エンドトキシンとはなに?わかりやすく解説してみた 

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事では、エンドトキシンとはなにかについてわかりやすく解説したいと思います。

エンドトキシンとはなに?わかりやすく解説

エンドトキシンとは、グラム陰性菌の外膜の構成成分の一つであるリポ多糖のことです。

※ リポ多糖(lipopolysaccharide)は省略して、LPSとも呼ばれています。
※ エンドトキシンはとくに細菌の破壊によって菌体外に放出されるため、日本語で(細胞)内毒素とも呼ばれています。しかし、エンドトキシンと呼ぶのが一般的です。
※ 後述しますが、毒素をもつのはエンドトキシンの中の「リピドA」といわれている部分です。

これだけではなんのことだかわからないと思うので、詳しく解説します。

グラム陰性菌とは

出典:系統看護学講座 専門基礎分野 微生物学 疾病のなりたちと回復の促進④ p16

グラム染色法による細菌の分類

  1. 紫色に染まる
    グラム陽性菌
  2. 赤色に染まる
    グラム陰性菌

すべての細菌はグラム染色によって、紫色に染まるグラム陽性菌と、赤色に染まるグラム陰性菌に大別されます。

これら染色の違いは、細胞壁の構造が違うためです。

そして、グラム陰性菌の外膜の構成成分の一つにリポ多糖(LPS)があり(上図参照)、これがエンドトキシンと呼ばれています。

ETは,グラム陰性菌の細胞壁外膜に存在するリポ多糖体(lipopolysaccharide;LPS)の総称であり、外因性パイロジェンとして重要視されている代表的な発熱物質である6)

引用:山下芳久,峰島三千男編集,透析液の安全管理 p35,日本メディカルセンター

つまり、「エンドトキシンとはリポ多糖(LPS)のこと」です。

リポ多糖(LPS)とは

出典:系統看護学講座 専門基礎分野 微生物学 疾病のなりたちと回復の促進④ p16

リポ多糖(LPS)は、グラム陰性菌の外膜の構成成分の一つであり、リポ多糖(LPS)は『多糖部分(O抗原+コア多糖)』と『リピドA』から構成されています。

このリポ多糖(LPS)のなかのリピドAの部分に毒性があります。

エンドトキシンの構造【リピドAが重要】

エンドトキシンの構造

画像引用:池田寿昭,特集 血中病原体抗原とバイオマーカー Ⅰ病原体抗原6.エンドトキシンについて,化学療法の領域 Vol.32,No.10,2016

  • エンドトキシンとはリポ多糖(LPS)のこと
  • リポ多糖は『多糖部分(O抗原+コア多糖)』と『リピドA』から構成される

エンドトキシンは、O抗原多糖、コア多糖、リピドAの3つの部分で構成されています。

このうち、エンドトキシンの持つ様々な生理活性はリピドAとよばれる脂質部分によります。

なお、エンドトキシンのリピドAにより生理活性の多くは、リピドAによって活性化されたマクロファージから産生されたサイトカインを介して起こります。

エンドトキシンの作用

  1. 発熱作用
    → 全身的発熱の原因となります。
  2. マクロファージの活性化
  3. 補体の活性化
  4. シュワルツマン反応
  5. エンドトキシンショック

エンドトキシンの作用は上記のとおりです。

かつては透析後に発熱するということがありましたが、原因はエンドトキシンです。

しかし現在では、ET補足フィルター(Endotoxin retentive filter:ETRF)がコンソールに設置されているため、大量のエンドトキシンが患者さんに入ることはまずありません(したがって透析後にエンドトキシンが原因で発熱するということはほぼありません)。

問題となるのは、低濃度のエンドトキシンが透析のたびに流入している場合です。このとき、身体の免疫システムが刺激され、慢性炎症状態をつくりだすことがわかっています。

エンドトキシンの分子量

エンドトキシンの分子量は5,000~8,000です。

ですので、昔の透析(HD)で使用する中空糸膜孔は、この中分子領域であるエンドトキシンが通り抜けられない大きさに設計されていました。

 

というわけで今回は以上です。

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