血液透析で使われる抗凝固薬の種類と特徴

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事では、透析で使われる抗凝固薬の種類と特徴をまとめています。

血液透析で使われる抗凝固薬の種類

日本で血液透析時の抗凝固薬として認可されている薬剤は、以下の4種類です。

  1. 未分画ヘパリン
  2. 低分子量ヘパリン
  3. ナファモスタットメシル酸塩
  4. アルガトロバン

未分画ヘパリン

未分画ヘパリンは血中のアンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)と結合し、その立体構造を変えて活性化させます。
これにより、Ⅱa(トロンビン)、Xa、Ⅸa、Ⅺa、Ⅻa、Ⅶaを抑制して、血液の凝固を防ぎます。

とくに、Ⅱa(トロンビン)とXaの抑制が重要です。

未分画ヘパリンの特徴

未分画ヘパリンの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 分子量5,000~40,00Da(ダルトン)に分布(平均分子量:12,000Da)
  • 半減期:約1時間
  • AT-Ⅲと結合して抗凝固作用を示す
    → 抗Ⅱa、Xaの抑制作用がメイン
  • 現在、血液透析のほとんどに未分画ヘパリンを使用
  • 副作用として、出血性合併症に注意が必要
【補足】アンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)は、Ⅱa(トロンビン)が血液中に発生すると、不可逆的に結合してこれを不活性化します。それと同時に、Ⅹaも不活性化します。このようにAT-Ⅲは、基本的にはこの2つの不活性化によって、凝固抑制をおこなっています。

低分子量ヘパリン

低分子量ヘパリンは、未分画ヘパリンを分画して生成されたもので、分子量が4,000~6,000Daと狭い範囲に、低分子化されています。

作用機序は未分画ヘパリンと同じですが、低分子化されたことによって、未分画ヘパリンの抗凝固作用(Ⅱa、Xa抑制作用)のうち、Xa抑制作用のみ残し、Ⅱa(トロンビン)抑制作用はほとんどなくなっています。

低分子量ヘパリンの特徴

低分子量ヘパリンの特徴をまとめると以下のようになります。

  1. 分子量4,000~6,000Da
  2. 半減期:2~3時間
  3. 抗Xa/Ⅱa活性比が、未分画ヘパリンに比べて高い
    (つまり、Ⅱa(トロンビン)抑制作用が弱く、Xaの抑制作用がメイン)
    →上記の理由により、本来の凝固能の低下が少なく、未分画ヘパリンに比べて出血を助長する危険性が低いです。
  4. 未分画ヘパリンに比べて血小板凝集作用が少ない
  5. 血中AT-Ⅲレベルが低くても、未分画ヘパリンより、十分な抗凝固作用を示す

ナファモスタットメシル酸塩

ナファモスタットメシル酸塩は、蛋白分解酵素阻害薬で、血液凝固の一連の酵素反応を阻害し、抗凝固作用を示します。

具体的には、血液凝固系の、Ⅱa(トロンビン)、Ⅶa、Ⅹa、Ⅻaの阻害、および血小板凝集抑制だけでなく、トリプシン、カリクレイン-キニン系、プラスミン、補体系古典経路などに関わるセリン蛋白分解酵素を選択的かつ強力に阻害します。

なお、抗Ⅱa(抗トロンビン)作用は、アンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)を介さないため、未分画ヘパリンや低分子量ヘパリンと違い、AT-Ⅲ欠乏症でも抗凝固効果が得られます。

ナファモスタットメシル酸塩の特徴

ナファモスタットメシル酸塩の特徴をまとめると以下のようになります。

  • 分子量:約540Da
  • 抗Ⅱa作用は、AT-Ⅲを介さないためAT-Ⅲ欠乏症でも抗凝固効果あり
  • 半減期:5~8分
  • 分子量も小さく、透析で40%が除去される
    半減期が短く、透析性も高いため、体外循環回路内のみで抗凝固効果を発揮。そのため、出血性合併症の頻度は著しく低いです。
  • 副作用として、嘔気・嘔吐などの消化器症状、あるいはアナフィラキシーショック、発熱などのアレルギー作用に注意

アルガトロバン

アルガトロバンは、合成抗トロンビン(抗Ⅱa)薬です。
その作用機序は、アンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)を介さずに単独でⅡa(トロンビン)に結合して酵素活性を阻害します。

アルガトロバンの特徴

アルガトロバンの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 分子量:526Da
  • 半減期:約30分
  • Ⅱa(トロンビン)抑制作用はAT-Ⅲを介さないため、AT-Ⅲ欠乏症でも抗凝固効果あり
  • 透析性はなし
  • Ⅱa(トロンビン)の作用を強力に抑制するため、出血性合併症に注意が必要
2011年5月に、新たにⅡ型HTT患者における体外循環時の抗凝固薬としての適用が追加されています。

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