こんにちは臨床工学技士の秋元麻耶です。
本記事では、酵素反応の基本を解説しています。そして、酵素反応の実例として唾液に含まれるα-アミラーゼが、でんぷんをどのように加水分解(消化)するのかを図を交えながらわかりやすく説明しています。
目次
酵素反応の基本について簡単に解説【α-アミラーゼは酵素の一種】
アミラーゼは酵素の一種です。そして酵素とは、触媒のことです。また、酵素はタンパク質の一種でもあります。
つまり、酵素とは触媒として働くタンパク質のことです。
ちなみに酵素には、食べ物の消化の触媒として、あるいは代謝の触媒としての役割があります。
酵素について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
触媒とは、それ自身は変化せず、化学反応のスピードを変化させる物質のことです。
酵素反応の基本
- 酵素+基質 → 酵素・基質複合体 → 酵素+生成物
酵素反応において、酵素は基質と結合して、その基質の化学反応を促進します。そして、酵素反応の前後で酵素は変化しません。
- 基質:酵素の働きを受けて化学反応を起こす物質のことで、その酵素の基質というふうにいったりします。
- 生成物:酵素の働きによって基質が化学反応を起こして生成した物質のことです。
ちなみに、酵素には活性部位といって、基質と特異的に結合する部位があります。この活性部位と基質が結合することで、化学反応のスピードが変化します。
消化酵素であるα-アミラーゼによるでんぷんの加水分解の反応の流れ
唾液に含まれる消化酵素のα-アミラーゼによるでんぷんの加水分解の反応を紹介します。
でんぷんは、唾液に含まれる消化酵素のα-アミラーゼによる加水分解によって細かく分解、いわゆる消化されます。加水分解とは、水が作用して起こる分解反応のことです。
補足:加水分解について
- 加水分解とは、化合物が水と反応して、分解生成物が生じる反応
ここでいったん、ぶどう糖の加水分解を例に、加水分解について軽く説明しておきたいと思います。
でんぷんは、ぶどう糖がたくさんつながってできたもので、イメージ的には以下の図のようになります。
このでんぷんは、加水分解(今回の場合、ぶどう糖が水と反応することによって分解されること)によって細かく分解されます。
でんぷんが加水分解されることで、「マルトース」や「デキストリン」といった物質に分解されます。
- マルトース:ぶどう糖が2個くっついたものです。
- デキストリン:でんぷんの分解によってできる低分子量の糖質のことで、でんぷんの仲間です。
α-アミラーゼによるでんぷんの加水分解の概要
それでは最初の図に戻ります。
- 酵素+基質 → 酵素・基質複合体 → 酵素+生成物
酵素反応において、酵素は基質と結合して、その基質の化学反応を促進します。
- 基質:酵素の働きを受けて化学反応を起こす物質のことで、その酵素の基質というふうにいったりします。
- 生成物:酵素の働きによって基質が化学反応を起こして生成した物質のことです。
今回のα-アミラーゼによるでんぷんの加水分解の場合だと、「酵素=α-アミラーゼ」で「基質=でんぷん」となります。
- 酵素 → α-アミラーゼ
- 基質 → でんぷん
α-アミラーゼによるでんぷんの加水分解の詳しい流れ
それでは、本記事の本題である、α-アミラーゼによるでんぷんの加水分解反応の詳しい流れを解説します。
- 唾液に含まれる消化酵素のα-アミラーゼが、基質のでんぷんと結合します。
↓ - でんぷんとα-アミラーゼが結合した「酵素・基質複合体」に水が作用することで加水分解反応が促進します。
↓ - 結果として、でんぷんは、マルトースやデキストリンといった生成物に分解されます。
↓ - 酵素であるα-アミラーゼは変化することはありません
これが、消化酵素のα-アミラーゼによるでんぷんの加水分解の流れです。
ちなみに、下の写真はアミラーゼの立体構造で、グニャグニャと入り組んだ複雑をしていることがわかるかと思います。
この複雑な立体構造が、これから説明する「酵素と基質の特異性」という特徴にとって不可欠なものになっています。
酵素と基質の関係:酵素の基質特異性
- 基質:酵素の働きを受けて化学反応を起こす物質のことで、その酵素の基質というふうにいったりします。
- 生成物:酵素の働きによって基質が化学反応を起こして生成した物質のことです。
最後に、酵素と基質の関係についてです。
基本的に、酵素はある特定の基質の化学反応しか、触媒としての働きをしません。
これを「酵素の基質特異性」といいます。
つまり、ある酵素が反応する相手(基質)は決まっているということです。
酵素と基質は赤い糸で結ばれた一対一の関係なんです!(酵素の基質特異性)
体内では、何千種類もの化学反応がおこなわれているんですが、それぞれの反応に専属の酵素がいるということです。
ですので、酵素の種類も何千種類にも及びます。
まとめ:酵素反応の基本
- 酵素+基質 → 酵素・基質複合体 → 酵素+生成物
酵素反応において、酵素は基質と結合して、その基質の化学反応を促進します。そして、酵素反応の前後で酵素は変化しません。
- 基質:酵素の働きを受けて化学反応を起こす物質のことで、その酵素の基質というふうにいったりします。
- 生成物:酵素の働きによって基質が化学反応を起こして生成した物質のことです。
上の図は唾液に含まれる消化酵素のα-アミラーゼによるでんぷんの酵素反応です。
この場合、「酵素=α-アミラーゼ」で「基質=でんぷん」となります。
- 唾液に含まれる消化酵素のα-アミラーゼが、基質のでんぷんと結合します。
↓ - でんぷんとα-アミラーゼが結合した「酵素・基質複合体」に水が作用することで加水分解反応が促進します。
↓ - 結果として、でんぷんは、マルトースやデキストリンといった生成物に分解されます。
↓ - 酵素であるα-アミラーゼは変化することはありません
上記のように、でんぷんは唾液に含まれる消化酵素のα-アミラーゼによる加水分解によって細かく分解、いわゆる消化されます。このようにして酵素反応は起きます。
今回は消化酵素であるα-アミラーゼのみを紹介しましたが、酵素には代謝酵素もあります。ですので、そもそも酵素ってなに?って興味を思った人は下記の記事をご覧ください。
というわけで今回は以上です。
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