透析患者にアリプロスト®を使う理由

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

透析終了時、透析回路内に「アリプロスト®」をワンショット投与する場合があります。

そこで本記事では、透析患者にアリプロスト®を使う理由を解説します。

透析患者にアリプロスト®を使う理由

ASO(閉塞性動脈硬化症)の悪化や再発を防止する目的で、アリプロスト®は投与されます。

ASO(閉塞性動脈硬化症)とは、足や手の動脈が動脈硬化によって狭くなって、血液の流れが悪くなって起こる病気です。

末梢血管拡張作用のあるアリプロスト®を投与することで、主に以下の2つの効果が期待できます。

  • 効果①:血栓をつくりにくくする
  • 効果②:血管を拡張して血液の流れを良くする

ただし、血管拡張作用によって血圧を下げてしまうこともあるため、透析終了時に血圧が低すぎる場合は投与を見送る場合もあります。血圧が低すぎてアリプロスト®の継続が難しいと判断される透析患者さんもなかにはいらっしゃいます。

透析患者の閉塞性動脈硬化症(ASO)は合併頻度が非常に高く、重症化して下肢大切断にいたった透析患者の1年生命予後は50%と非常に低いです。そのため、早期に発見することがなにより大切です。

販売名:アリプロスト®

販売名 ・アリプロスト®注5μg
・アリプロスト®注10μg
一般名 アルプロスタジル
(リポPGE1
容量 ・アリプロスト®注5μg(1mL)
・アリプロスト®注10μg(2mL)

参考:添付文書

アリプロスト®は、プロスタグランジン製剤の一種です。

プロスタグランジン(prostaglandin:PG)製剤は、1973年にCarlsonらが初めて下肢虚血性潰瘍に投与して以来、閉塞性動脈硬化症の治療薬として広く使用されてきています。

プロスタグランジン(PG:prostaglandin)とは

PGはほとんどの組織にみられ、各PGは標的細胞に存在する特異的な受容体に結合し作用を発揮する。その作用としては、子宮筋収縮のほか、血管の収縮拡張、胃液分泌の調節、腸管収縮、血小板凝集、睡眠誘発作用、免疫への関与、腎への作用、炎症・疼痛などがしられている。また、アレルギーによる炎症とその他の疾患でもPGの関与が考えられる。

引用:平松裕司,子宮収縮薬の薬理作用と副作用 プロスタグランジン

PGはアラキドン酸を前区物質として産生されてくる。アラキドン酸にシクロオキシゲナーゼ(COX)が作用すると、アラキドン酸カスケードに入りPGG2そしてPGH2が合成され、その後それぞれの特異的酵素の作用によりPGD2、PGE2、PGF、プロスタシクリン(PGI2)、トロンボキサンA2(PGA2)など、きわめて高い生理活性を有する物質が合成される。

引用:平松裕司,子宮収縮薬の薬理作用と副作用 プロスタグランジン

プロスタグランジン(PG)といっても、ひとつの物質を指すのではなく、いくつか種類があります。

当初は、プロスタグランジン(PG:prostaglandin)は、前立腺(prostate gland)からつくられる物質としてPGと命名されましたが、後にこの物質は精嚢線で作られることがわかりました。

プロスタグランジン(PG)自体は、全身に広く分布し、細胞膜のリン脂質から切り出されたアラキドン酸から、アラキドン酸カスケードと呼ばれる一連の酵素反応の主要経路であるシクロオキシゲナーゼ代謝経路によって産生されます。

このプロスタグランジン(PG)には、いろんな種類があり、作用も下記のとおりいろいろあります。ときには全く反対の作用もあるので注意してください。
とくに有名な作用は、血管拡張作用と子宮収縮作用ですので、この2つは覚えておくようにしておいてください。

  • PGA:血圧低下作用
  • PGB:血圧低下作用
  • PGC:血圧低下作用
  • PGD2:血小板凝集作用、睡眠誘発作用
  • PGE1:動脈管を開存させる作用
  • PGE2:平滑筋収縮作用、末梢血管拡張作用、発熱・痛覚伝達作用、骨新生・骨吸収作用
  • PGF:黄体退行、平滑筋(子宮、気管支、血管)収縮作用
  • PGG:血圧低下作用、血小板凝集作用
  • PGH2:血小板凝集作用
  • PGI2:血管拡張作用、血小板合成阻害作用
  • PGJ:抗腫瘍作用

アリプロスト®の効能と効果

アリプロスト®の適応は下記のとおりです。

  1. 閉塞性動脈硬化症(ASO)
  2. バージャー病
  3. 末梢血行障害

この中で臨床的にもっとも多いのは閉塞性動脈硬化症(ASO)です。

閉塞性動脈硬化症(ASO)の悪化や症状の改善のためにアリプロスト®は投与されます。しかし、それでも悪化や症状の改善が見込めない場合、カテーテル治療やバイパス治療などをおこないます。

アリプロスト®の投与方法

アリプロストの溶解

引用:添付文書

アリプロスト®は、基本的に静注で1日1回5~10μgを緩徐に点滴、もしくはそのまま投与します。

ちなみに、当院ではアリプロスト注10μgを生食で溶解して20mLとし、透析後に投与しています。
(アリプロスト1A+生食19mL)

透析終了時にアリプロスト®を投与する理由

アリプロスト®は、透析のときに吸着される可能性があるため、透析の終了時に静注します。

 

というわけで、今回は透析の時に使用する薬剤であるアリプロスト®についてまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。

 

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