こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。
本記事では、高齢や合併症で食事がとれない透析患者さんに対し、透析中におこなう栄養点滴であるIDPN(透析中高エネルギー輸液)について解説します。
目次
透析中におこなう栄養点滴【IDPN:透析中高エネルギー輸液】
透析患者で経口・経腸輸液で十分な栄養摂取ができない場合、最初に試みられるのがIDPNである。
引用:若手医師のための透析診療のコツ p70
本記事では、IDPNがどんなものなかのを解説します。
IDPN(透析中高エネルギー輸液)とは
IDPN(intradialytic parenteral nutrition)とは、血液透析中に血液回路から輸液を行う方法です。
それぞれの英訳は下記のとおりです。
- intradialytic:透析中におこなう
- parenteral:非経口
- nutrition:栄養
IDPNでは、輸液のために新たなルートを増設する必要もなく、血液透析中に血液回路から高エネルギー輸液をおこないます。
このように、IDPN(透析中高エネルギー輸液)は、透析患者に独特な栄養補給の方法です。
IDPNの特徴
- 輸液のためのカテーテルの挿入が不要
- 大量の血液で希釈されるので大量輸液が可能※1
- 輸液が透析時間に限られるので、1日に必要なエネルギーやタンパク質をすべて補給することは困難
- 補充した水分を透析中に除水する場合、除水量が多くなる
- 補充した栄養素も一部は透析中に透析されてしまう
IDPNの特徴は上記のとおりです。
IDPNの適応
高齢や合併症により、食事量が低下した透析患者さんに対し、IDPNによる栄養補給が有効といわれています。
ですが、透析患者さんの栄養補給の第1選択は、とろみ付け、刻み食などの経口栄養です。
第2選択が透析患者ではIDPN(透析中高エネルギー輸液)です。
それでも不足するなら第3選択として、短期間なら経鼻栄養チューブ、長期間なら経腸栄養です。消化管が使用できなければ、中心静脈栄養です。
IDPNの効果
- 体重増加
- 血清ALB増加
- 死亡率の低下
IDPNの効果は上記のとおりです。
ただ、効果が出るのは半年以上の投与が必要といわれています。
また、ブドウ糖やアミノ酸は透析で除去されるので、実際の栄養補給量は不明です。
というわけで今回は以上です。
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