こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
痛み止め(鎮痛剤)は、病院で多く処方される薬の代表格ですが、その種類は多くかなりややこしいです。
そこで本記事では、痛み止め(鎮痛剤)を大きく5つに分類してわかりやすく整理し、併せてよく使われる痛み止め(鎮痛剤)の種類を紹介します。
痛み止め(鎮痛剤)についてまったくわからない、、、という方の参考になれば幸いです。
目次
鎮痛剤(痛み止め)の分類と強さ
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
- アセトアミノフェン
- 弱オピオイド(非麻薬性鎮痛薬)
- 強オピオイド
- 鎮痛補助薬
鎮痛剤(痛み止め)として使われる薬は、上記の5つに分類できます。
これらの鎮痛剤(痛み止め)は、痛みの種類や痛みの強さによって使い分けます。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
NSAIDsとはNon Steroidal Anti Inhlammatory Drugs の略で、非ステロイド性抗炎症薬と訳され、解熱・鎮痛作用に加えて抗炎症作用を示す、ステロイドを除いた薬剤の総称です。
鎮痛のメカニズムとしては、プロスタグランジンの合成を抑えることで、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を発揮しています。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の働き
- 働き①:抗炎症作用
- 働き②:鎮痛作用
- 働き③:解熱作用
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の働きをまとめます。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の主な副作用として、胃潰瘍や腸閉塞があります。
実際に患者さんの中には、ロキソプロフェンを自己判断で大量に内服してしまい、胃潰瘍になって貧血となり、輸血が必要となってしまったケースもありました。
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンもNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)と同様にCOXを阻害しますが、NSAIDsと比較して痛み止めとしての強さはは弱いといわれています。
また、抗炎症作用はほとんどありません。
このように、アセトアミノフェンには抗炎症作用はほとんどありません。そのため、アセトアミノフェンはNSAIDsには分類されていません。
アセトアミノフェンの働き
- 働き①:鎮痛作用
- 働き②:解熱作用
アセトアミノフェンの働きをまとめます。
アセトアミノフェンの主な副作用として、肝障害があります。
カロナール
非常によく使われる薬で、乳児にも使える安全な鎮痛・解熱剤です。
カロナールの有名な副作用は肝機能障害です。実際に添付文書にも以下のように記載されています。
【警告】
(1)本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与すること。
引用:カロナール錠®添付文書
痛み止めとしての強さ
- 痛み止めとしての強さ:オピオイド>NSAIDs>アセトアミノフェン
ここまでで説明したNSAIDsやアセトアミノフェンの痛み止めとしての強さははオピオイドほど強くありません。
そのため、痛みが強い場合にはこれから説明するオピオイドを使用します。
オピオイドとは
オピオイド(opioid)とは、μ、κ、δ受容体に結合し効果を示す化合物の総称のことです。
オピオイドの鎮痛効果のメカニズム
神経細胞のオピオイド受容体に結合し、その細胞の興奮を抑制します。これにより、鎮痛効果が働きます。
オピオイド鎮痛薬の3大副作用
- 便秘
- 吐き気
- 眠気
オピオイド鎮痛薬の3大副作用は上記の3つです。
弱オピオイド(非麻薬性鎮痛薬)
弱オピオイドとは、鎮痛効果に上限があり、それ以上増やしても鎮痛効果が上がらない投与量があるオピオイドのことです。あるいは、軽度から中等度の痛みに対して使用するオピオイドのことです。
強オピオイド
強オピオイドとは、副作用が生じていない範囲で、投与量を痛みにあわせて上限なく増量できるオピオイドのことです。あるいは、中等度から高度の痛みに対して使用するオピオイドのことです。
鎮痛補助薬
鎮痛補助薬とは、「主たる薬理作用には鎮痛作用がなく、鎮痛薬と併用すると、鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬剤」と定義されています。
リリカ
例えば、リリカは腰の痛みなどの神経からくる痛みに対し使用することが多いです。
ただし、比較的強い薬なので、めまいや立ちくらみなどの副作用がでることがあります。
また、薬を止める際も精神薬などと同じように離脱症状があるので、他の痛み止めのようにすぐに止めることができないので注意が必要です。
まとめ:鎮痛剤(痛み止め)の分類と強さ
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
- アセトアミノフェン
- 弱オピオイド(非麻薬性鎮痛薬)
- 強オピオイド
- 鎮痛補助薬
- 痛み止めとしての強さ:オピオイド>NSAIDs>アセトアミノフェン
- 鎮痛補助薬:痛みの強さにかかわらず、痛みの種類に応じて使用することが多い
というわけでまとめますと、痛み止め(鎮痛剤)の分類と強さは上記のとおりです。
この分類を意識しながら、この痛み止めはどの分類に当てはまるのかを意識すれば、自分の中でスッキリとして覚えられるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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