PTとは?基準値をわかりやすく解説

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

本記事では、新人の看護師やコメディカルに向けて、凝固系の検査の一つであるPT(プロトロンビン時間)とはいったいなんなのかについて、わかりやすく解説しています。

PTとは?その意味をわかりやすく解説します

外因系凝固因子のⅩ、Ⅶ、Ⅴ、ⅡおよびⅠ因子が関与している。

引用:本田孝之,検査値を読むトレーニング ルーチン検査でここまでわかる,医学書院

PT(プロトロンビン時間)は、血液の凝固能を調べる検査で、とくに外因系凝固過程、および共通系凝固過程の活性を調べることができます。

PTに関係する血液凝固因子は、第Ⅹ因子、第Ⅶ因子、第Ⅴ因子、第Ⅱ因子、第Ⅰ因子です。なお、これらの凝固因子は肝臓で産生されています。

外因系凝固と内因系凝固

  1. 外因系凝固
    (組織因子による凝固反応)
  2. 内因系凝固
    (異物による凝固反応)

血液が凝固する凝固反応には、上記の2つの経路があります。

これらの凝固反応は、それぞれの凝固因子が活性化されることで、最終的にフィブリノゲンが活性化され、フィブリンとなる反応です。

血管内で血管内の成分で進行するのが内因系で、外因系は血管外の組織因子が関わっています。

両方とも最終的にフィブリンがつくられることに変わりありませんが、その経路には2経路あるということです。

具体的には、外因系では組織因子が血管内に入ることにより活性化します。例えば外傷などで出血した際に、血液が凝固する機序です。

組織因子を産生する細胞はいろいろありますが、有名なものは血管内皮細胞や、単球/マクロファージがあります。例えば、外傷などによって組織から組織因子が産生され、これが血液中に侵入することで外因系の凝固が活性化されます。

一方の内因系は、血液が血管内皮細胞以外の異物や血管内皮細胞の下側のコラーゲン(血管壁の損傷によってコラーゲンがむき出しとなります)と接触することで活性化します。

このうち、PTは外因系凝固の活性を調べる検査です。

  • APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
    →内因系凝固過程の活性を調べる検査
  • PT(プロトロンビン時間)
    →外因系凝固過程の活性を調べる検査

APTTの基準値などについては下記の記事で解説しています。

APTTとは?基準値をわかりやすく解説

PTの基準値

PT時間:11~12秒
PT活性値:80~120%
PT比:0.85~1.15
PT-INR:0.85~1.15

参考:本田孝之,検査値を読むトレーニング ルーチン検査でここまでわかる,医学書院

PTの原理は、クエン酸ナトリウム加被検血漿に、組織トロンボプラスチンとCa2+を添加し、フィブリノゲンがフィブリンになるまでの時間を測定したものになります。

基本的にはPTは秒数で示されますが、用途によっては他の単位を用います。

なお、血液凝固因子の第Ⅹ因子、第Ⅶ因子、第Ⅴ因子、第Ⅱ因子、第Ⅰ因子の活性が一つでも低下していればPTは延長します。

PTに関係する血液凝固因子は、第Ⅹ因子、第Ⅶ因子、第Ⅴ因子、第Ⅱ因子、第Ⅰ因子です。なお、これらの凝固因子は肝臓で産生されています。

PTの正常値は12秒前後です。

PT活性値は、肝硬変などで用いるChild-Pugh分類などで用いられる単位です。

PT比はDIC診断基準の検査項目の一つになっています。

PT-INRは、ワーファリン内服時のコントロールの指標にし、一般的な抗凝固療法ではPT-INRを2.0~3.0にコントロールします。

現在、日本のガイドラインでは、非弁膜症性心房細動患者ではPT-INR2.0~3.0(70歳異常では1.6~2.6)、機械弁置換患者ではPT-INR2.0~3.0でのコントロールが推奨されています。いずれにしてもPT-INRが3.5以上では高すぎであり、4.0以上はパニック値で、出血の危険が高くなります。

PTを採血するときの注意点

採血した血液は、3.2%クエン酸ナトリウム液1に対し、全血9の割合でスピッツにいれて、充分に混和してください。

採血量が少ないとPTとAPTTは延長し、採血量が多いとPTとAPTTは短縮します。

なお、この影響はPTでは軽度で、APTTのほうが顕著です。

また、採血が困難で、組織液が混入した場合、スピッツ内での凝固や線溶の亢進が起こり、PTとAPTTが短縮する可能性があります。

なぜ、ワーファリンのコントロールの指標にPTが用いられるか

ビタミンKは、凝固因子の第Ⅹ、第Ⅸ、第Ⅶ、第Ⅱに影響するため、PTとAPTTに影響を与えます。

しかし、凝固因子の第Ⅶは、すべての凝固因子のなかでもっとも半減期が短く(2~5時間)減少が早いため、APTTよりもPTのほうが鋭敏に反応します。

ですので、ビタミンKを阻害することによって抗凝固作用をもつワーファリンのコントロールの指標にPTが用いられます。

PTが延長する原因

PT延長の原因

  1. 凝固亢進による外因系凝固因子の消費
    例:DIC、血栓症、敗血症、血管炎症候群、SIRS、手術など
  2. 肝臓での外因系凝固因子の産生低下
    例:重症の肝機能障害(肝硬変など)による蛋白合成低下、ビタミンK欠乏(抗菌薬によって腸内細菌が乱されるとビタミンK産生が低下します)
  3. 抗凝固薬使用
    例:ワーファリン
  4. 低栄養状態

PTが延長するということは、内因系凝固の第Ⅶ因子、共通系凝固の第Ⅹ因子、第Ⅴ因子、第Ⅱ因子、第Ⅰ因子の活性が低下しているということです。

PTが延長しているということは、血液が凝固しにくいことを意味しているので、出血のリスクが高くなっています。

DIC(播種性血管内凝固症候群)では、凝固亢進によって凝固因子の消費が増加するため、血中の凝固因子の量が低下し、PTとAPTTは延長します。

PTが異常高値

PTが異常高値の場合、まずはワーファリンやヘパリンに関する情報を収集します。

基本的に、PTが異常高値の場合、ワーファリンによるものが考えられます。

ワーファリンの一般的な治療では、PTが基準値の1.5~2倍程度でコントロールされます。なお、ワーファリンではAPTTも延長します。

ワーファリンの過剰投与でなければ、ヘパリンが混入していなかったか、ヘパリンロックされたラインから採血していなかったかを確認します。

なお、ヘパリンではAPTTの延長が著明ですが、ヘパリンの濃度が高ければPTも延長します。

PTの異常値がワーファリンやヘパリンによるものでないのであれば、改めてAPTTも延長しているのか、それともPTのみの延長なのかを確認します。

PT延長でAPTTが正常

PT延長、APTT正常

  • 後天性インヒビター
  • 先天性第Ⅶ因子欠乏・異常
  • 抗凝固剤投与
    (ワーファリン)
  • 栄養状態の影響によるビタミンK欠乏

PTが延長していて、APTTが正常であれば、凝固因子の第Ⅶ因子の活性の低下が予想されます。

その他、ワーファリンによる影響、外因系因子に対する抗体などが考えられます。

PT延長でAPTTも延長

PT延長、APTT延長

  • DIC(播種性血管内凝固症候群)
  • 肝機能低下
  • 後天性インヒビター
  • ビタミンK阻害抗菌薬(一部のセフェム系)
  • 先天性共通系凝固因子欠乏
    (第Ⅹ因子欠乏症、第Ⅴ因子欠乏症、第Ⅱ因子欠乏症、フィブリノゲン異常症)
  • 抗凝固剤投与
    (ワーファリン、ヘパリンなど)

PTとAPTTが延長していれば、凝固因子のⅩ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰのいずれか一つ以上の凝固因子の活性低下が予想されます。

原因としては、上記に示すものが考えられます。

PTが短縮する原因

パニック値の設定はありません。

激しい運動や妊娠によって、一部の凝固因子が増加し、PTが短縮することがあります。

また、DIC早期の凝固亢進のときにはPT短縮を認めることがあります。

どんなときにPTを調べるのか

  1. 原因不明の出血があるとき
  2. DICや敗血症が疑われるとき
  3. 肝疾患が疑われるとき
    (多くの凝固因子は肝臓でつくられます)
  4. 手術前のスクリーニング検査
  5. ワーファリン使用時におけるコントロールの指標として

基本的に、ルーチンの採血でPTを含む凝固系の検査をする必要はありません。

では、どのようなときに凝固系の採血が必要なのか、簡単に紹介したいと思います。

ワーファリンのコントロール

PT-INRは、ワーファリン内服時のコントロールの指標にし、一般的な抗凝固療法ではPT-INRを2.0~3.0にコントロールします。

現在、日本のガイドラインでは、非弁膜症性心房細動患者ではPT-INR2.0~3.0(70歳異常では1.6~2.6)、機械弁置換患者ではPT-INR2.0~3.0でのコントロールが推奨されています。いずれにしてもPT-INRが3.5以上では高すぎであり、4.0以上はパニック値で、出血の危険が高くなります。

なお、ワーファリンではAPTTも延長します。

ヘパリンでPTは延長しないのか?

ヘパリンを投与するとAPTTは延長しますが、PTは延長しにくいです。

しかし、大量にヘパリンが投与されていればPTが延長することもありますし、当然ヘパリンロックされたラインからヘパリンが混入していればPTは延長してしまいます。

 

 

というわけで今回は以上です。

 

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