サイトアイコン 透析note【臨床工学技士 秋元のブログ】

ビタミンD2とD3の違いってなに?【ビタミンDの種類など】

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事では、ビタミンD2とビタミンD3の違いを皮切りに、ビタミンDの概要について解説しています。

ビタミンD2とD3の違い

主なビタミンDの種類
  • ビタミンD2:植物由来
  • ビタミンD3:動物由来

ビタミンDには、主に植物由来のビタミンD2と動物由来のビタミンD3の2種類があります。

私たち人は皮膚でビタミンD3を合成し、食事によってビタミンD2とビタミンD3を摂取しています。

ですので、私たちの体内でつくられるビタミンDは、ビタミンD3のほうです。

このビタミンD2とビタミンD3は体内で同一の代謝を受け、働きもほとんど差がないのでまとめてビタミンDと記載されていることもあります。ただし、カナダの研究によるとビタミンD3のほうが体内での働きは強いという報告もあります。

構造的には、ビタミンD2とビタミンD3は側鎖構造のみが違っています。

  • ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)は、プロビタミンD2(エルゴステロール)由来です。
  • ビタミンD3(コレカルシフェロール)は、プロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)由来です。

ビタミンDの種類

ビタミンDの種類
  • ビタミンD2
    (化学名:エルゴカルシフェロール)
  • ビタミンD3
    (化学名:コレカルシフェロール)
  • ビタミンD4~D7
    (食品にほぼ含まれず、体内での働きも弱い)

厳密にいうとビタミンDにはビタミンD2~D7の6種類ありますが、ビタミンD4~D7は食品にほぼ含まれず、体内での働きも弱いです。

ですので、体内において重要なビタミンDは、ビタミンD2とビタミンD3です。

基本的にビタミンD2とビタミンD3ともにほぼ同じ働きをするといわれています。ですので、まとめてビタミンDと書かれていることが多いです。ただ、カナダの研究によるとビタミンD3のほうが体内での働きは強いという報告もあります。

ビタミンDの役割

ビタミンDの役割
  1. 小腸からのカルシウムとリンの吸収を促進
    → 血中カルシウム濃度UP
  2. 腎臓でのカルシウムとリンの再吸収促進(尿にカルシウムとリンが出にくくなる)
    → 血中カルシウム濃度UP
  3. 骨から血中へカルシウムの放出を促進
    → 血中カルシウム濃度UP

ビタミンDでもっともよく知られた役割は、小腸からのカルシウム(骨の材料)の体内への吸収を促進させて、血中のカルシウム濃度を上げることです。

逆にビタミンDが不足すると、小腸からのカルシウムの吸収がうまくできず、血中のカルシウム濃度が低下します。

血中のカルシウムが低下すると、血中のカルシウム濃度を上げるために(筋肉や心臓が正常に動くためにはある程度血中にカルシウムが必要なため)骨が溶け出し、骨がもろくなる「くる病、骨軟化症、骨粗鬆症」といった病気の原因となります。

ビタミンDは、乳幼児の足や背骨が曲がってしまう「くる病」の治療薬として発見されました。

その他のビタミンDの役割

その他のビタミンDの役割
  1. 免疫システムを正常化させます
    → 風邪やインフルエンザにかかりにくくなるだけでなく、がん予防や花粉症の改善にもなります
  2. 筋肉を成長させます
  3. 脳の働きに必要です
    → 不足すると鬱やアルツハイマーと関係しています

しかし、ビタミンDには他にもいろいろな役割があり、アレルギーの改善やメンタルにも大きく影響しています。

近年、ビタミンDは脳、心臓、腸、血管、筋肉など全身の細胞に直接働きかけるホルモンのような働きがあることがわかってきました。

実際、毎年かなりひどい花粉に苦しめられていたんですが、ビタミンDが豊富に含まれてる鮭を毎日食べるようにしてから花粉症の症状が激減して驚きました。

このようにビタミンDには様々な働きがあり、ビタミンと名がついていますが、その役割は通常のビタミンよりも多く、もはやビタミンではなくホルモンである(ステロイドホルモンに近い)と考えている研究者もいます。

活性型ビタミンDとは?

日光、食品、サプリから得られるビタミンDは不活性型で、体内で使えるようにするには2つの臓器(肝臓と腎臓)が必要です。

活性型ビタミンDの合成の流れ

ビタミンDを活性型にする流れは上記のとおりです。

ビタミンDの活性化のためには体内で2つの水酸化(ヒドロキシル化)が必要で、詳細は下記に記載します。

ビタミンD3の水酸化による活性型ビタミンD3の生成
  1. まず、最初に肝臓で水酸化が起こり、25-ヒドロキシビタミンD3(略称:25(OH)2D3に変換します。
  2. 次に、腎臓で水酸化が起こり、活性型である1,25-ジヒドロキシビタミンD3(略称:1,25(OH)2D3になります。

ビタミンD2も同様の反応で活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンD2となります。

ちなみに、今までは腎臓以外では活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD)はつくられないと考えられていました。しかし現在では、副甲状腺、骨芽細胞など種々の臓器で活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD)がつくられることがわかっています。

ビタミンDが不足すると・・・

ビタミンDが不足すると・・・
  • 花粉症などのアレルギーの原因に
  • 気分の落ち込み(うつ様の症状)
  • うつ病にかかりやすくなる
  • 肌の老化
  • ガンの発症率が上がる
  • 脳の機能がおとろえる
  • 肥満になる
  • 骨がもろくなる(骨軟化症、クル病、骨粗鬆症)
  • アルツハイマーのリスクが上がる

ビタミンDは世間的にはそれほど重要視されていない印象がありますが、実際にはホルモンなみの効果を発揮するので、その役割はかなり重要です。

1日のビタミンDの必要量

1日に必要なビタミンDの量
  • 普通体型の人(BMIが18.5~24.9):3,049IU/日
  • 太りぎみの人(BMIが25.0~29.9):4,450IU/日
  • 肥満の人(BMIが30以上):7,248IU/日

1日のビタミンDの必要量は、2015年にアルバータ大学が108本もの膨大な論文をまとめた最新データが参考になります。
Optimal Vitamin D Supplementation Doses that  Minimize the Risk for Both Low and High Serum 25Hydroxyvitamin D Concentrations in the General  Population

補足:ビタミンDの単位
IU(アイユー)は、International Unit(国際単位)と呼ばれ、国際的に決められた単位のことです。他の単位との換算はビタミンにより異なるので注意してください。
ビタミンDの場合、1 μg=40 IUとなります。

現代人は屋内で働いていたり、屋外で運動をする機会も少ないのでとにかくビタミンDが足りず、そのせいの不調が多いといわれています。

後述しますが、食品からもビタミンDを摂ることはできますが、ビタミンDに関しては上記の基準を満たすためにはサプリメント推奨です。

データによると1日あたり10,000 IUあたりを超えたあたりから取り過ぎの害が出てくるといわれています。

ビタミンDを増やす3つの方法

  1. 食品
  2. 太陽光を浴びる
  3. サプリメント

ビタミンDを増やすには、上記の3つの方法があります。

ビタミンDを豊富に含む食品を食べる

ビタミンDを豊富に含む食品は以下のとおりです。

食品 ビタミンD(IU)(可食部100gあたり)
あらげきくらげ(乾) 514IU
カツオ(加工品、塩辛) 480IU
あんこう(きも、生) 440IU
きくらげ(乾) 342IU
しらす干し(半乾焼品) 244IU
べにさけ(焼き) 154IU

参考:文部科学省「食品成分データベース」

鶏肉、豚肉、牛肉、内臓類、貝類、エビ、カニ、イカ、タコ、野菜、イモ類、豆類、果物、海藻、穀類にはほとんどビタミンDは含まれていません。

より詳しく知りたい人は「文部科学省「食品成分データベース」」で確認してください。

みていただくとわかりますが、ビタミンDが豊富に含まれてる食品は、ごくごく一部で、ほぼ魚介類、特定のキノコ類に集中しています。

逆にこれらの食品を日ごろから食べていますか?こんなに癖のある食べ物は僕はほとんど食べていません(たまに鮭を食べるくらい)。

ですので、ほとんどの人は十中八九ビタミンDが不足してます(残念ながら肉や野菜にはほとんど含まれていませんので)。また、1日に必要だといわれているビタミンD量も(100gという結構な量にも関わらず含まれるビタミンD量もたいしたことない)、近年で必要だといわれてる量に比べるとだいぶ少ないので、やはりビタミンDに関してはサプリメントによる補給が必要です。

直射日光にあたる

基本的にビタミンは体内でつくることができませんが、ビタミンDは他のビタミンと違い体内からつくりだすことが可能です。

方法は簡単で、太陽光に直接あたるだけです。

太陽光に含まれる紫外線が皮膚にあるプロビタミンD3にあたり、プレビタミンD3に変えられます。そして、プレビタミンD3が体温によって熱異性化してビタミンD3に変わります。

ちなみにプロビタミンD3はコレステロールからつくられます。

ただし、窓越しに太陽光にあたってもビタミンD3はつくられません。

ビタミンD3をつくる働きがあるのは太陽光に含まれる波長290~320nmのUVB(紫外線B波)といわれる種類の紫外線になります(ちなみに、UVA(紫外線A波)の波長は320~400nmです)

現代のオフィスや戸建ての窓ガラスには、このUVB(紫外線B波)をブロックするといわれているため、太陽光には窓越しではなく直接あたるようにしてください。

皮膚に存在するコレステロール由来のプロビタミンD3は、UVB(紫外線B波)によってプレビタミンD3へ光異性化します。さらに体温により徐々に熱異性化し、ビタミンD3へとなります。
紫外線は波長の長さによってUVA(紫外線A波)、UVB(紫外線B波)、UVC(紫外線C波)の3つに分けられます。UVCはオゾン層に吸収されるため、地表には届きません。

ただ、日光浴しすぎたら皮膚がんのリスクがあがるんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、ビタミンD研究の権威であるマイケル・ホリック博士によると、

適度な日光浴(肌が赤らむほどではなく、健康的な小麦色に焼けるぐらい)のレベルで、皮膚ガンの発症率が高まることを示した科学的なデータは存在しない。皮膚ガンにつながるのは、あくまで過度な日光を浴びたときだけだ。

肌が痛くなるぐらいの日焼けを起こさない範囲で、直射日光にガンガンあたるべきです。

サプリメント

ビタミンDは、食品から摂ったり、太陽光によって皮膚からもつくられるんですが、いかんせ最近のトレンドとして今まで考えられていた量よりもビタミンDの必要量は多いということがわかっていまして、食品や日光浴だけでまかないきるのは難しいです。

また、ビタミンD3が豊富に含まれてる食品はかなり限定してまして、食べない人にとってはまったく普段口にしないと思います。

意識して食べようにも、なかなか癖のある難しい食品ばかりなので、やはりビタミンDについてはサプリメントで積極的に摂ることをおすすめします。

ただ、ビタミンDだけでは身体の中でうまく使われない場合もあり、マグネシウムも併せて摂ったほうがいいです。

アメリカのレイクエリーオステオパシー医科大学の研究(1)によると、マグネシウムが体内に十分にないとビタミンDの代謝ができず、貯蔵されたまま不活性に終わるとのことです。

ビタミンDは脂溶性ビタミンなので尿で排泄することができません。ですので、サプリメントによる過剰摂取には注意してください。ただ、1日あたり10,000IUあたりを超え無い限りは問題なさそうなので、無茶苦茶な飲み方をしない限り問題はありません。

 

というわけで今回は以上です。

 

<注意事項> 本ブログに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、掲載された情報に基づく判断については利用者の責任のもとに行うこととし、本ブログの管理人は一切責任を負わないものとします。 本ブログは、予告なしに内容が変わる(変更・削除等)ことがあります。

モバイルバージョンを終了