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三ドメイン説による生物の分類とは【古細菌・真正細菌・真核細胞】

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

本記事では、三ドメイン説が全く分からない人に向けて、三ドメイン説の分類についてわかりやすく解説します。

5分以内で読めますので、生物の分類の根本を知りたい人はサクッとどうぞ。

生物の分類【ドメイン、界、門、綱、目、科、属、種】

生物の分類
  1. ドメイン(Domain)
  2. 界(kingdom)
  3. 門(Phylum)
  4. 綱(Class)
  5. 目(Order)
  6. 科(Family)
  7. 属(Genus)
  8. 種(Species)

そもそも生物全体は、上記のように「ドメイン、界、門、綱、目、科、属、種」の8段階に分けられています。

少し解説しますと、種が集まったものが属、属が集まったものが科、科が集まったものが目という風に、小さな枠組みが徐々に合わさって大きくなっていきます。そして、もっとも大きな枠組みがピラミッドの頂点にある「ドメイン」となります。

例:人間を分類した場合

人間の分類
  1. ドメイン → 真核生物ドメイン
  2. 界 → 動物界
  3. 門 → 脊椎動物門
  4. 綱 → ほ乳綱
  5. 目 → 霊長目
  6. 科 → ヒト科
  7. 属 → ヒト属
  8. 種 → サピエンス

わたしたち人間を分類した場合上記のようになります。

補足:二名法(にめいほう)(世界共通)
生物名(学名)を「属名」と「種小名」で列記する方法です。
ラテン語で表記し、ヒト属のラテン語は「ホモ」。サピエンスのラテン語は「サピエンス」
ですので、僕らの生物名(学名)は「ホモ・サピエンス」です。

ドメインってなに?

生物の分類学におけるドメインとは、「界」よりも上の、もっとも高いランクの階級のことです。

そして、三ドメイン説においては、生物は以下の3つのドメインに分類されます。

三ドメイン説
  • 細菌ドメイン
  • 古細菌ドメイン
  • 真核生物ドメイン

ちなみに、三ドメイン説は1990年にリボソームRNAの解析をもとにしてウーズによる提唱されたものです。

三ドメイン説と五界説

「界」というのは、1990年まで「三ドメイン説」ができるまでの生物を分類するときの最も大きな枠組みでした。

「界」は、1735年にリンネによって「動物界」と「植物界」を分ける「二界説」からスタートしました。その後、「界」の数が増えていき、1969年にホイッタカーにより「五界説」が提唱されました。三ドメイン説は、1990年にリボソームRNAの解析をもとにしてウーズによって、五界説よりも大きな枠組み(界よりも上の枠組み)として提唱されました。

1977年、カール・ウースは、タンパク質の合成の場であるリボゾームのRNA成分の一つ、16SリボゾームRNAを使って分子進化学的にバクテリアの分類を試みた。その結果、高温、高塩、強酸、といった極限環境で棲息しているバクテリアのグループが、通常の環境で棲息しているバクテリアと、系統樹の上で明らかに区別できることを発見した。棲息している環境が原始地球の環境に似ていることから、ウースらは、最古の生物の姿を止めた“生きた化石”という期待をこめて、前者のグループを古細菌(アーケア)と名づけ、後者のグループを真正細菌(バクテリア)とした。ウースらは、これら2つに真核生物を加えて、地球上の全生物は、真正細菌、古細菌、真核生物の3つの超生物界から構成されるという分類体系を提唱した。

引用:https://www.brh.co.jp/research/formerlab/miyata/2005/post_000008.html

この三ドメイン説ができてからは、まず生物全体を3つのドメインに分け、これらドメインよりも下位の分類階級として「界」を扱うようになりました。

ですので「界」という分類は、三ドメイン説が登場するまで最上位の分類階級でした。

現在では五界説のみを支持する研究者はほとんどおらず、現在の主流ではありません。

三ドメイン説 ⇒ 最近の生物の分類として最有力

三ドメイン説
  1. 細菌ドメイン
  2. 古細菌ドメイン
  3. 真核生物ドメイン

三ドメイン説とは、1990年にリボソームRNAの解析をもとにしてウーズによる提唱されたもので、生物を3つのドメインに分けた分類になります。

現在、地球上に存在する生物は、この3つのドメインのいずれかに分類されます。

三ドメイン説の分岐

上の図は全生物の系統図で、下の一本の枝が全生物の共通の祖先です。下のほうから上のほうに向かってどんどんと分岐していきます。

図のとおり、最初の分岐で「細菌ドメイン」(紫色)に分かれ、次に「古細菌ドメイン」(赤色)と「真核生物ドメイン」(黄色)で分かれています。

この三つを、三ドメインといいます。

ここで誤解してほしくないのは「古細菌ドメイン」の歴史が、「真核生物ドメイン」との分岐のところで始まったのではないという点です。
地球にはじめて誕生した生物は「古細菌」に近いものと考えられています。
ですので、最初の枝のところで「古細菌」から「細菌ドメイン」が分岐し、次の枝で「真核生物ドメイン」が分岐したという考え方が正しいです。

ドメインの分類のしかた

  1. 「細菌ドメイン」
  2. 「古細菌ドメイン」
  3. 「真核生物ドメイン」

三ドメイン説の分類のしかたは、リボソースRNAの解析にもとづいた分類法です。これにより、上記の3つのドメインに分類されました。

RNAの解析により、古細菌は、細菌より真核生物に近い生物であることが分かっています。

細菌ドメイン、古細菌ドメイン、真核生物ドメインについて

細菌ドメイン 原核生物 原核生物の細胞

・細胞膜あり
・細胞質あり
・核膜なし

古細菌ドメイン
真核生物ドメイン 真核生物 真核生物の細胞

・細胞膜あり
・細胞質あり
・核膜あり

三ドメイン説では、「細菌ドメイン」「古細菌ドメイン」「真核生物ドメイン」に分けられます。

上の表のとおり、「細菌ドメイン」と「古細菌ドメイン」に属する生物は「原核生物」です。そして、「真核生物ドメイン」に属する生物は「真核生物」です。

補足:原核生物と真核生物の違い

原核生物 – Wikipedia

原核生物(げんかくせいぶつ)とは真核、つまり明確な境界を示す核膜を持たない細胞からなる生物のことで、すべて単細胞生物。
真核生物と対をなす分類で、性質の異なる細菌(バクテリア)とアーキア(旧名:古細菌)の2つの生物を含んでいる。

真核生物 – Wikipedia

真核生物(しんかくせいぶつ)は、動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物である。
生物を基本的な遺伝の仕組みや生化学的性質を元に分類する3ドメイン説では、古細菌、真正細菌ドメインと共に生物界を3分する。

  1. 原核生物
    → 核をもたず、DNAが核膜に包まれていない細胞(原核細胞)をもつ生物のこと
  2. 真核生物
    → 核をもつ細胞で、DNAが核膜に包まれている細胞(真核細胞)をもつ生物のこと

生物は細胞の構造の違いによって「原核生物」と「真核生物」に分けることができます。

つまり、原核細胞と真核細胞の違いは、DNAを包む核膜があるかどうかということです。

細菌ドメイン

著作権者:Ali Zifanさん、ライセンス:CC by-sa 4.0、<細菌

細菌ドメインに属する生物の例

黄色ブドウ球菌(学名:Staphylococus aurens、大腸菌(学名:Eshericha coil、マイコプラズマ(学名:Mycoplasma、コレラ(学名:Vibrio cholerae、乳酸菌(学名:Enterococcus faecalis(乳酸菌の一種))

核膜をもたず、構造は非常に単純(上の画像は細胞の典型的な構造)ですが、代謝系は非常に多様です。

生息環境も生物圏と考えられるありとあらゆる場所に広がっていて、種類も膨大です。

古細菌ドメイン

古細菌ドメインに属する生物の例

メタン菌(学名:Methanobrevibacter smithii(メタン菌の一種))、高度好塩菌(学名:Haladaptatus cibarius(高度好塩菌の一種))、超好熱菌(学名:Methanopyrus kandleriなど

細菌と非常に似ていて(細胞の形や大きさでは真正細菌との区別はつきません)、以前までは細菌と同じと考えられていました(上の図は古細菌の基本的な構造です)

しかし、近年の遺伝子解析によって、古細菌と細菌はまったく異なる生き物だと考えられています。

ウーズによるリボソームRNAの解析の結果、古細菌は細菌と同じ原核生物であるものの、どちらかというと真核生物に近いことがわかりました。ですので、新たに古細菌ドメインという分類がつくられたという背景もあります。

ちなみに、微生物の中でもっとも高温に耐えられるのはMethanopyrus kandleri という超好熱菌であり、122℃という高温でさえギリギリで耐えられます。

古細菌は、地球上で一番初めに誕生した生物に近いといわれています。その生息環境は幅広く、深海、温泉、地下深く、無酸素環境、超高温、超高圧、高塩度など極限的な環境でも生き抜くことができます。

真核生物ドメイン

著作権者:MesserWolandSzczepan1990さん、ライセンス:CC by-sa 3.0、<真核生物

真核生物ドメインをさらに分類した場合
  1. 原生生物界
    → 原核生物ではなく真核生物で、「菌界」「植物界」「動物界」にも属さない例外的な存在
    (例:アメーバ、ゾウリムシ、キイロタマホコリカビなど)
  2. 菌界
    → カビやキノコなど胞子を出す生物
    (例:キノコ、カビ、酵母など)
  3. 植物界
    → 光合成をして有機物をつくる生物
  4. 動物界
    → 人間、チンパンジーなど

真核生物ドメインに属する生物の細胞のDNAは核膜に包まれており、真核生物です。

  1. 原核生物
    → 核をもたず、DNAが核膜に包まれていない細胞(原核細胞)をもつ生物のこと
  2. 真核生物
    → 核をもつ細胞で、DNAが核膜に包まれている細胞(真核細胞)をもつ生物のこと

この真核生物ドメインは、五界説によってさらに上記の四つに細分化されます。

真核細胞の典型的な構造
①核小体 ②細胞核 ③リボソーム ④小嚢 ⑤粗面小胞体 ⑥ゴルジ体 ⑦細胞骨格 ⑧滑面小胞体 ⑨ミトコンドリア ⑩液胞 ⑪細胞質基質 ⑫リソソーム ⑬中心体

真核生物 – Wikipedia

真核生物の細胞は一般的に原核生物の細胞よりも大きく、場合によっては1000倍以上の体積を持つこともある。細胞内にはさまざまな細胞小器官がある。細胞核は必要な物質のみ透過する穴の開いた二重の膜で覆われており、核液と遺伝情報を保持する DNA を含んでいる。細胞のその他の部分は細胞質と呼ばれ、細胞骨格によって支えられている。

 

 

それでは今回は以上です。

生物の分類の本質的なところをまとめました。今、地球上に存在する生物は本記事で説明した「ドメイン」と「界」によって分類することができます。気になる生物がいれば分類を調べてみると面白いかもしれません。

 

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