こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
本記事では、腎臓の働きについてまとめます。
目次
腎臓の働き
- 水分の調節
- 老廃物の排泄
- 電解質のバランスを保つ
- 血液を弱アルカリ性に保つ
- 造血刺激ホルモンの分泌
- ビタミンDの活性化
- 血圧の調節
腎臓の働きは主に上記のとおりです。
水分の調節
腎臓は体液の量の調節をおこなっています。
例えば、水分を大量に摂取すると薄い尿がたくさん出ます。逆に、水分を制限すると、濃い尿が少ししか出ません。このように、腎臓は体内の体液の量を、尿の排出量によって調節しています。
老廃物の排泄
腎臓は、尿素やクレアチニン、尿酸などの老廃物を体外に排出します。
体内にこれら老廃物が溜まりすぎると尿毒症と呼ばれる様々な症状が現れます。
電解質のバランスを保つ
腎臓は体液の電解質の濃度を一定に保つように調節をおこなっています。
体液の電解質の濃度を一定に保つことは、細胞が生きていくために非常に重要です。ちなみに、人間の細胞外液の電解質濃度は、数十億年前に生命が誕生した当時の海水の組成に似ているといわれています。
体液には水分のほかに、電解質が含まれています。おもな電解質には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどがあります。
血液を弱アルカリ性に保つ
私たちの体内では、代謝に伴って「酸(H+)」がつくられます。[余分な酸(H+)」は、腎臓から尿として体外へ排出しています。あるいは、酸(H+)」を中和する重炭酸イオン(HCO3–)を近位尿細管から再吸収し、体内をアルカリ性に傾けています。
なお、重炭酸イオン(HCO3–)は尿細管で100%再吸収され、酸(H+)は尿細管で分泌されてすべて排泄されています。
これらによって、体液のpHを弱アルカリ性である一定の範囲(7.35~7.45)に保っています。
そもそもpHとは水素イオン濃度をわかりやすく表現したものです。
ですのでpHはH+の濃度によって計算でき(pH=-log[H+])、0~14で表されます。pH7.0を中性として、7.0以下を酸性。7.0以上をアルカリ性といいます。
血液のpHは7.4±0.05(7.35~7.45)の弱アルカリ性です。
造血刺激ホルモンの分泌
腎臓はエリスロポエチンを産生して、赤血球産生を増加させています。
エリスロポエチンは、骨髄の造血幹細胞に働きかけ、赤血球産生を亢進させます。
ビタミンDの活性化
腎臓はビタミンDを水酸化することで活性型ビタミンDにします。この活性型ビタミンDは腸からのカルシウムやリンの吸収を促進するとともに、腎臓からのカルシウムの再吸収を促進しています。
また活性型ビタミンDには、副甲状腺に作用して副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑制する作用があります。
血圧の調節
- レニン:血圧を上昇させます。
- プロスタグランジン:血圧を低下させます。
腎臓は血圧を調節するホルモンである、レニンとプロスタグランジンを分泌しています。
例えば、脱水や血圧低下により腎血流の低下を感知すると、腎臓の傍糸球体細胞からレニンが分泌され、血圧が上昇します。
個別の腎臓の組織
- ネフロン
- 糸球体
- 尿細管
ネフロン
ネフロンは腎臓の最小機能単位です。
ネフロンは糸球体と尿細管という2つの部分で構成されていて、尿細管は近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管で構成されています。
糸球体
糸球体は血液をろ過して原尿をつくっています。
なお、心拍出量の約20%にあたる毎分1Lもの血液が糸球体に流れ込み、その1割、つまり0.1L/分が糸球体濾過量(原尿)です。
1日では1440Lもの血液が糸球体に流れ込み、その1割にあたる144Lが濾過されて原尿となります。
糸球体内圧
糸球体内圧は全身の血圧の変動を受けず、約50mmHgに維持されています。この調節には、筋原反応、TGF機構、交感神経系活動、レニン-アンジオテンシン系が担っています。
尿細管
尿細管は原尿から水や電解質を再吸収します。
1日で約144Lもの血液が糸球体で濾過されて原尿となりますが、原尿の99%は尿細管から再吸収され、その結果1.4L/日が尿になります。
すなわち、腎臓で尿量を決める要素は糸球体濾過量(GFR)と尿細管での再吸収です。
傍糸球体細胞
糸球体に近い輸入細胞動脈壁に傍糸球体細胞があります。
傍糸球体細胞は、レニンを分泌します。
腎血流量が低下した場合には、傍糸球体細胞からレニン分泌が起こり、血中のアンジオテンシンⅡの濃度が上がります。このアンジオテンシンⅡは輸入・輸出細動脈ともに収縮させるが、輸出細動脈のほうが感受性が高いため、糸球体内圧が上昇します。
というわけで今回は以上です。
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