透析患者さんに多い、手根管症候群とはなんですか?

手根管症候群

こんにちは、臨床工学技士の秋元麻耶です。

透析患者さんの長期合併症には透析アミロイド症があります。本記事ではその中で、もっとも発症頻度の高い手根管症候群(CTS:carpal tunnel syndrome)について解説します。

透析アミロイド症の原因物質はβ2-MGというタンパク質です。

手根管症候群とは(CTS:carpal tunnel syndrome)

手根管症候群とは

画像引用:森田シャントアミロイド治療クリニック

手首の手のひら側には、骨(手根骨)と靭帯(横手根靭帯)に囲まれた手根管というトンネルがあります。このトンネルの中を正中神経と5本の指を曲げる指屈筋腱(しくっきんけん)がとおっています。

手根管症候群とは、このトンネルの中で正中神経が慢性的に圧迫をうけて、しびれや痛み、運動障害を起こす病気です。

横手根靭帯は、屈腱筋を束ねている靭帯ということで、屈腱支帯とも呼ばれています。ちなみに、靱帯とは、関節の骨を結ぶひものような組織で、コラーゲンを主成分とする強い弾力性のある伸びにくい組織です。
屈筋とは、主に腕や脚などを曲げるときに使用される筋肉の総称のことです。腱とは、筋肉と骨とをつなぐ間の部分です(参考として下の図をご覧ください)。ですので、指屈筋腱(しくっきんけん)とは、手指と前腕の間に存在していて、屈筋をつないでいる腱のことです。

画像引用:一寸先は痛み!理学療法士が作る痛みと原因の説明書!

手根管症候群のより詳しい解剖

手根管症候群の解剖

画像引用:内科医が知っておきたい整形外科的疾患の診断のポイント 手根管症候群

手根管とは、手の甲側に有鉤骨(ゆうこうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、舟状骨(せんじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、そして手のひら側を横手根靭帯で囲まれた、狭い空間のことです。場所的には、手のひらの付け根にあります。

この手根管の中には、正中神経と9本の指屈筋腱(長母指屈筋腱、深指屈筋腱が4本、浅指屈筋腱が4本)がとおっています。

手関節は、橈骨、尺骨、8個の手根骨から構成されています。8個の手根骨は手根部にあり、有鉤骨(ゆうこうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、舟状骨(せんじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、豆状骨(とうじょうこつ)、大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)、有頭骨(ゆうとうこつ)があります。
横手根靭帯は、屈腱筋を束ねている靭帯ということで、屈腱支帯とも呼ばれています。ちなみに、靱帯とは、関節の骨を結ぶひものような組織で、コラーゲンを主成分とする強い弾力性のある伸びにくい組織です。
屈筋とは、主に腕や脚などを曲げるときに使用される筋肉の総称のことです。腱とは、筋肉と骨とをつなぐ間の部分です(参考として下の図をご覧ください)。ですので、指屈筋腱(しくっきんけん)とは、手指と前腕の間に存在していて、屈筋をつないでいる腱のことです。

健腎者での手根管症候群の原因

健腎者での手根管症候群の原因には以下のものがあります。

  • 原因①:手作業やスポーツで手指を酷使した結果、手根管をとおる屈筋腱の腱鞘炎
  • 原因②:手指前腕の骨折や外傷による手部の腫脹
  • 原因③:妊娠時のむくみ
  • 原因④:原因不明

透析患者さんの手根管症候群の原因

手根管症候群の解剖

画像引用:内科医が知っておきたい整形外科的疾患の診断のポイント 手根管症候群

透析患者さんの場合、β2MGを前駆物質とするアミロイドが横手根靭帯に付着し、靭帯が肥厚して、正中神経を圧迫するために手根管症候群が発症するとされています。

透析歴が長ければ長いほど、発症率は高くなっていきます。逆に、透析歴が10年未満では非常に少ないです。

健腎者の場合、β2MGは腎臓の糸球体で濾過されます。その後、尿細管上皮細胞で99%が再吸収され、尿細管上皮細胞内で分解されます。しかし、透析患者さんの場合、血中濃度が上昇して、関節や腱に沈着します。そして、関節や腱に沈着したβ2MGは「アミロイド」という物質に変化します。

手根管症候群の症状

手根管症候群の症状の母指球の萎縮

画像引用:森田シャントアミロイド治療クリニック

手根管症候群の症状の特徴としては、中指を中心に、親指側にしびれや痛みが現れます。
片手だけに発症するケースと、両手に発症するケースがあります。

正中神経は、親指から薬指の半分の領域を支配しているので、その部分にしびれや痛みがでます。

これらのしびれや痛みは、朝に目を覚ました時につよく、ひどい場合には夜間睡眠中にしびれや痛みで目を覚ますことがあります。

進行すると、握力の低下、母指球筋の萎縮が起こり、細かい作業が困難になります。

手根管症候群の診断

手根管症候群の診断には以下のものがあります。

  1. ベッドサイドエコーによる手根管部の正中神経の圧迫率の測定(1)
    (正中神経の圧迫の度合いを超音波でみます。とくに正中神経圧迫率が21.7%を超えると、手根管症候群の可能性が高いとの報告もあります。)
  2. ティネル徴候の確認
    (手関節を打腱器でたたくと、しびれや痛みが指先に放散)
  3. ファーレン試験の確認
    (手関節を直角に曲げて、両手の甲を合わせ保持し、1分間以内にしびれや痛みが増悪)
  4. 神経伝達速度検査
  5. しびれ(母指、示指、中指、環指撓側)、夜間や透析時の手の痛み

手根管症候群の治療

手根管症候群の治療には、内科的治療と外科的治療があります。

内科的治療は、ステロイド内服や局注、非ステロイド系鎮痛薬などです。外科的治療は、直視下手根横靭帯切開法や内視鏡的手根横靭帯切開法があります。

 

というわけで今回は以上です。

 

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