透析のときにつかうリズミック®の作用機序や効果について

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

透析中に血圧が下がりすぎてしまうという患者さんには、アメジニウム(リズミック®)、ドロキシドパ(ドプス®)、エチレフリン(エホチール®)、ミドドリン(メトリジン®)などを使うことがあります。

そこで本記事ではリズミック®の概要について、その作用機序、効果、禁忌などについてまとめてみました。

リズミック®(成分:アメジニウムメチル硫酸塩)について

  • 販売名:リズミック錠10mg(大日本住友)、アメジニウムメチル硫酸塩10mg「サワイ」(サワイ製薬)
  • 成分:アメジニウムメチル硫酸塩10mg

リズミック®は、添付文書上は「本態性低血圧、起立性低血圧、透析施行時の血圧低下の改善」のときに使用される昇圧薬となります。

昇圧薬は基本的に、DWコントロール、除水の適正化をおこなっても血圧が低下する場合、あるいはそれらが困難な場合に昇圧薬は使われます。

リズミック®の効果と作用機序

リズミック®は、交感神経終末から放出されたノルアドレナリンの再取り込みと分解を抑制して血中濃度を上昇させ、α作用とβ作用を発揮します。

引用:菅野義彦,透析ナースの?がわかる!薬剤Q&A50,p76

リズミック®は血圧を上げる薬です。ここではその作用機序について解説したいとおもいます。

リズミック®を語るうえで重要となる物質は「ノルアドレナリン」という物質です。

交感神経終末から放出されたノルアドレナリンは通常、神経終末に取り込まれてしまいます。

しかし、リズミック®はノルアドレナリンの神経終末への再取り込みを抑制することで、シナプス間隙のノルアドレナリンの量を増やします。また、ノルアドレナリンの分解も抑制してノルアドレナリンの量を増やします。

この結果、ノルアドレナリンの作用が強くなって血圧が上がります。

要するに、リズミック®はノルアドレナリンの神経終末への再取り込み抑制と分解抑制によって血圧を上げます。

後述しますが、ノルアドレナリンは体内でつくられるカテコラミンの一種で、α受容体とβ受容体に作用して血圧を上げます。

カテコラミンについては下記の記事でわかりやすく解説しています。

カテコラミンとはなに?わかりやすく解説します

リズミック®は、このような作用機序によって、間接的にα受容体とβ受容体に作用して血圧を上げます。

ノルアドレナリンの作用とは?

ノルアドレナリンの作用は以下のとおりです。

  • α受容体への作用α1α2への作用は同じくらいの強さです。)
  • β受容体への作用(主にβ1作用で、β2作用は非常に弱いです。)
α1受容体は血管収縮、消化管平滑筋弛緩、膀胱の括約筋の収縮に関与しています。α2受容体は主に神経のシナプス前終末に存在していて、カテコールアミンの遊離を抑制します。β1受容体は心拍数増加、心収縮力増大などに関与しています。β2受容体は血管拡張、気管支拡張、消化管平滑筋弛緩、グリコーゲン分解などに関与しています。β3受容体は脂肪分解に関与しています。

したがって、リズミック®を内服することで、ノルアドレナリンの再取り込みと分解を抑制して血中濃度を上昇させます。そしてα受容体への作用α1α2への作用は同じくらいの強さです。)によって、血管が収縮して血圧があがります。またβ受容体への作用(主にβ1作用で、β2作用は非常に弱いです。)によって心拍数増加と心収縮力が増大して血圧を上げます。

リズミック®の作用機序のまとめ

リズミック®の作用機序をまとめると、以下のようになります。

  1. リズミック®を飲む
  2. ノルアドレナリンの再取り込みと分解を抑制することで、ノルアドレナリンの血中濃度が上がる。
  3. ノルアドレナリンのα受容体への作用α1α2への作用は同じくらいの強さです。)によって血管が収縮して血圧が上がる。
  4. ノルアドレナリンのβ受容体への作用(主にβ1作用で、β2作用は非常に弱いです。)によって心泊数が増加、心収縮力が増大して血圧が上がる。

このように、リズミックは間接的にα受容体とβ受容体を刺激して血圧を上げています。

リズミック®の禁忌

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 高血圧症の患者[高血圧症を悪化させる。]
  2. 甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症を悪化させる。]
  3. 褐色細胞腫のある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれがある。]
  4. 閉塞隅角緑内障の患者[急激な眼圧上昇をきたすおそれがある。]
  5. 残尿を伴う前立腺肥大症のある患者[尿閉をきたすおそれがある。]

引用:リズミック錠10mg,添付文書

リズミック®の禁忌は、高血圧症、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、閉塞隅角緑内障、残尿を伴う前立腺肥大のある患者さんです。ただし、元々高血圧があり、透析中に低血圧がある患者さんでは、リズミック®が処方されることがあります。

透析のときのリズミック®はいつ飲む?

投与後1~2時間で血中濃度が上昇し、3~4時間で最高血中濃度となるため、透析前の経口投与が透析中の低血圧予防に有用です。効果持続を目的に透析開始2時間後に追加投与することもあります。

引用:菅野義彦,透析ナースの?がわかる!薬剤Q&A50,p76

リズミック®は、服用後2~3時間くらいのときに血中濃度のピークとなります。薬剤によっては「血中濃度のピーク=効き目のピーク」とならないものもありますが、リズミック®の場合は、服用後2~3時間後に効果が出始めます。ですので、リズミック®は透析開始時か早め内服が正しいです。透析後半に内服しても、透析中に効果が出てきません。

リズミック®の内服量

添付文書上では、「透析施行時の血圧低下の改善を目的に、透析開始時に1回10mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」とあります。

当院では、透析開始時、あるいは透析開始1時間あたりでリズミック®を1錠(10mg)を内服することが多いです。それでも血圧が下がる方は、透析中にさらに1錠(10mg)を追加する場合もあります。

 

というわけで今回は以上です。

 

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