代謝とは?簡単にわかりやすく解説【エネルギー代謝と物質代謝】

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本日は、代謝とはいったいなんなのか?について簡単にわかりやすく解説します。

一般的に代謝というと、新陳代謝であったり、基礎代謝をイメージする人が多いと思いますが、これらを正確に理解するためには、まず『代謝』という言葉の意味を正確に知っておく必要があります。

なお、この代謝という言葉自体は有名ですが、結構あいまいな意味で使われていることが多いので、本記事を読めば代謝について簡単にスッキリと理解できます。

代謝とは?簡単にわかりやすく解説【エネルギー代謝と物質代謝】

代謝とは体内で起こる化学反応のことです。

化学反応とは、物質をつくっている原子の組み合わせが変わることです。

化学反応の例

  • 2H2+O2→2H2O

上記の化学反応の例では、水素原子と酸素原子が反応し、水分子ができています。

そして、代謝には以下に示すように2つの大きな側面があります。順をおって説明します。

代謝とは

  1. エネルギー代謝:代謝のエネルギーの出入りの側面に注目した場合
  2. 物質代謝:代謝の物質の変化の側面に注目した場合

代謝で起こっていること

代謝とは体内で起こる化学反応のことです。

化学反応とは、物質の原子の組み合わせが変わることです。

そして、化学反応が起これば必ず以下の2つのことが起こります。

代謝(化学反応)によって起こっていること

  1. エネルギーの放出、あるいはエネルギーの吸収
  2. 物質の変化

上記のように、代謝とは『エネルギーの視点』、あるいは『物質の変化』のどちらかのの視点からみることができます。

エネルギー代謝とは

エネルギー代謝とは、代謝(体内で起こる化学反応のこと)における『エネルギーの出入り』に注目した場合のことをいいます。

具体的な例を示します。

私たち生物は、食べ物がもっているエネルギーを、代謝によって取り出しています。

代謝によって取り出したエネルギーをつかって、身体を動かしたり、体温を上げたり、胃腸を動かしたり、さらには身体に必要な物質を合成するために使用しています。

代謝によってえられたエネルギーの利用例

  • 運動エネルギー
    → 利用例:筋肉の運動、胃腸の運動
  • 電気エネルギー
    → 利用例:神経細胞、筋肉の運動
  • 熱エネルギー
    → 利用例:体温の維持
  • エネルギー
    → 利用例:物質代謝(化学反応にはエネルギーが必要なので)

後述しますが、これら上記の『エネルギー』は主に食べ物を『異化』することで得ています。

物質代謝とは?【異化と同化】

物質代謝とは、代謝(体内で起こる化学反応のこと)における物質の変化に注目した場合のことです。

つまり物質代謝は、代謝によって物質がどのように変化していくのをみています。

例えば新陳代謝という言葉がありますが、これは物質代謝の一種です。とくに細胞レベルの物質代謝のことを新陳代謝と呼びます。

新陳代謝と基礎代謝の違いについては下記の記事でまとめています。

新陳代謝と基礎代謝の違いをスッキリとわかりやすく解説

そして、この物質代謝は物質の変換によって以下の2パターンがあります。

物質代謝の種類

  1. 異化:外部から取り入れた物質(高分子の有機化合物)を分解する反応のこと
  2. 同化:生体に必要な高分子を合成する反応のこと

ちなみに、食べた栄養素を細かく分解する過程は『異化』であり、この過程でエネルギーをつくりだして私たちは生命を維持しています。

生体で利用されるエネルギー源の大半はATPという物質です。

逆に、エネルギーをつかって身体に必要なたんぱく質などの物質をつくりだす過程のことを『同化』といいます。

エネルギー代謝と物質代謝の違い

ここまでの説明をまとめます。

代謝とは、体内における化学反応のことですが、以下の2つの側面に分けることができます。

代謝の2つの側面

  1. エネルギー代謝:代謝におけるエネルギーの放出、吸収に注目
  2. 物質代謝:代謝における物質変化に注目

つまり、エネルギー代謝と物質代謝の違いは、単に代謝という化学反応において、『エネルギー』に注目しているのか、あるいは『物質の変化』に注目しているのかということになります。

ここで注意してほしいことは、代謝では、エネルギー代謝または物質代謝のどちらかだけが起きているわけではないということです。

エネルギー代謝と物質代謝は表裏一体の関係です。単にどちらに注目してみているのかで、エネルギー代謝と物質代謝とを呼び分けているだけです。

代謝には必ず、エネルギー代謝と物質代謝の2つの側面があるということは忘れないようにしてください。

ですので、エネルギー代謝と物質代謝をひっくるめて『代謝』なのです。

オマケ:脂肪の代謝によって痩せる本当の理由

脂肪を例にして代謝を説明したいと思います。

脂肪はご存知のように、私たちの身体が必要な時に取り出す非常時のエネルギー源として身体に蓄えられているものです。

つまり、脂肪の代謝(化学反応)によって、脂肪がもっていたエネルギーを取り出し、わたしたちが生きるためのエネルギーを得ているということです。

脂肪の代謝

脂肪の代謝

脂肪 → 水 + 二酸化炭素 + エネルギー

簡単にわかりやすく、脂肪の代謝の過程を式(途中過程をかなりすっ飛ばした)で表すと、脂肪は代謝されると最終的に、水と二酸化炭素にまで分解されます。

脂肪を代謝することで、私たちが心臓を動かしたり、呼吸をしたり、身体を動かしたりだと生命を維持するために使えるエネルギーを取り出しています。

脂肪を燃焼させて痩せるというのは間違い!?

脂肪の代謝を例にした、代謝の2つの側面

  1. エネルギー代謝:脂肪が分解される過程で、身体を動かすためのエネルギーが発生する
  2. 物質代謝:脂肪が、水と二酸化炭素に分解される

ダイエット界隈でよく「脂肪を燃焼させて痩せる」というフレーズをよく目にすることがあると思います。

この言葉の中身を正確にいうなれば・・・

脂肪の代謝で痩せる本当の理由

「脂肪の代謝(化学反応)によって、水と二酸化炭素に分解され、この過程で私たちの身体を動かすためのエネルギーを取り出すことができた。そして、分解されて発生した水や二酸化炭素はおしっこや呼吸から身体の外に出ていき、その分だけ体重が軽くなった」

ということです。とくに重要なポイントが、最後の「その分だけ体重が軽くなる」というところです。

「その分」というのは、「水と二酸化炭素のこと」です。

「脂肪を燃焼させて痩せる」という言葉のニュアンスとして、「脂肪をエネルギーとして消費して、メラメラと燃えてなくなってしまう。だから痩せるんだ」という風に思って使ってる方が多いと思います。

しかし、脂肪がエネルギーとして消費されてそのままどこかへ消えてなくなるなんてことはありません。

あくまで脂肪が、水や二酸化炭素にまで分解されて、この分(水と二酸化炭素)が体外に排出されて、この分(水と二酸化炭素)だけ痩せるということです。

これが脂肪の代謝によって痩せる本当の理由です。

こんなことをいうやつが身近にいたら相当めんどくさいやつですが(笑)

マニア向け:質量保存の法則による脂肪代謝の補足説明

もう少し脂肪の代謝についてみていきたいと思います。

先ほど、脂肪が代謝されて痩せるということをお話ししました。この痩せるということの本当の意味は、「脂肪が代謝によって最終的に水と二酸化炭素に分解されて、これが呼吸やおしっことして体外に出た分だけ、体重が軽くなる」ということでした。

ここでポイントとなるのが、水と二酸化炭素がおしっこや呼吸によって体外に排出された分だけ体重が軽くなるというところでした。

脂肪が分解されて、脂肪がエネルギーへと変化して、そのエネルギーを消費したから体重が軽くなるわけではありません。脂肪は水と二酸化炭素へと分解されて体外に出たから体重が軽くなります。

これは質量保存の法則で説明することができます。

質量保存の法則

化学反応の前後で全体の質量は変化しないこと

質量保存の法則とは、化学反応の前後で変わるのは、原子の組み合わせのみで、原子そのものの数が増えたり、減ったりはしないということです。

なので、一部の原子がエネルギーに変わって、それが消費されて消えていくということは基本的に起こりません。

ただし、核分裂や核融合が起これば原子の種類が変わってしまいますが、体内ではこんな核分裂や核融合のような反応は起こりません。また、通常の代謝(化学反応)で、エネルギーが物質に、物質がエネルギーに直接変化することはほぼないと考えていいです(理論的には通常の化学反応でも、物質がエネルギーになっている部分はありますが、あまりに微小なので無視してもよいです)[/aside]

つまり、極端なこというと、めちゃくちゃ運動して脂肪をエネルギーとして消費したとしても、一切汗をかかず、呼吸から二酸化炭素を排出しなければ、体重は一切変わらないということです(まぁこんなことは普通は起こりまえんが・・・)

大事なことなのでもう一度言いますが、脂肪がエネルギーになって消えることはありません(質量保存の法則から説明可能)

正しくは、脂肪を構成している原子の組み合わせが変わって違う化合物(水と二酸化炭素)になり、その過程で脂肪に蓄えられていたエネルギーが放出されます。

そして、分解産物(二酸化炭素と水)が、おしっこや汗なんかで体外に出るから痩せるということです。

脂肪がそのままエネルギーに変わって消えてしまうということは、体内では絶対に起こりません。

まとめ

代謝とは体内で起こる化学反応のことです。

化学反応とは、物質をつくっている原子の組み合わせが変わることです。

化学反応の例

  • 2H2+O2→2H2O

上記の化学反応の例では、水素原子と酸素原子が反応し、水分子ができています。

そして、代謝には以下に示すように2つの大きな側面があります。

  1. エネルギー代謝:代謝のエネルギーの出入りの側面に注目した場合
  2. 物質代謝:代謝の物質の変化の側面に注目した場合

脂肪を例にして代謝を説明すると、

脂肪の代謝を例にした、代謝の2つの側面

  1. エネルギー代謝:脂肪が分解される過程で、身体を動かすためのエネルギーが発生する
  2. 物質代謝:脂肪が、水と二酸化炭素に分解される

脂肪の代謝(化学反応)によって、水と二酸化炭素に分解され、この過程で私たちの身体を動かすためのエネルギーを取り出されます(エネルギー代謝)

そして、分解されて発生した水や二酸化炭素(物質代謝)はおしっこや呼吸から身体の外に出ていき、その分だけ体重が軽くなります。

 

というわけで今回は以上です。

 

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