こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
今回は、ワーファリンの概要について簡単にまとめてみました。
目次
ワーファリンとは
- 一般名(成分名):ワルファリンカリウム
ワーファリンはビタミンK拮抗薬です。抗凝固薬の一つで、血液をさらさらにして、血栓の形成を予防する薬です。
ワーファリンの作用機序
ワーファリン®は血液凝固因子を直接抑制して効果を示す薬剤ではなく、肝臓でビタミンK依存性凝固因子の第Ⅱ(プロトロンビン)、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の生合成を抑制することにより抗凝固作用、血栓形成の予防作用を示す。
血液の中には出血した時に血液を固まらせる物質である「血液凝固因子」があります。このうち、いくつかがビタミンKによって肝臓でつくられます。
ワーファリンは、このビタミンKの働きを阻害することで、血液凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の生合成を抑制し、抗凝固作用を発揮しています。
ワーファリンの適応
- 深部静脈血栓症
- 肺塞栓、肺梗塞
- 人工弁置換術後
- 弁膜症を合併した心房細動
ワーファリンの適応は上記のとおりです。
場合によって適応となるのは以下のとおりです。
- 心筋梗塞
- 冠動脈バイパス術
- 弁膜症を合併しない心房細動
- 一過性脳虚血発作
- 細い移植血管術後
ワーファリンの禁忌
ワーファリンを使ってはいけない病気、状態は以下のとおりです。
- 内服管理が不可能な患者
- 新鮮な脳出血後
- 中枢神経や眼の最近の手術
- 炎症性腸疾患、消化性潰瘍、食道静脈瘤
- 肝硬変の非代償期
- 出血傾向がある患者
(出血性疾患のリスクが上がります。) - 消化器や呼吸器の内視鏡的生検前
- 妊婦
(ワーファリンには、お腹の赤ちゃんの奇形の原因となるため使えません。)
ワーファリンは胎盤を通過し、催奇形性があるため妊婦には禁忌です。
ワーファリンのデメリット
ワーファリンは、内服を開始してから効果が得るまでに時間がかかります。ですので、血栓症発症の急性期の治療としては、ヘパリンなどの即効性のあるものを先に使用します。
また、ワーファリンの抗凝固作用は、ビタミンKを大量に含む緑黄色野菜や納豆などを大量に摂取してしまうと効果が弱くなってしまいます。
納豆なんて少しでも食べれば、すぐにワーファリンの効果は弱くなってしまいますので、採血結果(PT-INR)をみればすぐに医者にばれてしまいます。
ワーファリンの効果判定
ワーファリンの効果判定には、PT-INRという採血データをみます。
APTTでは感度が低く、正常になってしまう人もいるため、感度のよいPTを指標として使います。
PT-INRを使う理由は以下のとおりです。
ワーファリンは血液凝固因子の第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹの生合成を抑制し、抗凝固作用を発揮しています。このうち最も半減期が短い、つまりワーファリンの作用を受けやすいのが血液凝固因子の第Ⅶで1.5~5時間です。したがって、第Ⅶ因子に関与する外因系:PTがワーファリンの効果を最も反映します。
ワーファリンを服用する際の注意点
ワーファリンはビタミンKの働きを阻害して、抗凝固作用を発揮する薬です。
ですので、ビタミンKを大量に含む、納豆、クロレラ(健康食品の一種)などを摂取するとワーファリンの効果が弱くなってしまいます。これらは絶対に食べないようにしましょう。緑色野菜(ほうれん草やブロッコリーなど)や海藻にもビタミンKが含まれていますが、こちらは大量に食べなければ問題ありません。
お酒も注意が必要です。ワーファリンは肝臓で分解されるんですが、お酒を飲みすぎると、肝臓の機能が低下し、ワーファリンの効果が強くなる可能性があります。また、アルコールを週間的に摂取すると、今度は逆にワーファリンの効果が弱くなってしまいます。
というわけで今回は以上です。
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