こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
本記事では、痒みのある透析患者さんに投与されることもあるネオファーゲンについて解説します。
目次
透析患者さんの痒みに対して投与するネオファーゲンについて
透析患者さんの痒みに対し、ネオファーゲン静注20mLの投与がおこなわれることがあります。
ネオファーゲン静注20mLについて
画像引用:大鵬薬品,ネオファーゲン静注20mL
販売名 | ネオファーゲン静注20mL |
容量 | 1管 20mL |
成分 | ① グリチルリチン酸-アンモニウム:40mg (グリチルリチン酸として) ② グリシン:400mg ③ L-システイン:20mg (L-システイン塩酸塩相当量) |
添加物 | 亜硫酸水素ナトリウム:30mg |
効能・効果 | ① 小児ストロフルス、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症、口内炎、フリクテン、薬疹・中毒疹 ② 慢性肝疾患における肝機能異常の改善 |
参考:添付文書
その他のグリチルリチン製剤として、強力ネオミノファーゲンシーがあります。
強力ネオミノファーゲンシーには、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリシン、L-システイン塩酸塩が含まれています。
ネオファーゲンの主成分、グリチルリチンとは?
グリチルリチンは、生薬(しょうやく)である甘草の主成分です。効果として、解毒作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、肝障害回復作用などをもっています。
甘草(カンゾウ)について
画像引用:日本漢方生薬製剤協会、カンゾウ(甘草)
漢方で使われる甘草(カンゾウ)は、ウラルカンゾウやスペインカンゾウの根と根茎を乾燥させたものです。
文字どおり、甘みがあって、成分のグリチルリチンは砂糖の数十倍もの甘みがあります。
ちなみに、甘草は漢方で一番よくつかわれてる生薬です。
ネオファーゲンの効果
ネオファーゲンには、肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制や、かゆみの伝達物質生成を抑えるなどの作用があります。
ですので、ネオファーゲンの効果としてアレルギーをおさえる作用があり、湿疹や皮膚炎の改善が期待できます。
ネオファーゲンの投与方法
透析終了後に、静脈側回路よりネオファーゲン静注20mlを注射します。
このとき、急速に投与せず、できるだけ緩徐に投与します。急速に投与してしまうと、しびれ感、ピリピリ感、血圧低下などが起こる可能性があるといわれています。また、初回投与時はショックが起こることがあり、注意が必要です。
透析患者さんに投与するときは、透析ごとに1回5~20mLを透析の終了時に静脈回路より投与します。
ネオファーゲンの副作用
ネオファーゲンの副作用として、偽(ギ)アルドステロン症があります。
偽アルドステロン症の症状としては、手足のしびれ、つっぱり感などがあり、進行すると四肢の脱力や筋肉痛があります。
というわけで今回は以上です。
<注意事項> 本ブログに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、掲載された情報に基づく判断については利用者の責任のもとに行うこととし、本ブログの管理人は一切責任を負わないものとします。 本ブログは、予告なしに内容が変わる(変更・削除等)ことがあります。