ヘパリンの作用機序をわかりやすくまとめてみた

ヘパリンの作用機序

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事では、血液透析でもっとも使用頻度の高い抗凝固薬であるヘパリンの作用機序についてわかりやすく解説します。

2003年末の日本透析医学会の透析調査では、79.3%がヘパリン、18.8%が低分子ヘパリンでした。

なお日本で、血液透析をおこなうときに抗凝固薬として認可されている薬剤は以下の4種類です。

  1. 未分画ヘパリン
    (通常、ヘパリンと呼ばれているものです)
  2. 低分子ヘパリン
  3. ナファモスタットメシル酸塩
  4. アルガトロバン

というわけで、ヘパリンの作用機序についてできるだけわかりやすく、かつ詳しく解説しようと思います。

ヘパリンの作用機序

ヘパリンの作用機序

【薬効薬理】
抗凝血薬。血液凝固系には第Ⅰから第ⅩⅢまでの血液凝固因子やプレカリクレイン、高分子キニノーゲンなどが働いているが、多くの因子がこれらの調節をしている。これらの調節因子のうち、アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)がヘパリンにより活性化され、トロンビンをはじめ第Ⅸa~Ⅻa因子及びカリクレインを阻害することによって、血液凝固を抑制する。

引用:ヘパリンNa透析用250単位/mLシリンジ20mL「ニプロ」、添付文書

ヘパリンの添付文書には上記のように抗凝固の作用機序が書かれていますが、これだけだとイマイチぴんとこない方もいるかと思いますので、本記事ではもう少しわかりやすく解説したいと思います。

ヘパリンの抗凝固の重要な作用機序は下記のとおりですが、順を追って解説していきます。

ヘパリンの主な抗凝固作用機序

  1. トロンビン(第Ⅱa因子)の阻害
  2. 第Xa因子の阻害
なぜ、未分画ヘパリンと呼ぶの?
ヘパリンは分子量が3,000~3,5000とバラツキがありますが、分画・その他の処理を加えたものに低分子ヘパリン(分子量1,000~5,000)のものがあります。この低分子ヘパリンに対し、未処理のものとして未分画ヘパリンと呼んでいます。

【概要】ヘパリンの作用機序をもう少しわかりやすく解説します

 未分画ヘパリンは,古くから使用されている抗凝固薬でアンチトロンビン(AT)Ⅲと結合しその作用を賦活化することで抗凝固作用を有します.

引用:上野智敏,~至適透析を理解する~血液透析処方ロジック,p72

ヘパリン(未分画ヘパリン)はアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)と結合して複合体を形成して、抗凝固作用を発揮します。

ヘパリンの作用はATⅢの作用を加速させることです。

ポイントとしては、ヘパリンそのものに抗凝固作用はないということです。

ですので、ATⅢ欠損症の患者さんでは、ヘパリンの効果が不十分になる可能性があります。この場合、アルガトロバンという別の抗凝固薬を使用したりします。

ヘパリンの効果はATⅢの濃度に依存しています。例えば、同じ抗凝固薬のメシル酸ナファモスタットなんかはATⅢを介さずに、直接Ⅱa、Xa、Ⅻaの阻害をおこないます。

【詳細】ヘパリンの作用機序【トロンビンとXaが重要】

ヘパリンの作用機序

ヘパリンはアンチトロンビン-Ⅲ(AT-Ⅲ)と結合することで、その活性を1,000~4,000倍に高める。ヘパリン-AT-Ⅲ複合体はトロンビンのほかにもXaをはじめⅨa、Ⅺa、Ⅻaを抑制する。

引用:若手医師のための透析診療のコツ,p121

ヘパリン(未分画ヘパリン)はアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)と結合して複合体を形成して、抗凝固作用を発揮します。

ヘパリン-アンチトロンビンⅢ 複合体が阻害する血液凝固因子

  1. トロンビン(第Ⅱa因子)
  2. 第Xa因子
  3. 第Ⅸa因子
  4. 第Ⅺa因子
  5. 第Ⅻa因子

ヘパリン-アンチトロンビンⅢ複合体は、上記の血液凝固因子であるトロンビン(Ⅱa)、Xa、Ⅹa、Ⅸa、Ⅺa、Ⅻaを阻害することで抗凝固作用を発揮します。

特にトロンビン(Ⅱa)と第Xa因子の作用を抑制することで抗凝固作用を発揮します。

ヘパリンの主な抗凝固作用機序

  1. トロンビン(第Ⅱa因子)の阻害
  2. 第Xa因子の阻害

アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)とは?

 アンチトロンビンⅢ(antithrombin Ⅲ;以下 AT Ⅲ)はセリン・プロテアーゼに対する生理的インヒビターとして,血中に約30mg/dl(5μM)の濃度で存在する.その生理的役割は,主として活性型凝固第Xおよび第Ⅱ(トロンビン)因子を阻害することにより血液凝固系を制御することにあり,したがって,その血中レベルの動態は各種血栓性疾患の病態と密接に関連することが示されている.AT Ⅲはまたヘパリンに親和性があり,その共有下に立体構造の変化をきたして,トロンビンなどの酵素に対する阻害活性を著しく増すことが知られている.

引用:自治医科大学助教授 松田道,検査と技術 vol.12 no.12 1984年12月,アンチトロンビンⅢについて

アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)はその名のとおり、トロンビン(Ⅱa)の作用を阻害する物質です。

トロンビン(Ⅱa)とは、プロトロンビン(Ⅱ)が活性化したもので、タンパク質分解酵素に分類されます。トロンビン(Ⅱa)の作用としては、フィブリノーゲンを切断してフィブリンに変換します。ですので、トロンビン(Ⅱa)によってフィブリンが増えるため、血液凝固反応は促進されます。

したがって、トロンビン(Ⅱa)の作用を阻害するアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)は、血液凝固反応を阻害します。

画像引用:https://csl-info.com/products/anthrobin/attribute/

しかし、アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)はトロンビン(Ⅱa)の作用を阻害するだけでなく、Ⅶa、Ⅻa、Ⅺa、Ⅸa、Ⅹaと多岐にわたります。

ヘパリン使用時にはAPTTを指標としてモニタリングしますが、その理由としては阻害するのが内因系のものが多いことからAPTT優位に延長するからです。

とくにアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)は、トロンビン(Ⅱa)とⅩaの作用を阻害することで、血液凝固作用を発揮しています。

まとめ:ヘパリンの作用機序

ヘパリンの作用機序

ヘパリンの主な抗凝固作用機序

  1. トロンビン(第Ⅱa因子)の阻害
  2. 第Xa因子の阻害

ヘパリン(未分画ヘパリン)はアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)と結合して複合体を形成して、抗凝固作用を発揮します。

ポイントとしては、ヘパリンそのものに抗凝固作用はないということです。

ですので、ATⅢ欠損症の患者さんでは、ヘパリンの効果が不十分になる可能性があります。この場合、アルガトロバンという別の抗凝固薬を使用します。ヘパリンの効果はATⅢの濃度に依存しています。例えば、同じ抗凝固薬のメシル酸ナファモスタットなんかはATⅢを介さずに、直接Ⅱa、Xa、Ⅻaの阻害をおこないます。

具体的なヘパリンの作用機序としては、ヘパリン-アンチトロンビンⅢ複合体は、主にトロンビン(Ⅱa)と第Xa因子の作用を抑制することで抗凝固作用を発揮しています。

 

というわけで今回は以上です。

ヘパリンの作用機序についてできるだけ詳しく、そしてわかりやすく解説してみました。少しでも皆様の参考になったなら幸いです。

 

<注意事項> 本ブログに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、掲載された情報に基づく判断については利用者の責任のもとに行うこととし、本ブログの管理人は一切責任を負わないものとします。 本ブログは、予告なしに内容が変わる(変更・削除等)ことがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA