2016年版 透析液水質基準の総残留塩素濃度についてわかりやすく解説

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事では、総残留塩素濃度の測定箇所、管理基準、測定方法などについて、「2016年版 透析液水質基準(日本透析医学会)」を参考にまとめています。

2016年版 透析液水質基準の総残留塩素濃度について

日本透析医学会の「2016年版 透析液水質基準」において、総残留塩素濃度の管理基準が記載されていて、ポイントをまとめると以下のようになります。

  1. 塩素濃度測定は総残留塩素(遊離塩素と結合塩素(クロラミン)の合計)測定を推奨する。
  2. 総残留塩素(総塩素)は0.1mg/L未満。
  3. 捕捉表1「水および機器・ユニットの管理基準」を参考として管理を行う。
  4. 災害時・緊急時には原水中の塩素濃度が上昇する可能性があるので、安定時における活性炭ろ過装置等の管理が必要である。

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

捕捉表1「水および機器・ユニットの管理基準」は下記のとおりです。

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

原水に関しては、上の表のとおり水道法による水道水質基準にしたがって管理します。ですので、原水の残留塩素の目標値は1mg/L以下となります。

水道水は必ず塩素消毒がされていて、水道法により排水管の末端で遊離残留塩素濃度は0.1mg/L以上(結合残留塩素の場合0.4mg/L以上)を維持することが必要と義務付けされています。そのため、水道水には次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの薬品が一定量加えられています。

それでは、総残留塩素の測定箇所、測定頻度、基準、測定方法などについて一つずつわかりやすく解説していきます。

残留塩素とは?

残留塩素とは、水道水の消毒のために投与された次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの薬品が水道水に残留したもののことです。

残留塩素があれば、水道水に雑菌などが繁殖することがありません。ちなみに、水道水に含まれる遊離残留塩素の濃度が高いとカルキ臭となって、水をまずく感じさせる原因になります。

残留塩素についてもう少し詳しく知りたい人は「総残留塩素とはなに?わかりやすく解説してみた【遊離残留塩素と結合残留塩素の違い】」で詳しく解説しているので併せてご覧ください。

総残留塩素、遊離残留塩素と結合残留塩素総残留塩素とはなに?わかりやすく解説してみた【遊離残留塩素と結合残留塩素の違い】

総残留塩素の測定箇所

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

総残留塩素は、原水と活性炭ろ過装置の出口水を測定します(上の表の赤で囲った部分をご覧ください)。

原水に関しては、水道法による水道水質基準にしたがって管理します。ですので、残留塩素の目標値は1mg/L以下となります。

総残留塩素の測定頻度

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

活性炭ろ過装置の出口水の総残留塩素の測定は、透析施行日におこないます。

ただし、原水の総残留塩素が1mg/L以上になった場合には、活性炭ろ過装置出口水の測定頻度を透析治療ごとに変更するとしています。
(2クールの場合、2回測定するという意味だと思われます。)

総残留塩素(遊離塩素+クロラミン)の基準

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

  • 活性炭ろ過装置の出口水の総残留塩素の基準:0.1mg/L未満
  • 塩素濃度測定は総残留塩素(遊離塩素と結合塩素(クロラミン)の合計)測定を推奨

活性炭ろ過装置の出口水の総残留塩素の基準は0.1mg/L未満(日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」)です。

塩素濃度測定は総残留塩素(遊離塩素と結合塩素(クロラミン)の合計)測定を推奨しています(2016年版 透析液水質基準)

活性炭濾過装置出口水の総残留塩素濃度が 0.1 mg/L 以上となる場合は、原因を分析し対応します。

過去に、原水の結合塩素の濃度が高く、透析用水作製装置でも処理しきれずに、透析液中に塩素が混入、そこから血液中に塩素が入って、集団貧血になった事例もあります(詳細は記事の後半に記載してます)。

もし、透析用水でも総残留塩素濃度が0.1mg/L以上(透析液水質基準2016:透析用水の化学的汚染基準)になる場合は、透析液安全管理責任者、透析医、施設長などで透析の継続が可能かどうかを協議する必要があります。
透析用水とは透析用水作製装置の出口水のことで、多人数用透析液供給装置、個人用透析装置などに供給される水のことです。

総残留塩素の測定方法

総塩素(遊離塩素とクロラミンの合計)として分析し、活性炭ろ過装置の出口水の総塩素が0.1mg/L未満であること。総塩素の試験はN.N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン(DPD法)で行う。

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

総残留塩素の測定は、DPD法でおこないます。

総塩素濃度は、経時的な濃度低下を防止するために、現場で速やかに測定します。測定結果は運転日誌に記録します。

透析液に塩素が混入するとダメな理由【溶血・貧血の原因】

透析液から血液中に塩素が混入すると、赤血球が溶血し貧血になることが知られています。

 

平成18年1月に発生した事例では、原水の結合塩素濃度が0.7mg/Lであり、透析用水作製装置で処理しても完全に除去しきれず、透析液中の結合塩素濃度が0.2mg/L程度混入した結果、46名の患者に対して急激な貧血を発生した事例があります1)。医療機関の報告によれば、地下水供給施設の設置にあたって水道水質基準への適合は確認したものの、残留塩素については遊離塩素のみを確認しており、結合塩素の事前測定が欠落していたとのことです。

1) 千葉日報.平成 18 年 3 月 10 日

まとめ:透析液の残留塩素の管理

4.1.1.1. 共通

総塩素(遊離塩素とクロラミンの合計)として分析し、活性炭ろ過装置の出口水の総塩素が0.1mg/L未満であること。総塩素の試験はN.N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン(DPD)法で行う。
オンライン・モニタも使用されるが、その場合には必ず、製造業者の説明書に従って使用され、メンテナンス(校正含む)が必要である。透析用水の塩素濃度は総塩素濃度で管理し、測定頻度は透析施行日とする。ただし、原水も測定し、総塩素濃度が1mg/L以上になった場合には、透析用水の測定頻度を透析治療ごとに変更する。総塩素濃度は、経時的な濃度低下を防止するために、現場で速やかに分析する。活性炭ろ過装置の出口水の総塩素を測定し、結果は運転日誌に記録する。検出(総塩素濃度0.1mg/L以上)されたならば交換することを検討する。また、活性炭交換後は活性炭が正常に機能していることを確認する。

引用:日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」

最後に、日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」より重要な箇所を引用し、下記にその内容をまとめます。

  • 活性炭ろ過装置の出口水の総残留塩素濃度は0.1mg/L未満であること
  • 測定頻度は透析施行日とする
  • 原水も測定し、総残留塩素濃度が1mg/L以上の場合、透析用水の測定頻度を透析治療ごとに変更する
というわけで今回は以上です。

透析液の塩素濃度の管理について、少しでも参考になれば幸いです。

残留塩素についてもう少し詳しく知りたい人は「総残留塩素とはなに?わかりやすく解説してみた【遊離残留塩素と結合残留塩素の違い】」で詳しく解説しているので併せてご覧ください。

総残留塩素、遊離残留塩素と結合残留塩素総残留塩素とはなに?わかりやすく解説してみた【遊離残留塩素と結合残留塩素の違い】

 

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