こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
さて、先日に下記のツイートをしました。
小麦はやめた方がいいとか、糖質制限は良いとか悪いとかもう何を信じていいのか分からないから食べ過ぎで死にたい
— 秋元@臨床工学技士 (@akimotoME) May 1, 2021
たしかに、世の中には色々な情報が出回っていて、糖質制限は身体にいいだとか、逆に悪いだとか、色々な意見があって正直どれを信じたらいいのかわかりません。
それだけでなく、糖質の中でも玄米や全粒粉パンなど精製されてないものは大丈夫だとか、フルーツは糖質も多いけど食物繊維やその他の栄養素があるので大丈夫、なんて意見もあります。
そこで今回は原点に立ち返ろうと思います。
つまり、人類本来の食べ物は私たちの身体にとって良いという前提の元、大昔の人類が食べていた食べ物の歴史を振り返り、その歴史的背景を紹介したいと思います。
目次
人類の食べ物の歴史
初期の人類の食べ物は高タンパク質&高脂質です。
この理由を歴史的な事実から説明したいと思います。
私たちの祖先がチンパンジーとわかれたのは約600万年前です
わずか600万年前、ある一頭の類人猿のメスに、二頭の娘がいた。そして、一頭はあらゆるチンパンジーの祖先となり、もう一頭が私たちの祖先となった。
私たち人類にもっとも近いのはチンパンジーといわれています。
そして、そのチンパンジーと私たちの祖先が分岐したのは約600万年前といわれています。
その頃の私たち祖先の食べ物は、植物や果物といった植物性のものをメインで食べつつ、動物性である昆虫や動物の死骸なども食べていました。
(つまり、雑食性の動物でした)
- 植物
(植物の葉、芽、根、果物) - 昆虫
- 動物の死骸
私たちの祖先が主食としていた食べ物は植物でしたので、主要な栄養素は炭水化物(糖質+食物繊維)でした。
植物や果物に大量の糖質が含まれるようになるのは、人類が農業を始めて品種改良をするようになってからです。
実際、今でもチンパンジーは植物性の食べ物(植物の葉、芽、根、果物)をメインで食べつつ、昆虫や小型哺乳類などの動物性のものも食べる雑食性の動物です。
しかし、250万年前くらいから私たちの祖先の食べ物の内容が大きく変わりました。
人類の誕生は約250万年前:肉食への目覚め
- ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人ともいいます)
- ホモ・エレクトス
- ホモ・ソロエンシス
- ホモ・フローレシエンシス
- ホモ・デニソワ
- ホモ・ルドルフェンシス
- ホモ・エルガステル
「人類」という言葉の意味は「ホモ属に属する動物」のことです。
上記はすべて「ホモ属」ですので、今の私たちと同じ「人類」ということになります。
その人類が初めて誕生したのは、約250万年前の東アフリカといわれています。
この地を始まりとして、北アフリカ、ヨーロッパ、アジアに進出して、それぞれ多種多様な種類の人類が誕生しました。
この人類が誕生した250万年前くらいに氷河期に移行します。
人類が狩猟を開始する直接のきっかけは250万年前くらいから起こってきた気候や環境の変化です。このころから氷河期に移行し、地球上の気温が低下していき、アフリカのジャングルは縮小し、草原やサバンナに変化していったのです。
引用:Daiwa
上記のとおりでして、氷河期によってジャングルが縮小したため(氷期の間は地球全体が乾燥し、降雨量が少なくなって樹木が育たなくなるため)、いままで食べてきた植物性の食べ物を見つけるのが難しくなりました。
一方、ジャングルが縮小して草原に変化した地には、草食動物や、それをエサとする大型の肉食動物が生息するようになりました。
そのため、食べ物を得るために人類は草原で狩りをするようになります。
同時に、漁によって魚介類も食べていたとされています。
このころから動物性の食べ物の割合が増えていき、たんぱく質や脂質の多い食事内容へと変わっていきました。
つまり、250万年前の氷河期を境に「低糖質・高タンパク質・高脂質」の食事へとシフトしていったのです。
このころの人類の食べ物をまとめると以下のようになります。
- 植物 ← 徐々に減少
- 昆虫
- 動物 ← 徐々に増加
- 動物の死骸
ですので旧石器時代(約250万年前から1万年前の間)の人類の食べ物は、草原で野生の動物や魚を狩りながら、木の実や根菜などをあつめて生活をしていました。
いわゆる狩猟採集生活です。
今の人類の誕生は約15万年前【肉食中心の食べ物】
ホモ・サピエンスに分類されうる動物が、それ以前に人類種から厳密にいつどこで最初に進化したかはわからないが、15万年前までには、私たちにそっくりのサピエンスが東アフリカにすんでいたということで、ほとんどの学者の意見が一致している。
ホモ・サピエンスとは、まさに私たちのことで、他のホモ属(人類)よりも知能が高かったため、より効果的に協力して狩猟ができ、さらに多くの動物を食べることができたと考えられています。
つまり、250万年前くらいのホモ属(人類)から、肉食の比率が増えていき、私たち直系の祖先であるホモ・サピエンスは、その知能の高さからより多くの肉を食べていたということです。
ようするに、「低糖質・高たんぱく質・高脂質」の食事です。
実際、私たちの身体はそれに適応していまして、必須脂肪酸と必須アミノ酸はありますが、必須糖質というものはありません。
糖質は身体にとって絶対に必要な必須栄養素ではありません。
必須栄養素とは、身体の中で作られない、あるいは少量しか作られず食べ物から摂る必要がある栄養素のこと。
理由は、たんぱく質と脂質からも糖質は合成できるからです。なので糖質は無理にとらなくても欠乏症には基本的になりません。
— 秋元@臨床工学技士 (@akimotoME) May 2, 2021
これは、250万年の進化の中で、肉食の比率が増えるにしたがって炭水化物(糖質)の重要性が下がってきたのだと考えられます。
ですので、歴史的な観点からみると人類(ホモ属)の本来の食べ物は肉食中心の糖質制限食だといえます。
1万年前くらいに起きた農業革命が人類の食べ物の歴史を変えた
- 農業革命以前(1万年前より以前):低糖質・高たんぱく・高脂質
- 農業革命以降(1万年前より以降):高糖質・低たんぱく質・低脂質
そんな私たちホモ・サピエンスの食生活は1万年前くらいに起きた農業革命によって大きく変化します。
農業により、より効率的に大量の食べ物を手に入れることができるようになりました。
大量の食べ物とは、皆さんご存知のように小麦、米、トウモロコシといった糖質が豊富に含まれている穀物です。
農業の開始にによって、これら糖質の多い穀物を収穫でき、食べる量が増えていきました。その分、動物性の食べ物を食べる量が減っていきました。
つまり、農業革命によって「高糖質・低たんぱく質・低脂質」の食事へと大きく変わりました。
農業の始まりは約1万年前【人類の食べ物が変化したきっかけ】
諸説ありますが、農業の始まりは約1万年前のメソポタミアの「肥沃な三日月地帯」といわれています(上の地図を参照)。
この地で人類は、世界初の小麦の栽培をスタートさせます。
小麦の栽培の始まり
この肥沃な三日月地帯には、野生のエンマ小麦が自生していて、一面の草原になっていました。
なお、人類がもっとも最初に栽培した植物は「小麦」だといわれています。
しかし、数若万年の間に本来の人類(ホモ属)が食べていた食べ物は「低糖質・高たんぱく質・高脂質」のものです。
- 植物
- 昆虫
- 動物、魚 ← 食事内容の半分以上を占めていた
- 動物の死骸
しかし、小麦の種子には甘いデンプンがたくさん含まれています。この甘いデンプンに人類は虜になっていきます。
デンプンを分解すると甘いぶどう糖になります。
甘いものは麻薬と同じです。
あるアメリカのお菓子メーカーの実験によると、ネズミに甘いクリームを食べ続けさせた結果、ネズミの脳からエンドルフィンという物質が大量にでていることがわかりました。
このエンドルフィンは、快楽を感じさせる物質で、これはアヘンを吸引したときにも出ます。— 秋元@臨床工学技士 (@akimotoME) May 2, 2021
また、小麦は生産力が高く、年間降水量が少なくても栽培できる珍しい植物だったので、あっという間に普及していきました。
しかし、そのおかけで大量の食物が安定的に手に入り、人口が爆発的に増えていったので、一概にすべてが悪いということでもありませんが(-_-;)。
ここでいいたいことは、農業革命によって肉食メインの雑食から炭水化物(糖質)メインの雑食へと食事内容が変化していったということです。
- 約1万年前より以前の食事(農業革命以前):肉食メインの雑食
- 約1万年前から以降の食事(農業革命以降):炭水化物(糖質)メインの雑食
人類と穀物の付き合いはわずか1万年たらず
このように、人類(ホモ属)の歴史を250万年とすると、穀物である小麦の栽培を始め、それを多く食べ始めるようになってから、わずか1万年たらずしか経っていません。
このため、人類の消化管や代謝は炭水化物(糖質)をメインの食事としてまだ適応しきれていないと考えられます。
また、必須糖質というものもありませんので、必ずとらなければならない栄養素というわけではありません(糖質は体内で生合成可能)。
あと、数百万年くらいたてば、米やパンを主食としても問題ないような遺伝的な進化をするかもしれませんが、1万年という期間では適応しきることは難しいのだと思います。
少なくとも、米やパンといった炭水化物(糖質)は、私たちが主食として食べていたものではありませんが、250万年の間は私たちは肉や魚から半分以上のカロリーを得ていました。
穀物は食後高血糖を引き起こします
このように、私たちが主食だと思っている穀物(米や小麦など)は、実は人類の歴史的にみるとごく最近になってからのことでした。
この穀物の主成分は「デンプン」です。
このデンプンは消化管でブドウ糖へと消化されます。消化されたブドウ糖はすべて消化管を通して体内に吸収され、血管の中へとはいります。その結果、血糖値が必ず上がります。
食後高血糖と、血糖の上下は身体に悪いです
最近の研究により「食後高血糖」と「血糖が大きく上下すること」は身体に悪いことがわかっています。
「食後高血糖」と「血糖の上下が大きい」は酸化ストレスが増え、血管がダメージを受けて血流が悪くなっていきます。その結果、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
また、肥満やメタボの原因にもなり、さまざまな生活習慣病を引き起こします。
高血糖だけでなく、質的な栄養失調状態にもおちいっている
さらに穀物をおおく食べるようになってから、食事の量(カロリー)は足りているんだけれども栄養素が足りていないという質的な栄養失調にも陥っています。
現代人は食べ過ぎです。
それにもかかわらず、栄養失調です。どういうことかというと、白米、麺類、パンなどの炭水化物はしっかり摂り過ぎてるんだけど、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルが足りていないということです。
ようするに、「現代人は質的な栄養失調状態にある」ということです。
— 秋元@臨床工学技士 (@akimotoME) May 2, 2021
農業を始める以前の人類(ホモ属)は、狩猟採集によって肉をはじめ、さまざまな植物を食べていました。肉はたんぱく質や脂質だけでなく、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
一方の、穀物は主成分が炭水化物(糖質)で微量のビタミンやミネラルしか含まれていません。
糖質を食べるなとは言いませんが、現代人は米やパンを明らかに食べすぎています。
これは歴史的にみて明らかなことです。
本来の人類は狩猟採集によって多種多様な食べ物を食べる雑食性の動物です。
少なくとも毎食にご飯、麺類、パンを食べるのは辞めたほうが賢明です。
ご飯やパンといった食べ物は人類の歴史からみると嗜好品
人類の歴史振り返ると、私たちがご飯やパンを主食として食べ始めたのはつい昨日のようなことです。
にもかかわらず、私たちはご飯やパンを食べないと元気がでない、エネルギーが出ないと多くの人は思っていますが、それは歴史的にみると大きな間違いです。
すくなくとも、1万年前の農業革命以前は、低糖質・高たんぱく質・高脂質の食事をしてきました。
食べ物との付き合いとしては動物性の食べ物を食べていた期間のほうがずっと長いです。
しかしそれが、1万年前の農業革命によって穀物(小麦、米、トウモロコシ)を主食として食べるという食の大転換がおこりました。
ですが、人間のからだはわずか1万年たらずでは大量の炭水化物(糖質)には適応しきることができていません。
そのため、さまざまな病気の原因になっているということです。
ですので、米やパン、麺類は主食ではなく、嗜好品という位置づけで考えるべきです。
というわけで今回は以上です。
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