輸血の種類についてわかりやすく【血液製剤:RBC、PC、FFP】

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

透析患者さんは慢性的に貧血状態です。そのため、昔は輸血が多くおこなわれていました。しかし、貧血の薬が開発されてから輸血をする機会はほぼありません。とはいえ、なんらかの原因で出血をしたりすると透析中に輸血をすることがあります。

そこで本記事では、輸血の種類についてできるだけわかりやすくまとめています。

血液製剤とは

まずは、大きな枠組みとして血液製剤につて説明します。

血液製剤とは、人の血液又はこれから得られた物を有効成分とする医薬品のことで、輸血用血液製剤と血漿分画製剤に分かれます。

引用:血液製剤とは何か-厚生労働省

血液製剤の種類【輸血用血液製剤と血漿分画製剤】

血液製剤は、輸血用血液製剤と血漿分画製剤に分かれます。

①輸血用血液製剤全血製剤
血液成分製剤赤血球成分製剤
血小板成分製剤
血漿成分製剤
②血漿分画製剤アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤など

①輸血用血液製剤

先ほどの表で、全血製剤と血液成分製剤が① 輸血用血液製剤、いわゆる輸血といわれているものです。

現在では採血した全血献血は、遠心分離によって赤血球、血漿、血小板の3種類の成分である「赤血球液製剤」、「濃厚血小板製剤」、「新鮮凍結血漿」に分けられます。

昔は採血されたままの血液、すなわちすべての成分を含んだ「全血製剤」の輸血が主流でしたが、現在では、患者さんが特に必要とする成分だけを輸血する「成分輸血」が主流となっています。

②血漿分画製剤

血漿と呼ばれる液体の中には100種以上のタンパク質が含まれています。
血漿分画製剤とは、このうち特に重要なタンパク質を分画・精製して、それら成分ごとに分けたたものになります。

新鮮凍結血漿からさらに「血漿分画製剤」がつくられています。これには、「アルブミン製剤」、「免疫グロブリン製剤」、「血液凝固因子製剤」などがあります。

輸血(輸血用血液製剤)の種類【RBC、PC、FFP】

① 輸血用血液製剤全血製剤
血液成分製剤赤血球成分製剤
血小板成分製剤
血漿成分製剤
② 血漿分画製剤アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤など

それではここからが本題の輸血についてです。

輸血(① 輸血用血液製剤)には以下の4つの種類があります。

  1. 全血製剤
    →現在ではほとんど使われていません
  2. 赤血球成分製剤
    →赤血球不足のときに使用
  3. 血小板成分製剤
    →血小板不足のときに使用
  4. 血漿成分製剤
    →凝固因子不足のときに使用

赤血球成分製剤【RBC】

出典:長野県輸血療法マニュアル(ver 1.0 Web版)

赤血球製剤は、血液から血漿、白血球、血小板の大部分を取り除いたものです。

消化管出血、外傷で大量出血、手術中の出血のときなどに使用されます。

販売名略号算定用容量
照射赤血球液―LR「日赤」Ir-RBC-LR-1140mL
Ir-RBC-LR-2280mL
赤血球液―LR「日赤」RBC-LR-1140mL
RBC-LR-2280mL

以前は、MAPやRCCなどと呼ばれていましたが、最近ではRBCと呼ぶことが多いです。

Ir(Irradiated):輸血による移植片対宿主病(GVHD)を予防する目的で15Gy以上50Gy以下の放射線が照射されている、放射線照射製剤を意味します。
LR(Leukocytes Reduced):保存に伴う凝集塊(マイクロアグリゲート等)の発生、発熱反応や同種免疫反応等の輸血関連副反応の予防や低減のため、保存前白血球除去が実施されています。要するにLRは白血球を除去したという意味です。
輸血用の血液製剤「RBC」が凝固しない理由

単位数(内容量)について

血液製剤は、200ml献血より得られたものをすべて1単位(1IU)としています。

つまり、RBC1単位というのは、血液200mlを遠心分離にかけて、血漿、白血球、血小板などを取り除いた後、保存液などを加えたのちにできたもので、約140mlとなります。

単位は、略号「Ir‒RBC‒LR」のあとに量を示す 1 または 2 の数字がついています。

赤血球成分製剤(RBC)の場合、1単位が約140mlとなります。ですので、2単位でしたら280mlということになります。


血小板成分製剤【PC】

出典:長野県輸血療法マニュアル(ver 1.0 Web版)

血小板製剤は、成分採血装置を用いて血液の止血機能をもつ血小板を採取したものです。

血小板不足のときに使用され、敗血症、大きな手術の後、大量出血、DICのときに使用されます。

販売名略号算定用容量
照射濃厚血小板-LR「日赤」Ir-PC-LR-120mL
 Ir-PC-LR-240mL
 Ir-PC-LR-5100mL
 Ir-PC-LR-10200mL
 Ir-PC-LR-15250mL
 Ir-PC-LR-20250mL
Ir(Irradiated):輸血による移植片対宿主病(GVHD)を予防する目的で15Gy以上50Gy以下の放射線が照射されている、放射線照射製剤を意味します。

 

LR(Leukocytes Reduced):保存に伴う凝集塊(マイクロアグリゲート等)の発生、発熱反応や同種免疫反応等の輸血関連副反応の予防や低減のため、保存前白血球除去が実施されています。

血小板成分製剤(PC)の単位数(内容量)

血小板成分製剤(PC)の単位数と内容量の関係は以下のとおりです。

  • PC-LR-1(1単位、約20ml)
  • PC-LR-5(5単位、約100ml)
  • PC-LR-10(10単位、約200ml)
  • PC-LR-15(15単位、約250ml)
  • PC-LR-20(20単位、約250ml)

血漿成分製剤【FFP】

出典:長野県輸血療法マニュアル(ver 1.0 Web版)

血漿成分製剤は、血液から出血の防止に必要な各種の凝固因子が含まれる血漿を取り出したものです。

作成は、新鮮な血液から遠心分離によって得た血漿成分を凍結しておこないます。

FFPの組成は、血液凝固因子、アルブミン、グロブリン、糖質/脂質/ビタミン/ミネラルです。

凝固因子が不足のときに使用され、PT-INR:2.0以上、PT:30%以下、APTT:基準上限の2倍以上のときなどに使用されます。なお、凝固因子が含まれているため、凝固しないためにクエン酸Naが添加されています。

販売名略号算定用容量
FFP-LR「日赤」120FFP-LR 120140mL
FFP-LR「日赤」240FFP-LR 240280mL
FFP-LR「日赤」480FFP-LR 480480mL
LR(Leukocytes Reduced):保存に伴う凝集塊(マイクロアグリゲート等)の発生、発熱反応や同種免疫反応等の輸血関連副反応の予防や低減のため、保存前白血球除去が実施されています。要するにLRは白血球を除去したという意味です。

血漿成分製剤(FFP)の内容量

血漿成分製剤(FFP)の単位数と内容量の関係は以下のとおりです。

  • FFP-LR120(1単位、約120ml)
  • FFP-LR240(2単位、約240ml)
  • FFP-LR480(4単位、約480ml)

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というわけで今回は輸血の種類についてまとめました。

輸血の単位ってなに?LRやらIrやらいろんな略語がついていてややこしいですが、わかればどうということはありません。

本記事が少しでも日常の業務の参考になれたなら幸いです。

 

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