こんにちは、臨床工学技士の秋元です。
病院で働いていると、様々な単位を目にします。
例えば、同じカルシウムでも、mg/dL、mEq/L、mmol/Lなど色んな単位があり非常に混乱します(当然ですが、単位が違えば意味もまったく違ってきますので)。
そこで本記事では、カルシウムの単位変換の方法を解説します。
目次
カルシウム(Ca)の単位【mg/dL、mEq/L、mmol/L】
まずは、臨床でよく目にするカルシウムの単位を紹介します。
血清カルシウムの単位
- 血清カルシウムの基準値:8.8~10.1 mg/dL(2.20~2.53 mmol/L)
生化学用のスピッツでカルシウムを測定すれば「mg/dL」の単位で表記されます。

血清イオン化カルシウムの単位
- イオン化カルシウムの基準値:4.5~5.0 mg/dL(2.25~2.5mEq/L)
血液ガス分析装置でカルシウムを測定した場合、単位は「mg/dL」の単位で表記されます。
【補足】血清総カルシウム濃度(mg/dL)からイオン化カルシウム(mg/dL)への変換
血清カルシウムは3つの形態で存在し、イオン化したもの(50%)、小分子陰イオンにキレートされたもの(10%)、タンパク質(多くがアルブミン)と結合しているものである。
上記のとおり、血清中のカルシウムは、イオン化したものが50%、アルブミンなどに結合したものが50%です。
ですので、血清総カルシウム濃度が9mg/dLであれば、9mg/dL÷2=4.5mg/dLがイオン化カルシウムとなります。
透析液のカルシウムの単位
- 透析液のカルシウムの濃度:2.5~3.0 mEq/L
透析液のカルシウムの濃度の単位は、電解質濃度の単位である「mEq/L」で表記されています。
血清カルシウム(Ca)の単位【mg/dL、mEq/L、mmol/L】の変換
カルシウムの単位変換【mg/dL→mmol/L】
イオン化カルシウムが4.5mg/dLであるとき、モル濃度(mmol/L)であらわす方法は下記のとおりです。
- イオン化カルシウムの濃度を4.5mg/dL=45mg/Lに変換します。
(100ml中に4.5mgのカルシウムが含まれているので、1L中では45mgになります。) - カルシウムの原子量は40.1なので、カルシウムのモル質量は40.1g/molとなります。
(原子のモル質量は、原子量g/molです。) - 40.1g/molをミリの単位に変換すると、40.1mg/mmolとなります。
(分母分子にミリの単位を加えただけです。) - 45mg/L ÷ 40.1mg/mmol = 1.12mmol/L
上記をまとめると、カルシウムの単位を「mg/dL→mmol/L」に単位変換する方法は、イオン化カルシウム(mg/dL)に10 をかけて、40.1で割るだけです。
カルシウムの単位変換【mmol/L→mEq/L】
画像引用:大塚製薬株式会社
イオン化カルシウムのモル濃度が1.12mmol/Lであるとき、電解質濃度の単位(mEq/L)であらわす方法は下記のとおりです。
- カルシウムの原子価は2価です。
(イオン式中での電荷の絶対値をイオンの価数といいます。Ca2+なので、原子価は2価です。) - カルシウムのように2価の電解質では、1molのカルシウムは40.1gですが、1当量では20.5gとなります。つまり、mEq/L=mmol/L×2となります。
(当量(Eq)の概念はややこしいので、カルシウムの1当量(Eq)は20.5g、あるいは0.5mmol=1mEqと単純に考えてください。) - なのでカルシウムのモル濃度に2をかければよいので、1.12mmol/L × 2価 = 2.24mEq/Lとなります。
上記をまとめると、イオン化カルシウムの単位を「mmol/L→mEq/L」に単位変換する方法は、イオン化カルシウム(mmol/L)に2をかけるだけです。
カルシウムの単位変換【mg/dL→mEq/L】
カルシウムの単位をmg/dLからmEq/Lに変換する方法は、ここまででやってきたように「mg/dL→mmol/L→mEq/L」と順番に変換していけばいいです。
つまり、mg/dLで表記されるカルシウムに、10 をかけて、40.1で割って、最後に2をかけると、mEq/Lという単位に変換できます。
- ((4.5mg/dL×10)÷40.1)×2 = 2.24mEq/L
上記の計算のとおり、イオン化カルシウムが4.5mg/dLのとき、mEq/Lに単位を直すと2.24mEq/Lとなります。
というわけで今回は以上です。文献によっては、カルシウムの単位の表記法が違ったりするので、きちんと単位変換できるようにしましょう。