【ベータ酸化】β酸化とは何?簡単にわかりやすく解説してみた

パルミチン酸のβ酸化

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

本記事では、できるだけ図を多用してβ酸化(ベータ酸化)についてどこよりもわかりやすく解説します。

簡単にいってしまえば、私たちがダイエットするときに脂肪を燃焼!と、まずは考えるかもしれませんが、その脂肪を燃焼!の中身の反応が「β酸化(ベータ酸化)」です。

とはいえ、β酸化はなかなかとっつきにくいと思いますが、可能な限り構造式を載せて紹介しますのでご安心ください。

【ベータ酸化】β酸化とは

パルミチン酸のβ酸化

ミトコンドリアのマトリックス内に運ばれたアシルCoAは、そこで4段階の反応を経て、アセチルCoAを作ります(図 9-15)。このアセチルCoAを合成していく過程では、アシルCoAのβ炭素(官能基のついている炭素から順にα炭素、β炭素というのでしたね)から水素が取れ、酸素が付く、いわゆる酸化を行っているので、β酸化と呼んでいます。この一連の反応によって、アシルCoAはアセチルCoAを切り離すことによって2つの炭素を失ったことになり、2つの炭素が少なくなった新たなアシルCoAとなるのです。

引用:池田和正著,トコトンわかる図解基礎生化学,株式会社オーム社,p342

β酸化とは脂肪酸を分解して、エネルギーを作り出すための反応です。

イメージ的には、脂肪酸を炭素2個ずつに分解していく感じです。上の図にイメージ図をのせているので参考までにご覧ください。
脂肪酸のβ酸化(ベータ酸化)は、ミトコンドリア内で行われます。

ただ、これだけだと何のことだか詳しいことはわからないと思いますので、順を追って解説していきます。

中性脂肪=グリセロール+脂肪酸

中性脂肪の構造

中性脂肪(≒トリグリセリド)の構造

β酸化(ベータ酸化)で利用される脂肪酸は、中性脂肪(グリセリン+脂肪酸)の分解によって、得ることができます。

脂肪組織の中にある中性脂肪は、加水分解酵素であるホルモン感受性リパーゼの働きによって、「グリセリン」と「脂肪酸」に分解されます。

分解された脂肪酸は血中へと放出され、体の各組織に運ばれて、そこで「β酸化(ベータ酸化)」を受けます。

アシルCoAについて

ミトコンドリアのマトリックス内に運ばれたアシルCoAは、そこで4段階の反応を経て、アセチルCoAを作ります(図 9-15)。このアセチルCoAを合成していく過程では、アシルCoAのβ炭素(官能基のついている炭素から順にα炭素、β炭素というのでしたね)から水素が取れ、酸素が付く、いわゆる酸化を行っているので、β酸化と呼んでいます。この一連の反応によって、アシルCoAはアセチルCoAを切り離すことによって2つの炭素を失ったことになり、2つの炭素が少なくなった新たなアシルCoAとなるのです。

引用:池田和正著,トコトンわかる図解基礎生化学,株式会社オーム社,p342

β酸化(ベータ酸化)では、脂肪酸を分解してエネルギーを得るための反応ですが、脂肪酸のままではβ酸化(ベータ酸化)を受けることができません。

脂肪酸をβ酸化するためには、まず脂肪酸にCoA(補酵素A)をつけて、アシルCoAにする必要があります。

なお、脂肪酸にCoA(補酵素A)が結合した化合物のことをアシルCoAと呼びます。

【例】脂肪酸の一種:パルミチン酸をアシルCoAにする反応

脂肪酸の構造上の構造は脂肪酸の一種であるパルミチン酸です。

パルミチン酸の左側にカルボキシ基があるのがわかると思います。

脂肪酸がエネルギー代謝経路に入るためには、先ほどにも説明したようにCoA(補酵素A)を脂肪酸につけてアシルCoAにする必要があります。

脂肪酸をβ酸化する酵素は、ミトコンドリアの中にあります。しかし、脂肪酸のままではミトコンドリア内に入っていくことはできないので、ミトコンドリア内に入っていくための準備として、脂肪酸はアシルCoAになります。

CoA(補酵素A)の構造は下記のとおりです。

CaA(補酵素A)の構造

このCoA(補酵素A)が、脂肪酸の一種であるパルミチン酸に結合すると、下記のような構造になります。

このようなアシルCoAとなってはじめて脂肪酸のβ酸化(ベータ酸化)がおこなえます。

なお、脂肪酸にCoA(補酵素A)をつけた化合物の総称はアシルCoAですが、パルミチン酸にCoA(補酵素A)をつけた場合にできた化合物はパルミトイルCoAです。
ここでのポイント

  • アシルCoA=脂肪酸+CoA(補酵素A)
  • アシルCoAとなってはじめて脂肪酸のβ酸化が行える

β酸化の「β」の意味

β酸化 β-oxidation(図 22-2)では,アシル-CoA分子のカルボキシ末端の2個の炭素が切り出される.その切り出しが α(カルボキシ末端から2番目)とβ(3番目)炭素原子間で起こるため,β酸化と名付けられている.

引用:清水孝雄[監修],イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版

β酸化のβの意味は、アシルCoAの「β炭素に酸素がつく(つまりは酸化のこと)」が起こるからです。

アシルCoAのカルボニル基の炭素(C)から数えて順に、1つ目の炭素(C)をα、2つ目の炭素(C)をβといいます。

パルミトイルCoA(アシルCoAの一種)のβ酸化による切断後の反応による生成物は下記の構造図をご覧ください。

β酸化(ベータ酸化)の役割

β酸化の役割

  1. アセチルCoA
  2. NADH+H+
  3. FADH2

1度のβ酸化によって、アセチルCoA、FADH2、NADH+H+が1分子ずつ作られます。

アセチルCoAはクエン酸回路によって代謝され、ATPの合成のために利用されます。

1個のアセチルCoAは、クエン酸回路の最初の材料となり、クエン酸回路を1周させることができます。この結果、FADH2とNADH+H+、GTPがつくられ、これらからATPが作られていきます。

NADH+H+とFADH2は、ミトコンドリア内のマトリックスにあるので、内膜にある電子伝達系によってATPが合成されます。

電子伝達系とは、基本は解糖系やクエン酸回路でつくられた「NADH+H+やFADH2」を材料に、効率的にATPをつくるためのシステムなんですが、詳細は下記の記事で解説していますので興味のある方はご覧ください。

電子伝達系とはなに?図を多用してわかりやすく解説してみた

アセチルCoAについて

アセチルCoAの構造

  • アセチルCoA:CoA(補酵素A)にアセチル基(-COCH3が結合した化合物のこと

脂肪酸のβ酸化によってつくられたアセチルCoAについて紹介します。

アセチルCoAとは、CoA(補酵素A)にアセチル基(-COCH3が結合した化合物のことです。

CoA(補酵素A)がアセチルCoAになるときは、CoA(補酵素A)の一番右の水素(H)が外れて(下の図を併せてご覧ください)、硫黄(S)部分にアセチル基(-COCH3が結合します。

CaA(補酵素A)の構造

このアセチルCoAは、さまざまな代謝系の中心に位置する重要な化合物です。

具体的には、クエン酸回路、脂肪酸の合成と分解、コレステロールの合成など、様々な反応にアセチルCoAは関与しているため、非常に重要な物質です。

 

アセチルCoAのCoA(補酵素A)を簡略化して「CoA」と表記して簡単に構造を表記したものが上の図です。

みてわかる通り、脂肪酸から切り離された炭素原子が2個あるのがよくわかると思います。

FADH2とNADH+H+について

FADH2、NADH+H+は、水素のもつ電子を運ぶ電子伝達体です。この電子は電子伝達系に運ばれてATP合成に利用されます。

β酸化(ベータ酸化)を行う場所

脂肪酸のβ酸化(ベータ酸化)を行う場所は細胞内のミトコンドリアの中です。

脂肪酸をβ酸化する酵素は、ミトコンドリアの中にあります。しかし、脂肪酸のままではミトコンドリア内に入っていくことはできないので、ミトコンドリア内に入っていくための準備として、脂肪酸はアシルCoAになります。

アシルCoAになった脂肪酸は、カルニチンと酵素によって、CoA(補酵素A)によって、アシルカルニチンとなります。

CoA(補酵素A)については下記の記事で解説しています。

CaA(補酵素A)の構造【補酵素A】CoAとは?その構造や働きについてわかりやすく解説します

このアシルカルニチンはミトコンドリアの外膜を通過して、さらにミトコンドリアの内膜に存在するカルニチンを輸送するタンパク質の内部をとおって、マトリックス内に移動します。

ミトコンドリア内の到達したアシルカルニチンは、カルニチンが離れて、再びCoA(補酵素A)が結合し、アシルCoAに戻ります。

パルミチン酸を例にβ酸化をわかりやすく解説します【全部で反応は4つ】

脂肪酸の一種であるパルミチン酸を例にしてβ酸化についてわかりやすく解説します。

上の図はパルミチン酸の構造図です。

まず、脂肪酸がβ酸化による分解をうけるためには、脂肪酸をアシルCoAにする必要があります。

脂肪酸の活性型がアシルCoAです。
  • パルミチン酸(脂肪酸の一種)
    → アシルCoA(活性型の脂肪酸)

まずは、脂肪酸をアシルCoAにする

脂肪酸の一種であるパルミチン酸とCoA(補酵素A)が結合して、活性型の脂肪酸であるアシルCoAがつくられます。

ちなみに、パルミチン酸の活性型(つまりはアシルCoA)のことを、正確にはパルミトイルCoAといいます。しかし、補酵素Aと結合した脂肪酸のことを単にアシルCoAと呼ぶ場合が多いです。

これにより、脂肪酸が活性化され、β酸化による代謝をうけることができるようになります。

①パルミトイルCoA(アシルCoAの一種)のβ酸化

β酸化では、α炭素とβ炭素との間が切断されます。

カルボニル基から数えて1つめの炭素をα、2つめの炭素をβと数えます(上の図も併せてごらんください)
そして、アシルCoAの「β炭素に酸素がつく(つまりは酸化のこと)」からβ酸化といいます。

②パルミトイルCoA(アシルCoAの一種)のβ酸化

そして、β酸化に以下の4つの反応があります。

  • 反応①:脱水素反応
    → アシルCoAから水素2個を奪う反応(ここでFADH2が生成)
  • 反応②:水を付加
    → アシルCoAに水を付加
  • 反応③:脱水素反応
    → アシルCoAから水素2個を奪う反応(ここでNADH+H+が生成)
  • 反応④:脂肪酸を切断
    α炭素とβ炭素の間を切断

これら①~④の反応をワンセットでまとめてβ酸化といいます。

この結果、アセチルCoA、炭素が2個減ったアシルCoA、FADH2とNADH+H+ができます。

炭素が2個減ったアシルCoAは、ステップ①に戻り、同じ反応(β酸化)を繰り返します。

例えば、炭素数が16個のパルミチン酸の場合だと、β酸化のサイクルが7回繰り返されて、8個のアセチルCoAができます。

まとめ:β酸化とは

パルミチン酸のβ酸化

β酸化とは、ざっくりと言ってしまえば、身体にためられた中性脂肪の構成要素である脂肪酸を細かく分解してエネルギーを産生するための反応で、上記のようなイメージです。

β酸化を厳密にいえば下記のとおりです。

ミトコンドリアのマトリックス内に運ばれたアシルCoAは、そこで4段階の反応を経て、アセチルCoAを作ります(図 9-15)。このアセチルCoAを合成していく過程では、アシルCoAのβ炭素(官能基のついている炭素から順にα炭素、β炭素というのでしたね)から水素が取れ、酸素が付く、いわゆる酸化を行っているので、β酸化と呼んでいます。この一連の反応によって、アシルCoAはアセチルCoAを切り離すことによって2つの炭素を失ったことになり、2つの炭素が少なくなった新たなアシルCoAとなるのです。

引用:池田和正著,トコトンわかる図解基礎生化学,株式会社オーム社,p342

アシルCoAというのは脂肪酸の活性型で、このアシルCoAという状態にしてからβ酸化は始まります。

そして、β酸化に以下の4つの反応があります。

  • 反応①:脱水素反応
    → アシルCoAから水素2個を奪う反応(ここでFADH2が生成)
  • 反応②:水を付加
    → アシルCoAに水を付加
  • 反応③:脱水素反応
    → アシルCoAから水素2個を奪う反応(ここでNADH+H+が生成)
  • 反応④:脂肪酸を切断
    α炭素とβ炭素の間を切断

これら①~④の反応をワンセットでまとめてβ酸化といいます。

1度のβ酸化で、アセチルCoA、炭素が2個減ったアシルCoA、FADH2とNADH+H+ができます(構造は以下をご覧ください)。

炭素が2個減ったアシルCoAは、ステップ①に戻り、同じ反応(β酸化)を繰り返します。例えば、炭素数が16個のパルミチン酸の場合だと、β酸化のサイクルが7回繰り返されて、最終的に8個のアセチルCoAができます。

アセチルCoAはクエン酸回路によって代謝され、ATPの合成のために利用されます。

1個のアセチルCoAは、クエン酸回路の最初の材料となり、クエン酸回路を1周させることができます。この結果、FADH2とNADH+H+、GTPがつくられ、これらからATPが作られていきます。

NADH+H+とFADH2は、ミトコンドリア内のマトリックスにあるので、内膜にある電子伝達系によってATPが合成されます。

電子伝達系とは、基本は解糖系やクエン酸回路でつくられた「NADH+H+やFADH2」を材料に、効率的にATPをつくるためのシステムです。

 

というわけで今回は以上です。β酸化(ベータ酸化)についてできるだけ図を多用してわかりやすく解説してみました。少しでも参考になれば幸いです。

 

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