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酵素とはなに?わかりやすく説明してみた【消化酵素と代謝酵素の違い】

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

みなさんは酵素って何?と聞かれてもわかりますか?

イメージ的には消化酵素とか酵素ドリンクとか思い浮かべる人が多いと思いますが、じゃあ酵素って何?と聞かれても困るのではないでしょうか。

そこで本記事では、酵素とはそもそも何なのか、可能な限り酵素のわかりやすい説明をしてみたいと思います。また、消化酵素と代謝酵素の違いについても解説しています。

酵素とはなに?わかりやすく説明してみた【消化酵素と代謝酵素の違い】

酵素とは、触媒のことです。また、酵素はタンパク質の一種でもあります。

つまり、酵素とは触媒として働くタンパク質のことです。この酵素は、食べ物の消化の触媒として、あるいは代謝の触媒としての働いています。

ちなみに、人間の体内には3,000種以上の酵素があるといわれています。

触媒とは、それ自身は変化せず、化学反応のスピードを変化させる物質のことです。

私たちの身体の中でおこなわれている「食べ物の消化」や「体内での代謝」のほとんどすべてに、この酵素が必要です。

消化酵素であるα-アミラーゼによるでんぷんの酵素反応については下記の記事で解説しています。

【酵素反応】α-アミラーゼによるでんぷんの加水分解をわかりやすく解説 

消化酵素と代謝酵素の違い

  1. 食べ物を消化する触媒としての消化酵素
    ①糖質を分解する消化酵素
    ②タンパク質を分解する消化酵素
    ③脂質を分解する消化酵素
  2. 代謝の触媒としての代謝酵素

酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」の大きく2つに分けることができます。

「消化酵素」は、糖質・タンパク質・脂質を分解するのに必要ですし、「代謝酵素」は体内での化学反応を行うために必要です。

このように、酵素は私たちの身体の中で無意識的におこなわれている「食べ物の消化」や「体内での代謝」の影の立役者といっても過言ではありません。

つまり、酵素がないと、食べたものをエネルギーに変えることができず、私たちは生命を維持することができません。

酵素の基本単位はアミノ酸

酵素をつくる基本単位はアミノ酸です。
(そもそも酵素はタンパク質の一種で、タンパク質はアミノ酸がたくさん結合したものです)

上の図はアミノ酸の構造式で、赤字のRの部分がアミノ酸の種類ごとに違っています。
(ただし、アミノ酸のプロリンだけはやや違った構造をしているので注意してください)

このアミノ酸(使われるアミノ酸の種類は20種類)がビーズのようにたくさんつながって(だいたい300個位のアミノ酸が結合して)、いろんな酵素がつくられています。

ちなみに、アミノ酸とアミノ酸の結合のことを「ペプチド結合」といい、このアミノ酸のペプチド結合によってできた物質を「ペプチド」といいます。

酵素の材料に使われるアミノ酸が20種類であって、体内にあるアミノ酸の種類はもっと多いです。

酵素の特徴

酵素の2つの特徴
  • 一つ目の特徴:酵素の基質特異性
  • 二つ目の特徴:温度とpH

酵素には主に上記の2つの特徴があります。

一つ目の特徴は酵素の基質特異性です。
これは、基本的に、酵素はある特定の化学反応しか触媒としての働きをしないということです。ですので、酵素が働く物質も原則1種類です。

そして、ある酵素と特異的に働く物質のことを、その酵素の「基質」といいます。

このように、酵素と基質は、基本的には一対一の関係で、これを「酵素の基質特異性」といいます。

二つ目の特徴は、温度とpHに関することです。酵素が働くためには、その酵素ごとにベストな「温度」と「pH」があります。

例えば、胃で分泌されるペプシンはpH 2.0という酸性の条件下で一番働けます。

逆に、その酵素によって適切でない温度やpHだった場合、変性(≒失活)してしまい、酵素としての働きを失ってしまいます。そして、一度変性(≒失活)してしまった酵素はもう元に戻ることはありません。

多くの酵素は、だいたい35~40℃くらいの温度、pHでは7くらいでよく働きます。

実は私たちの体温が36℃程度で、体液のpHが7くらいな理由は、酵素がよく働けるようにするためです。

酵素の役割【消化酵素と代謝酵素】

  1. 食べ物を消化する触媒としての消化酵素
    ① 糖質を分解する消化酵素
    ② タンパク質を分解する消化酵素
    ③ 脂質を分解する消化酵素
  2. 代謝の触媒としての代謝酵素

酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」の大きく2つに分けることができます。

それでは、消化酵素と代謝酵素について詳しくみていきます。

役割①:消化酵素

消化酵素の例
  • α-アミラーゼ:でんぷんを細かく消化します。
  • ペプシン:たんぱく質を細かく消化します。
  • リパーゼ:脂質(中性脂肪)を細かく消化します。
私たちが食べる食べ物の多くは「でんぷん(糖質の一種)」「たんぱく質」「脂質」のどれかです。

しかし、これらは分子が巨大すぎて、そのままの形で腸から吸収されることはありません。細かくしてから吸収する必要があります。

その陰の立役者が、いわゆる消化酵素といわれる酵素です。

消化酵素は私たちが食べた「でんぷん」「たんぱく質」「脂質」を細かく消化(分解)しています。

消化酵素であるα-アミラーゼによるでんぷんの酵素反応については下記の記事で解説しています。

【酵素反応】α-アミラーゼによるでんぷんの加水分解をわかりやすく解説 

役割②:代謝酵素

代謝とは、体内で起こる化学反応のことです。

胃や腸でおこなわれる食べ物の消化のことを代謝と呼ばないので注意してください。

この代謝によって、身体にとって必要な物質を合成したり、あるいは食べ物に含まれる栄養素を細かく分解してエネルギーを手に入れています。

ですので、代謝がおこなわれないと、私たちは即、死にます。

なぜなら、私たちが食べた食べ物を、生命維持のエネルギーに使うことができなかったり、身体にとって必要な物質を合成できなかったりするわけですから。

このように酵素はわたしたちの生命の維持のために欠かせない代謝を促進しています。

代謝については下記の記事で詳しく解説しています。

代謝とは?簡単にわかりやすく解説【エネルギー代謝と物質代謝】

まとめ:酵素とは?

  1. 食べ物を消化する触媒としての消化酵素
    ① 糖質を分解する消化酵素
    ② タンパク質を分解する消化酵素
    ③ 脂質を分解する消化酵素
  2. 代謝の触媒としての代謝酵素

酵素とは、触媒のことです。また、酵素はタンパク質の一種でもあります。

つまり、酵素とは触媒として働くタンパク質のことです。この酵素は、食べ物の消化の触媒として、あるいは代謝の触媒としての働いています。

触媒とは、それ自身は変化せず、化学反応のスピードを変化させる物質のことです。

この酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」の大きく2つに分けることができます。

消化酵素としては、以下のα-アミラーゼ、ペプシン、リパーゼなんかが有名です。

消化酵素の例
  • α-アミラーゼ:でんぷんを細かく消化します。
  • ペプシン:たんぱく質を細かく消化します。
  • リパーゼ:脂質(中性脂肪)を細かく消化します。

私たちが食べる食べ物の多くは「でんぷん(糖質の一種)」「たんぱく質」「脂質」のどれかであることが多いので、これらを消化するために消化酵素が必要です。

 

 

というわけで酵素のわかりやすい説明は以上です。酵素って名前は聞いたことあって、健康に良さそうなものという漠然としたイメージがあった人もいるかもしれませんが、これで酵素とはなにかがわかっていただけたかと思います。

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