必須・非必須アミノ酸の構造式の一覧【全部で20種類あります】

必須・非必須アミノ酸の一覧

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

私たちの身体をつくっている10万種以上のタンパク質は、わずか20種類のアミノ酸の組み合わせによってつくられています。

また、タンパク質を構成しているアミノ酸の数は数百~数千個と膨大な数です。

ちなみに、自然界には約500種類ものアミノ酸があります。

本記事では、私たちの身体をつくっている20種類すべてのアミノ酸の構造式を一覧で紹介したいと思います。

アミノ酸の一般構造式

アミノ酸の一般構造式

タンパク質をつくっているアミノ酸は20種類であるが、これらはすべて、アミノ基 -NH2とカルボキシ基 -COOHが分子内の同じ炭素原子に結合した共通構造部分をもっている。(中略)ただし、プロリンは例外であり、アミノ基ではなくイミノ基  >NHをもつ。

引用:系統看護学講座 専門基礎 人体の構造と機能[2]生化学 第13版,p51

アミノ酸とは、炭素(C)にアミノ基(-NH2とカルボキシ基(-COOH)が結合した化合物のことです。ただし、プロリンだけは例外で、アミノ基ではなくイミノ基をもっています。

アミノ酸は、タンパク質を構成する最小の単位で、このアミノ酸の種類と並び方でタンパク質の種類が変わります。

上の図は、アミノ酸の一般的な構造式です。
中心の炭素(C)に、カルボキシ基(-COOH)とアミノ基(-NH2が結合していますが、この炭素(C)にはもう一つのカタマリ「側鎖(R)」も結合しています。

このアミノ酸の一般的な構造の側鎖(R)の違いによって、アミノ酸の種類が異なっています。

ちなみに、人の身体は水分を除けば、ほとんどがタンパク質でてきています。タンパク質は英語でProtein(プロテイン)といいますが、これはギリシャ語で一番重要なものという意味のあるProteios(プロティオス)が語源です。

α-アミノ酸について簡単に・・・

とくに、同じ炭素(C)にアミノ基(-NH2とカルボキシ基(-COOH)が結合したものを「α-アミノ酸」といいます。

通常、私たちがアミノ酸といっているのは「α-アミノ酸」のことです。

補足:アミノ酸の名前の由来

アミノ酸の「アミノ」は、アミノ基「-NH2」をもっているところからきています。

アミノ基とは、アンモニアから水素Hを取り除いたもので、-NH2であらわされます。

アミノ酸の「酸」は、「酸性」のことです。

一般に、酸性を示す有機化合物の多くは、カルボキシ基「-COOH」を含んでいます。

つまり、アミノ基「-NH2」とカルボキシ基「-COOH」をもっているから、アミノ酸と名づけられているんです。

アミノ酸が一本の「ヒモ」になってタンパク質がつくられます【ペプチド結合】

アミノ酸の一般構造式

アミノ酸同士の結合は、アミノ基「-NH2」とカルボキシ基「-COOH」が結合し(これをペプチド結合といいます)、水分子「H2O」が抜けることでおこなわれています。

20種類のアミノ酸が、遺伝子の情報にもとづいてペプチド結合することで、タンパク質はつくられています。

このペプチド結合は、枝分かれすることなく、一列に、一本のヒモのようにつながっていきます。

ちなみに、アミノ酸が結合してできた物質のことをペプチドといいます。アミノ酸の数が2個の場合をジペプチド、3個のアミノ酸がつながればトリペプチド、10個程度のものまではオリゴペプチドといいます。多数つながるとポリペプチドと呼ぶので、タンパク質はポリペプチドです。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸【全部で20種類】

必須アミノ酸と非必須アミノ酸の一覧

  • 必須アミノ酸:9種類
    →体内で合成されない(または合成されにくい)アミノ酸のこと
    (バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン)
  • 非必須アミノ酸:11種類
    →体内で合成されるアミノ酸のこと
    (アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸)
    ※ アルギニンは小児では合成量が少なく、準必須アミノ酸と考えられています。

私たちの身体を構成するタンパク質は、20種類のアミノ酸によって構成されていて、必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けることができます。

上記の20種類のアミノ酸によって、私たちの身体のすべてのタンパク質がつくられています。

しかし、なかにはタンパク質を構成しないアミノ酸(遊離アミノ酸)というのもあり、例えば、テアニン、オルニチン、シトルリン、タウリンなどがあります。

20種類のアミノ酸全種類の構造式を一覧で紹介!

アミノ酸の一般構造式

上の図は、アミノ酸の一般的な構造式で、側鎖(R)の部分がアミノ酸ごとに異なっています。

実際のアミノ酸の構造は、平面ではありません。
実際のアミノ酸の構造は、正四面体の中心に炭素原子があり、正四面体の頂点の位置に残り4つの原子(分子)があります。
つまり、実際の形は構造式に書かれているような、単純な十字形ではないということです。

L体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)について【光学異性体】

L体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)は、光学異性体を区別するための記号です。

光学異性体について簡単に解説すると、アミノ酸には、ちょうど私たちの右手と左手の関係のように鏡に映し出すと同じ構造になるものがあります(下図参照)。アミノ酸にも同じようなことがいえて、一方をL体(L-アミノ酸)、もう一方をD体(D-アミノ酸)といいます。つまり、L体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)のアミノ酸の違いはその立体構造にあります。

画像引用:味の素『アミノ酸大百科』

右手と左手はどのように回転、裏返してもまったく同じように重ねることができません。

L体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)のアミノ酸もこれと同じ関係になっています。

グリシン以外のアミノ酸には、光学異性体があり、L体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)があります。
なお、私たちの身体を構成するタンパク質はすべてL体(L-アミノ酸)です。

L体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)では、立体構造が異なるんですが、本記事ではD体とL体が分かるような構造式の記載をしていません。
あくまで、それぞれのアミノ酸がどういった構造で、それぞれのアミノ酸ができているのかがわかることを目的としております。

それでは実際に、20種類のアミノ酸の構造式をみていきましょう。

①グリシンの構造式と役割

グリシンの構造式

  • 3文字略記号・・・Gly
  • 1文字略記号・・・G
  • 分子量・・・75.1
  • 非必須アミノ酸

グリシンの役割は以下のとおりです。

  1. クレアチンリン酸の材料
  2. コラーゲンの材料
  3. 神経伝達物質
  4. 胆汁酸抱合体の材料
  5. 赤血球の材料

②アラニンの構造式と役割

アラニンの構造式

  • 3文字略記号・・・Ala
  • 1文字略記号・・・A
  • 分子量・・・89.1
  • 非必須アミノ酸
アラニンの役割は、エネルギー源です。

③バリンの構造式と役割

バリンの構造式

  • 3文字略記号・・・Val
  • 1文字略記号・・・V
  • 分子量・・・117.1
  • 非必須アミノ酸
バリンの役割は以下のとおりです。

  1. 成長に関与
  2. 血液中の窒素バランスの調整
  3. 肝機能向上

④ロイシンの構造式と役割

ロイシンの構造式

  • 3文字略記号・・・Leu
  • 1文字略記号・・・L
  • 分子量・・・131.2
  • 必須アミノ酸
ロイシンの役割は以下のとおりです。

  1. 肝機能向上
  2. 幹細胞の増殖・分化の正常化
  3. 血糖コントロール
  4. タンパク質生合成の促進
  5. 筋タンパク質の維持
  6. 筋肉グリコーゲン合成・酵素活性の促進

⑤イソロイシンの構造式と役割

イソロイシンの構造式

  • 3文字略記号・・・Ile
  • 1文字略記号・・・I
  • 分子量・・・131.2
  • 必須アミノ酸
イソロイシンの役割は以下のとおりです。

  1. 成長促進
  2. 神経機能補助
  3. 血管拡張
  4. 肝機能向上

⑥フェニルアラニンの構造式と役割

フェニルアラニンの構造式

  • 3文字略記号・・・Phe
  • 1文字略記号・・・F
  • 分子量・・・165.2
  • 必須アミノ酸
フェニルアラニンの役割は以下のとおりです。

  1. 血圧の上昇
  2. 鎮痛作用
  3. ドーパミン、ノルアドレナリンの材料

⑦セリンの構造式と役割

セリンの構造式

  • 3文字略記号・・・Ser
  • 1文字略記号・・・S
  • 分子量・・・105.1
  • 非必須アミノ酸
セリンの役割は以下のとおりです。

  1. さまざまな酵素の部分を構成
  2. 情報伝達を担う(リン酸化をうける)
  3. 中枢神経の栄養因子

⑧スレオニンの構造式と役割

スレオニンの構造式

  • 3文字略記号・・・Thr
  • 1文字略記号・・・T
  • 分子量・・・119.1
  • 必須アミノ酸
スレオニンの役割は以下のとおりです。

  1. 成長促進
  2. 脂肪肝の抑制

⑨チロシンの構造式と役割

チロシンの構造式

  • 3文字略記号・・・Tyr
  • 1文字略記号・・・Y
  • 分子量・・・181.2
  • 非必須アミノ酸
チロシンの役割は以下のとおりです。

  1. アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの材料
  2. 甲状腺ホルモンの材料
  3. 黒色色素メラニンの材料

⑩アスパラギン酸の構造式と役割

アスパラギン酸の構造式

  • 3文字略記号・・・Asp
  • 1文字略記号・・・D
  • 分子量・・・133.1
  • 非必須アミノ酸
アスパラギン酸の役割は以下のとおりです。

  1. アラニンの原料
  2. 神経伝達物質

⑪グルタミン酸の構造式と役割

グルタミン酸の構造式

  • 3文字略記号・・・Glu
  • 1文字略記号・・・E
  • 分子量・・・147.1
  • 非必須アミノ酸
グルタミン酸の役割は以下のとおりです。

  1. 興奮性神経伝達物質
  2. アンモニアのコントロール
  3. アンモニア解毒の基質(脳)
  4. GABAの材料
  5. グルタチオンの材料

⑫アスパラギンの構造式と役割

アスパラギンの構造式

  • 3文字略記号・・・Asn
  • 1文字略記号・・・N
  • 分子量・・・132.1
  • 非必須アミノ酸

アスパラギンの役割は以下のとおりです。

  1. アラニンの原料
  2. 神経伝達物質

⑬グルタミンの構造式と役割

グルタミンの構造式

  • 3文字略記号・・・Gln
  • 1文字略記号・・・Q
  • 分子量・・・146.2
  • 非必須アミノ酸

グルタミンの役割は以下のとおりです。

  1. 小腸のエネルギー源
  2. 免疫細胞のエネルギー源
  3. 消化間粘膜の保護

⑭システインの構造式と役割

システインの構造式

  • 3文字略記号・・・Cys
  • 1文字略記号・・・C
  • 分子量・・・121.2
  • 非必須アミノ酸
システインの役割は以下のとおりです。

  1. タンパク質の立体構造に関与
  2. タウリンの成分
  3. 補酵素CoAの成分

⑮メチオニンの構造式と役割

メチオニンの構造式

  • 3文字略記号・・・Met
  • 1文字略記号・・・M
  • 分子量・・・149.2
  • 必須アミノ酸
メチオニンの役割は以下のとおりです。

  1. 開始アミノ酸としての役割
  2. 薬物中毒の解毒
  3. 肝機能の改善

⑯ヒスチジンの構造式と役割

ヒスチジンの構造式

  • 3文字略記号・・・His
  • 1文字略記号・・・H
  • 分子量・・・155.2
  • 必須アミノ酸
ヒスチジンの役割は以下のとおりです。

  1. 成長に関与
  2. ヘモグロビン、白血球の産生に関与

⑰リジンの構造式と役割

リジンの構造式

  • 3文字略記号・・・Lys
  • 1文字略記号・・・K
  • 分子量・・・146.2
  • 必須アミノ酸
リジンの役割は以下のとおりです。

  1. 身体組織修復
  2. 成長に関与
  3. 肝機能の向上

⑱プロリンの構造式と役割

プロリンの構造式

  • 3文字略記号・・・Pro
  • 1文字略記号・・・P
  • 分子量・・・115.1
  • 非必須アミノ酸
プロリンの役割は以下のとおりです。

  1. コラーゲンの材料
  2. 角質層保湿作用
  3. コラーゲン修復作用

⑲アルギニンの構造式と役割

アルギニンの構造式

  • 3文字略記号・・・Arg
  • 1文字略記号・・・R
  • 分子量・・・174.2
  • 非必須アミノ酸※小児では必須アミノ酸
アルギニンの役割は以下のとおりです。

  1. 一酸化窒素の前駆体
  2. 成長ホルモン、インスリン、グルカゴンの分泌に関与

⑳トリプトファンの構造式と役割

トリプトファンの構造式

  • 3文字略記号・・・Trp
  • 1文字略記号・・・W
  • 分子量・・・204.2
  • 必須アミノ酸
トリプトファンの役割は以下のとおりです。

  1. セロトニンやメラトニンの材料
  2. コレステロール、血圧のコントロール

 

以上で、20種類すべてのアミノ酸の構造式の紹介は終了となります。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

なんとなく分かったと思いますが、それぞれのアミノ酸はまったく別の構造をしているわけではありません。

少しつぎ足したり、一部を取り替えたりすることで、色んなアミノ酸がつくられています。

それもそのはずです。生物にとって複雑な反応をして、まったく別の化合物をつくるよりも、一部を変化させたほうが効率がいいからです。

そのおかげで、多少は覚えやすいと思います。

というわけで今回は以上です。

 

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