそのまま使うのではなく、塩素を含んだ薬剤を水に添加する形で病原菌などを処理します。
水道水の塩素剤としては、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)といわれるものが使用されています。
この次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は水(H2O)と反応すると次亜塩素酸(HClO)と水酸化ナトリウム(NaOH)となります。
さらに、この次亜塩素酸(HClO)の一部は次亜塩素酸イオン(ClO–)と水素イオン(H+)に解離します。
これら次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO–)は、遊離残留塩素といいます。
これら遊離塩素の一部は、アンモニアと結合して結合残留塩素(クロラミン)となります。
結合残留塩素(クロラミン)には、モノクロラミン(NH2Cl)、ジクロラミン(NHCl2)、トリクロラミン(NCl3)があります。
というわけで今回は以上です。残留塩素である遊離残留塩素と結合残留塩素についてわかりやすく解説してみました。少しでも参考になれば幸いです。
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