アルブミンとは?体内での役割の重要性を解説

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

本記事ではアルブミンとはいったい何なのかをできるだけわかりやすく解説します。併せて、多種多様な働きのあるアルブミンの役割の重要性についても紹介します。

アルブミンとは?

アルブミンとはタンパク質の一種です。

血清タンパク質は、電気泳動によりアルブミン分画とグロブリン分画の大きく2つのグループに分けることができます(上の表をご覧ください)

血清とは、全血を遠心分離して血漿からフィブリンの除いたものです。この血清は、大きく水分とタンパク質に分けることができます。タンパク質は電気泳動により、アルブミン、α1グロブリン、α2グロブリン、βグロブリン、γグロブリンの分画に分かれます。

この血清タンパク質の中で、アルブミンは最も多く60~70%を占めています。

つまり、アルブミンとは血液中のタンパク質の半分以上を占めているので、その存在自体が非常に多い。そして、それだけ私たちの身体にとってなくてはならい物質だということです!

ちなみに、血液中には100種類以上もの様々なタンパク質が含まれていますが、血液中の60~70%をアルブミンが占めています。残りの30~40%はグロブリンが占めています。

アルブミンの基準値については下記の記事で詳しく解説しています。参考までに、アルブミンの基準値:4.1~5.1 g/dLで、健康な人であれば、アルブミンの値は4.5g/dL程度です。

アルブミン(ALB)の基準値について【低いときの原因はなに?】

アルブミンの構造

画像引用:Wikipedia「アルブミン」

アルブミンは、20種類のアミノ酸が約600個つながった分子量約66,000の比較的小さなタンパク質です。

私たちの身体のなかには10万種以上のタンパク質がありますが、それらはわずか20種類のアミノ酸の組み合わせによって構成されています。

アミノ酸の種類については下記の記事で解説しています。

必須・非必須アミノ酸の一覧必須・非必須アミノ酸の構造式の一覧【全部で20種類あります】

アルブミンの特徴

アルブミンの特徴は、可逆的な構造変化を簡単に起こすということです。ですので、多くの物質と結合することができます。

つまり、アルブミンと一口にいっても、ブドウ糖と結合しているもの、脂肪酸やカルシウム、薬剤などと結合しているものなど、体内では様々な状態のアルブミンが存在しています。

ようするに、きれいなちゃんとしたアルブミンもあれば、酸化したりブドウ糖がくっついたりしてベトベトになったアルブミンもあるということです。

アルブミンは、脂肪酸、金属、栄養物質、薬剤などと結合していますが、これらとの結合のときに構造変化を起こしていることがわかっています。そしてこれらの結合は、酵素反応や抗体反応のような特異的な結合ではなく、非特異的な結合だとされています。しかし、物質によっては結合する場所が特定されていて、ある程度の特異性があります。

グリコアルブミン

グリコアルブミンとは、アルブミンとグルコースが結合したものです。
血液中のすべてのアルブミンのうち、グリコアルブミンがどのくらいの割合を占めているのかをパーセンテージで表します。

アルブミンの半減期が14~18日ですので、特に採血日の過去2週間の平均的な血糖状態を反映するとされています。ですので、糖尿病患者さんの血糖コントロールの指標として利用されています。

アルブミンの半減期

アルブミンの半減期は14~18日間です。

14~18日間(半減期)体内で働いた後分解されますが、分解部位については、全貌は明らかではなく、筋肉、皮膚、肝臓、腎臓などで分解されると考えられています。とくに、筋肉と皮膚で主に分解されていると考えられています。分解された後は、アミノ酸として再利用されます。

アルブミンの合成

アルブミンは主に肝臓で合成されます。

血清中のアルブミンは、すべて肝臓でつくられたものだと考えてもらっていいです。

健康な成人の場合、アミノ酸を原料として肝臓で一日に6g~12gが合成されており、そのあと血液中に分泌されます。

絶食18時間で、アルブミンの合成能力は30~50%低下するといわれています。

肝臓から分泌されたアルブミンは、血液中で、遊離脂肪酸、ビリルビン、ある種のステロイドなど水に溶けない物質や、カルシウムなどのイオン、銅や亜鉛などの金属、薬剤などと結合し、目的の臓器まで運びます。

このように、アルブミンは肝臓で合成されているため、肝細胞障害(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌)によって肝臓での合成能力が低下すれば、血中のアルブミンは低下します。

アルブミンの分解

通常、アルブミンは1日に約4%が分解されていて、アルブミン分解にともなうアミノ酸は効率的に再利用されています。

アルブミンの分解部位については、全貌は明らかではなく、筋肉、皮膚、肝臓、腎臓などで分解されると考えられています。とくに、筋肉と皮膚で主に分解されていると考えられています。

アルブミンの体内にある量

アルブミンの体内にある量

  • アルブミンの体内量は4~5g/kg

アルブミンは、体重1kgあたり4~5gが体内に貯蔵されています。

ですので、体重60kgの成人では、240~300gのアルブミン体内にはあります。

アルブミンの分布

アルブミンの分布

  • 血管内:40%
  • 血管外(細胞や組織間液中):60%

体内にあるアルブミンの約40%が血管内に、残り60%が血管外(細胞や組織間液中)に分布しています。

体重60kgの成人では、240~300gのアルブミン体内にはあります。

そして、血管内と血管外のアルブミンは相互に交換しながら、私たちの血中のアルブミン濃度を一定の範囲に保っています。

例えば、血液中のアルブミンが減少した際には、血管外からアルブミンが血中に移動し、血液中のアルブミン濃度は維持されます。したがって、血液中のアルブミンが減少しているときは、単に血管内のアルブミンだけが減少しているのではなく、血管外のアルブミンも減少していることも意味しています。

一般的にアルブミンは血液中に多いというイメージがありますが、このように血管内よりも血管外のほうに多く含まれていて、筋肉、内臓、皮膚など幅広く分布していています。リンパ液や涙にもアルブミンは含まれています。

アルブミンの役割

アルブミンの役割

  1. 血管内の浸透圧の維持(血漿膠質浸透圧の維持)
  2. 物質の運搬
  3. 毒素の中和
  4. 体内組織へのアミノ酸の供給

アルブミンには上記のとおり様々な役割があります。この中で、もっとも重要な役割は「血液の浸透圧の維持」です。

血液の浸透圧の維持を簡単に説明るすると、血管内に水分を保持する働きのことです。

ですので、血中のアルブミンが低下すれば、浮腫、お腹や肺に水が溜まります。

血管内の浸透圧の維持(血漿膠質浸透圧の維持)

先ほどもいいましたように、アルブミンの最も重要な役割は、血液の浸透圧の維持です(血漿膠質浸透圧の維持)

アルブミンは、その存在自体が非常に多いため、血液の浸透圧を保つのに非常に重要です。血液の全膠質浸透圧の約80%を担い、水分を保持する(1gのアルブミンは約20mLの水分を保持する)ことにより、循環血液量を調節しています。

アルブミンは血漿タンパクの約60%を占めていて、100種類以上あるといわれる血漿タンパクの中で最も多いです。
ちなみに、血清の膠質浸透圧の60~80%はアルブミン由来だといわれていて、血管内の水分を保持する(1gのアルブミンは約20mLの水分を保持します)ことにより循環血液量を調節しています。

もし仮に、血中のアルブミンが低下した場合、血液は一定の浸透圧を維持するために、血管外に水分が漏れ出し、浮腫や腹水の原因となります。

アルブミン製剤を投与することがありますが、それはアルブミンの浸透圧作用に基づくものです。血清アルブミンが2.5g/dL以下になると、浸透圧の保持ができなくなるため、浮腫を発症します。

物質の運搬

アルブミンが運搬する物質

  • 脂肪酸
  • カルシウム、亜鉛、銅などの微量元素
  • ホルモン
  • 酵素
  • 薬物
  • 代謝産物

アルブミンは分子量が大きいため、分子のサイズも大きいです。そのため、アルブミンは腎臓において濾過されて尿として排泄されることがありません。

また、可逆的な構造変化を簡単に起こしやすいので色んな物質と結合(非特異的結合)しやすいです。

こういった性質をアルブミンはもっているので、アルブミンは物質の運搬としての役割を担っています。

つまり、アルブミンにさまざまな物質が結合することで、腎臓から尿として排泄されることもありませんし、水に溶けない物質も血中の中を安定して移動することができるようになるということです。そうして目的の場所へ物質を運搬することができます。

水に溶けにくい物質が血液に入れば詰まる原因になりますし、血管という水路を運ばれなくなります。そういった物質、例えば脂肪酸や薬剤などとアルブミンは結合して、運搬します。ちなみに脂肪酸は運搬先で分解されてATPがつくられたりしますが、これをβ酸化といいます。

例えば脂肪酸は水に溶けません。もし仮に、水に溶けない脂肪酸を無理やり血中に放出したら、あたりかまわず周囲の細胞の膜に結合し、細胞膜の構造を壊してしまいます。
それではまずいので、脂肪酸はアルブミンと結合してから目的の場所まで運ばれます。

また、アルブミンは多くの薬と結合します。その結合の割合は薬により違いますが、アルブミンとして結合した薬は、薬としての作用が一時止まります。
ですので、血中のアルブミンが少ないと、アルブミンと結合する薬が減り、その分だけ薬の作用が強くあらわれたりします。

薬のほとんどは、血中のアルブミンと結合して血中に存在しています。

毒素の中和

アルブミンは物質と結合して運搬するだけでなく、毒素などと結合して中和する作用もあります。

体内組織へのアミノ酸の供給

アルブミンは、体内器官や組織にアミノ酸を供給します。

例えば、食欲が落ちて十分に食事がとれないときは、アルブミンは壊されてアミノ酸になりやすいです。このアミノ酸は、他のタンパク質の合成、例えば風邪をひいたときは細菌やウイルスと戦うために、サイトカインなどのタンパク質をつくりますし、体をつくっているタンパク質をつくるために利用されたりします。

ただし、アルブミンは血液の浸透圧の維持や物質の運搬など、私たちの身体にとって必須の働きがあるので、食事量が減少したからといって即座にアルブミンが分解されるということはありません。まずは、骨格筋のタンパク質から分解が始まります。長い間、食事量が減少してから血清のアルブミンは減少していきます。

なお、通常でもアルブミンは1日に約4%が分解されていて、アルブミン分解にともなうアミノ酸は効率的に再利用されています。アルブミンの分解部位については、全貌は明らかではなく、筋肉、皮膚、肝臓、腎臓などで分解されると考えられています。とくに、筋肉と皮膚で主に分解されていると考えられています。

つまり、アルブミンは必要なタンパク質をつくるための予備にもなっているということです。

 

 

 

というわけで今回は以上です。

 

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