透析中に患者さんの体内へ気泡混入した場合の対処

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

本記事では、透析中に患者さんの体内に気泡が混入した時の対処法とその理由をまとめています。

透析中に患者さんの体内へ気泡混入した場合の対処

透析中に患者さんの体内へ気泡が混入してしまったときの対処は以下のとおりです。

  1. 頭部を下げる
  2. 左側臥位をとる
  3. 酸素投与
  4. 高気圧酸素療法

頭部を下げる理由

画像引用:ぜんぶわかる 人体解剖図 p50

シャントや静脈から入った気泡は、上大静脈まで順行性に進みます。このとき頭部が挙上されていると、そこから逆行性に内頚静脈を介して脳に流れ、脳空気塞栓症を生じる場合があります。その結果、中枢神経系に重大な合併症を引き起こす場合があります。

静脈から混入した気泡は、静脈の流れに乗って鎖骨下静脈まで流れています。このとき、頭部が挙上していたら、逆行性に内頚静脈に気泡が流れていく可能性があります。内頚静脈は、脳の静脈に繋がっているため、脳の血管に気泡が詰まり、脳梗塞を起こす可能性があります。

左側臥位をとる理由

左側臥位をとれば、右心房に入った気泡は、右心房・右心室にとどまりやすく、肺空気塞栓症を予防することができます。

逆に右側臥位では、気泡が肺に流入しやすくなります。その結果、肺空気塞栓症や肺高血圧の発症する可能性があります。場合によっては気泡が肺を通過し、全身の動脈塞栓に移行する危険性が高まります。

気泡の大部分は肺でトラップされて除去されます。しかし、気泡が大きい場合では肺を通過し、動脈にまで到達することがあります。

酸素投与をする理由

左側臥位をとり、右心房・右心室にとどまっている気泡は時間とともに血漿に溶けていきます。しかし、空気の成分のほとんどを占める窒素は水に溶けにくいです。

そこで酸素投与をすることで、気泡の溶解を加速させることができます。

100%の酸素を吸わせることで、窒素の吸入量を減らします。これにより、血漿に溶けている窒素量を減らすことができます。これにより、窒素が血漿に溶解していくのを促進することができます。

ちなみに、少量の気泡であれば、肺の毛細血管でトラップされるので問題ありません。また、肺で気泡が吸収されてなくなります。

高気圧酸素療法

高気圧酸素療法を行うことで、血管内の気泡の体積を小さくすることができます。

 

というわけで今回は以上です。

透析中に、血液回路内へ空気が混入し、血液ポンプによって急速に患者さんの体内へ気泡が入ったときの症状は下記の記事で紹介しています。参考までにどうぞ。

透析中に患者さんの体内に気泡が混入したときの症状

 

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