【透析】エホチールの作用機序と使い方

こんにちは、臨床工学技士の秋元です。

僕は透析室で勤務していますが、透析中に血圧が低下して除水が困難な患者さんに対して昇圧剤のエホチール®を使うことがあります。

そこで本記事では、透析中にエホチール®の作用機序と使い方を解説します。

エホチール®の作用機序

★ エチレフリン塩酸塩(エホチール®
使用量:10~20mg/回 持続点滴
作用機序は血管系(α1刺激作用),心臓(β1刺激作用)の両方を示しますが,とくに心臓への作用が強く心筋収縮力を増加させ,また,血管平滑筋にあるα1受容体も刺激することで血管収縮作用も合わせて昇圧効果を生み出します.ノルエピネフリン,エピネフリンと比較し持続時間が長く,透析中の血圧低下に対し使用されます.

引用:〜至適透析を理解する〜 血液透析処方ロジック

エホチール®の作用機序は、心臓への心筋収縮力の増加(β1刺激作用)と血管への血管収縮作用(α1刺激作用)によって血圧を上昇させます。

とくに、エホチール®は心臓への作用が強く、心筋の収縮力を増やして、心拍出量を増やします。

エホチール®の適応

【効能又は効果】
起立性低血圧、各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療

引用:添付文書「エホチール注®10mg」

上記のとおり、添付文書には「透析」という文言は一言もありませんが、しばしば現場では透析中の低血圧の患者さんに対して、エホチール®が使われています。

エホチール®やリズミック®でも透析中に血圧を維持できない場合、透析中にノルアドレナリンを静注しながら透析をおこなうこともあります。ノルアドレナリンを使わなければ血圧を維持できないような症例はほとんどありませんが・・・
リズミック(アメジニウム)の作用機序をわかりやすく解説

透析中におけるエホチール®の持続注入

エホチール®は、透析中に血圧が下がってしまう患者さんに長らく使われている昇圧薬です。

長らく使われている理由はシンプルでして、効果が弱いぶん、副作用も弱いからです。

エホチール®の用法と用量

【用法及び用量】
通常成人には1回0.2~1mL(エチレフリン塩酸塩として2~10mg)を皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

引用:添付文書「エホチール注®10mg」

エホチール®の添付文書によると「2~10mgを静脈内注射する」とあり、理論的にはボーラス投与に適した薬剤です。

ただし、透析中においてはエホチール®のボーラス投与はあまり行われていません。

ボーラス投与とは、短時間で薬物を投与することです。急速静注、ボーラス注入ともいいます。かたまりを意味する英語bolusに由来する。
時間をかけて薬物を投与する場合は、持続投与または持続静注といいます。

透析中でのエホチール®の使い方【透析では持続投与が一般的です】

添付文書によると蛋白結合率が28%と低く透析で抜けてしまう可能性があるため「2~10mgを静脈内注射する」とあり,理論的にはボーラス投与に適した薬剤ですが現場ではしばしば持続投与で使用されています。

引用:〜至適透析を理解する〜 血液透析処方ロジック

上記のとおり、本来エホチール®はボーラス投与で使用する薬剤ですが、透析中では、透析で抜けてしまうため、持続投与が行われていることが多いです。

ボーラス投与とは、短時間で薬物を投与することです。急速静注、ボーラス注入ともいいます。かたまりを意味する英語bolusに由来する。
時間をかけて薬物を投与する場合は、持続投与または持続静注といいます。
エホチール®の溶解

  • エホチール®注10mg+生食9mL
    または
  • エホチール®注10mg+生食19mL

「エホチール®注10mg」には、1管(1mL)中に、成分名:エチレフリン塩酸塩が10mg含まれています。これを生食で10mLや20mLに薄めて使われることが多いです。

当院では、エホチール®注10mgを生食19mLで薄め、トータル20mL(0.5mg/mL)にして使用しています。これを透析回路の静脈側回路から3ml/hr(1.5mg/hr)のスピードで投与を開始し、適宜血圧などをみながらスピードを調整しています。

効果が出ないようなら倍量6ml/hr(3.0mg/hr)のスピードに上げて、効果が出れば徐々にスピードを落としていきます。しかし、透析が終わった後に今度は逆に血圧が上がってしまう場合があるので、エホチール®の量を増やす場合には慎重におこないましょう。

 

というわけで今回は以上です。

 

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