こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
日機装社製透析監視装置のDCS-100NXには「TMP自動追従監視モード」というものがあります。
本記事では、TMP自動追従監視モードとは、いったいどういうものなのかを解説したいと思います。
目次
TMP自動追従監視モードとは
引用:多用途透析用監視装置 DCS-100NX,日機装株式会社
透析治療中、TMP(膜間圧力差)は基本的に上昇します。
(除水によって血液は濃縮し、同じ除水速度であっても抜きにくくなったり、膜の目詰まりのため)
この、ゆっくりしたTMP(膜間圧力差)の上昇に対して、ある程度の幅をもたせつつ、上昇するTMP(膜間圧力差)に追従しながら監視する警報のことを、TMP自動追従監視モードといいます。
このTMP自動追従監視モードによって、透析中に随時変化するダイアライザーの濾過特性をモニタリングすることができます。
TMP自動追従監視モードによる警報設定までの流れ
TMP自動追従監視モードが設定されるまでの流れは以下のとおりです。
- 運転開始10分後※1に、条件がそろっていればTMPゼロ補正※2をおこないます。
- 初期UFR測定※3を2分30秒おこないます。
- TMPゼロ補正と初期UFR測定の結果から予測したTMP(膜間圧力差)を中点として、±20mmHgの幅で圧力を監視します。
※2 TMPゼロ補正の所要時間は3分10秒です。
※3 初期UFR測定の所要時間は2分30秒です。
※4 初期UFR測定時の除水速度は、0.5L/h以上のときは設定された除水速度でおこなわれます。しかし、0.01~0.49L/hのときは、除水速度0.5L/hで初期UFRの測定がおこなわれます。
TMPゼロ補正とは
除水をしていないとき、TMP(膜間圧力差)は理論的にゼロとなります。
しかし、実際にはTMPはゼロにはなりません(落差圧などの影響のため)。
ですので、便宜上このときのTMP(膜間圧力差)をゼロとして、TMPゼロ補正しています(コンソールの画面からTMPゼロ補正値の値は確認可能です)。
このTMPゼロ補正をおこなうことで、他社製品のようにTMP(膜間圧力差)がマイナスになるようなことはありません。
※2 コンソールの画面からTMPゼロ補正の値は確認可能です。
初期UFR測定とは?
TMP自動追従監視モードでは、透析の開始後に、TMPゼロ補正と初期UFR測定をおこないます。
そして、ある時間経過後のダイアライザのUFRをマイコンが予測して、TMP(膜間圧力差)に置き換えています。
この予測したTMPを中点として±20mmHgの幅で圧力変動を監視します。
透析中のTMP自動追従監視モードの挙動
引用:多用途透析用監視装置 DCS-100NX,日機装株式会社
以下のいずれかの条件で、一度、TMP自動追従監視モードを解除し、運転を再開してから2分後に、予測TMPを中点として警報点を再設定します。
- 「運転」キーを操作
- 各警報のリセット操作
- 運転中に除水速度を変更
- 血流量設定器を操作
- 各警報が発生
- 運転中に脱ガスチャンバ内のフロートスイッチがON
ようするに、透析中に上記のいずれかが起こった場合、もう一度TMPの予測をしなおしているということです。
というわけで今回は以上です。
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